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第拾九話 冥獣四天王篇 第拾部 恐怖の江戸城・闇に照らされる悪魔の結界。

突然巨大化してしまった修羅魔神を目の前に、どうする事も出来ない導節達は、ただ立ちすくむばかりだったのである。


「どうするんだよ。あんなにでかいのと戦ったら、間違い無くやられてしまうんだぞ。」


「落ち着けっ・・・。こうなったら、術を使って一気に仕留めるしかない。」


「でもそんなので、修羅魔神を倒せるのかよ。」


「せやっ、やってみなきゃ分からへんやろ。」


「とにかく一か八かやってみるしかないな。」


すると導節達は、八方向から一斉に術を施し、打撃を与えようとしたのだが、巨大化した修羅魔神は全く打撃を受けていなかったのである。


『無駄だ、貴様等の術など痛くも痒くもないわ・・・。』


「駄目だっ、全く効いていないや。」


「どうするんだよ、これじゃ奴を倒すのは無理なんじゃないのか。」


「そんな事は無い、必ず何かいい方法がある筈だ・・・。」


「でも、どうやって修羅魔神を倒すって言うんだ・・・。」


すると、導節はある方法を思いついたのだ。


「こうなったら、空中戦で戦うしかないな。」


「でも俺達は空を飛ぶ事すら出来ないんだぞ。それに、簡単に空を飛ぶなんて有り得ない話しだぞ・・・。」


「いや、不可能を可能にするのは我々天空八将神だ。とにかく信じる心があれば、必ず空を飛べる筈だ。」


「せやっ、導節はんの言う通りやで。信じる心があれば、誰でも飛ぶ事が出来るんや。」


「よしっ、やってみようぜ。」


導節達は心を一つにして、新たに覚えた空を飛ぶ呪文を唱え始めていったのであった。


『天空秘術・飛来舞空術ひらいぶくうじゅつ・・・。』



すると、導節達の身体が突然宙を浮かび上がり、空を自由自在に飛べる様になったのである。


「な、俺達空を飛んでいるのか・・・。」


「信じられないけど、本当に空を飛んでるぞ。」


「これで、修羅魔神と対等に戦えるぜ。」


『な、そんな馬鹿な・・・。奴等空を飛べるのか・・・。』


「ったりめぇだろ。俺達を甘く見くびるんじゃねぇぞ。」


「どやっ、わい等ほんまに空を飛んでんねんで。これで、勝負は勝ったも同然や。」


『ふんっ、貴様等がどう挑もうと、状況的には我が有利な筈だ