第43話「伝説」
今回はちょっと短めです。ぶっちゃけるとネタが・・・ネタが~~・・・
第43話「伝説」
アゲインから論文が届いて数日が経ったが、今のところ依頼を達成できそうな目処はついていなかった。サクラにも相談してクヨウもアイデアを考えてはいたのだが、あまり効果的なものは出てきていないのが現状である。
「本当に、どうしようかな?」
クヨウも結構参っていた。まだ20日以上あるとは言え、目処がつかない限り何も進まないのだから。汚染物質をそのまま無害な物に変化させるのは無理。かといって取り出すのも無理。いっそアゲインの体ごとどうにかしてしまえ、とも考えたがブルーシードもあるのでそれも却下。
「八方塞だ~。」
瘴気の入ったガラス球を転がしながらどうしたものかと悩んでいるが、特に思いつく物はない。
「汚染物質ね・・・・ん?」
そこでクヨウは気がつく、論文には瘴気が汚染物質であると書かれていた。そこは多分間違えてはいないだろう。ただ、一言で汚染物質といっても種類は多種多様にある。そもそも瘴気はどんな成分でできているのだろうと疑問に思う。論文では詳細な分析ができなくて、呪いを物質化させたような物だと推測している程度だった。
「まずはそこからはじめよう。」
クヨウは行商時に面白半分で買っていたオペラグラスを能力で分析用魔法具にした。これで、瘴気の分析にとりかかった。
一方その頃店の方では、学園の生徒たちが見学に来ていた。
「生徒を見ていると若干老けた気分になるのは何故でしょうか?」
「奇遇ね、私もそう思った。そんなに年は離れてないんだけどね~。」
生徒たちは大体13前後のメンバーに対してミリアとサクラは20近い。生徒たちが子供っぽくはしゃいでいるのと、ミリアとサクラが比較的落ち着いているために酷くギャップが生まれているのだ。そのため年が妙に離れているように感じてしまっていた。
とはいえ、逆に生徒が落ち着いていて、彼女等がはしゃいでいる状況になればそんなに年の差は感じはしないのであろうが、それはそれで納得できないものがあったりする。女心とは複雑怪奇なものである。
「ミリア先生、ちょっといいですか~?」
「どうしたの?」
生徒たちが一番注目しているのは、魔法具・・・・ではなくヒカリだった。一応道具科の生徒とはいえ、簡単な戦闘訓練はしている。それは基礎的なモンスターや動物に対する知識も同じである。それ故に、ヒカリが気になるのだ。見た目動物なのだが、話す事ができる。動物は基本的に話す事ができないので、モンスターか?とも思えば、ヒカリはモンスターとは違いサクラに懐いている、というか親として認識している。
動物ではなく、モンスターとも思えない、ではこの生き物は一体何なのか?という疑問で生徒たちは埋め尽くされていた。
「ああヒカリちゃんのことね?この子はね、幻獣なのよ。変ないたずらはしないようにね、私が怒られちゃうから。」
「幻獣!なんで幻獣がこんなところにいるんですか!?」
「すっげ~、幻獣なんだ~。初めて見た~。」
「可愛い、私も欲しいなぁ・・・」
生徒たちの反応は人それぞれ。意外な事に疑うことはあまりしていないようだった。まぁ、ある程度ヒカリの異常性をみれば幻獣であることのほうが納得するのだが。
「はいはいはい、落ち着いてね。簡単に言うと店長さんが幻獣と知り合いなのよ。それでこの子を授かった・・・と言えばいいのかな?別に捨てられたとかじゃないから勘違いしないように。一応店長が親だからね。」
クヨウはあくまで白面孤光の卵を受け取っただけだ。とはいえ、栄養分としてクヨウの魔力で育ってはいたので、クヨウの子供だと言ってもあながち間違いではない。そんな渦中のヒカリは生徒たちの勢いに押されて、サクラに抱きつき避難していた。
「みんな、今日はお店の見学に来たんでしょう?あまり本題から離れるとミリア先生が怒るよ?」
「サクラさん、そんなことで怒りませんよ。ただ、授業態度としては関心しないので評価を下げざるをえませんけどね。」
「「「え~~!!」」」
「横暴だ~」
ブーイングは多々あるものの、一応授業として道具屋の見学に来ているのだから、ヒカリのことはあまり関係ないことでもある。授業中に関係のないことをしていると評価が落ちる。単純に言えばそれだけの話だ。若干渋々に生徒たちは見学の続きをしてから、他の店へ移動していった。
「嵐が過ぎ去った。そんな感じですね。」
「元気がいいのも考えものね。もう大丈夫よ、ヒカリ。」
「うん、でもちょっと怖かった。」
無邪気な悪魔が過ぎ去ったことにヒカリは安堵し、そのまま窓際の定位置に移動するとすぐに眠りについた。
「よく寝ますね。白面狐光ってそういう種族なんでしょうか?」
「ああ、本人から聞いたんだけど違うみたいよ。どうも育ての親の影響が大きいみたい。クヨウさんもヒカリの立場なら一日中窓際で昼寝をするって断言してたから。クヨウさん、昼寝好きだし。」
「そういえば、一度丸一日寝てたみたいですからね~。」
ミリアが思い出しているのは以前ユニークモンスターに襲われた時のことだ。人が心配しているさなか二度寝で1日費やされると思わなかった。
「そういえば、話が変わるけど白面孤光って何か伝説があったりするの?」
「え?伝説ですか?あ~、そういえばありましたね。人間の勇者が魔王を倒す際に知恵を貸したとか。まぁありふれた話ですけどね。」
「へぇ~・・・知恵をね。今クヨウさんが抱えている問題もトワさんの知恵でなんとかできないのかしらね?」
「あ~、一応魔王退治・・・ですからね。ただし、あくまで御伽噺ですよ?本当にそういう話があったとは限りません。」
「トワさんが何も知らなきゃ意味はないか。ハイリスク、ハイリターンか・・・リスクが大きすぎるわね。」
トワに頼るにしてはリスクが大きすぎた。トワの棲み処はおおよそしかわからない。しかも、本人がその時いるかどうかもわからないのだ。トワが棲み処にいて、何事もなく見つけたとしても、解決方法を知っているかどうかもわからない。また方法がわかってもその実行に時間がかかっては意味がない。すでに捜索でかなりの時間を費やしているだろうから、即解決できる方法でないと時間的に厳しい。何か1つでもかなわなかった場合はそのまま依頼未達になってしまう。はっきり言えば運任せに等しい行為だった。
「一応クヨウさんには話してみるけど・・・まぁ、実行するとは思えないわね~。」
「そうでしょうね~。」
2人そろって肩を落とす。実はこの話が解決の切欠になるのだが、2人はそんなこと知る由もなかった。
クヨウも同じ頃肩を落としていた。瘴気の細かい分析は上手くいった。問題は次だった。成分がよくわからない。何種類もの成分が出てきてしまい、ほとんど未知の成分だったからだ。元の世界の知識ではあり得ない成分まで出てきたものだから、どうしようもなかった。いっそ伝説級のアイテムでも創って解決してしまいたいのだが、生憎そんな都合のいいアイテムをクヨウは知らなかった。
「治療・・・・でもないよね。瘴気を除去して変異を元に戻さないと無理だよなぁ~。」
最初は瘴気を吸い取れればそれで終了だと思っていた。しかし、問題があったのだ。それは『変異』である。瘴気を吸っているだけであればそれを取り除けばいい。だが、瘴気を吸い込みそれによって変異を起こした場合は、瘴気を取り除いただけだとバランスを崩し、崩壊する可能性がある。相手は魔王だ。瘴気を取り込んで変異した存在である以上、ただ瘴気を取り出しただけでは解決しないのだ。結局振り出しに戻ってしまうクヨウだった。
夕方クヨウは店に出る。閉店まであまり時間はないが、店の品ぞろい等の確認や、追加販売したい魔法具を考えるためだ。
「クヨウさん、そちらの進みはどう?」
「ん~、さっぱりだね。もう解決策がさっぱり。」
「流石のクヨウさんでも、無理な物は無理なんですね~。」
「そりゃそうよ。駄目元でいいなら、いっそのことトワさんでも探してみる?分の悪い賭けになっちゃうけどね。」
「トワさん?なんでまた?」
サクラは昼間にミリアと話していた内容を話す。サクラも実現性が限りなく低いことは分かってはいたが、クヨウも恐らく同じ判断をするだろうと思っていた。しかし、サクラの想像とクヨウの反応は違っていた。
「あ~~~~~!その手があった~~~!」
「え?まさか本当に探すの?冗談・・よね?」
「ちょっと出かけてくるね、夜には戻るから後はよろしく!」
「あの?クヨウさん??」
クヨウはそのまま店を大急ぎで出て行った。残ったサクラとミリアは呆然としてるのだった。
ちなみに生徒からのミリアの呼ばれ方ですが、最初は「カーディナル先生」にしようと思ってたんですが、正直わかりにくそうなので「ミリア先生」にしておきました。
クヨウが何処へ行ったのか?勘の良い方は多分わかるかと・・・
では~、次回をお楽しみに。




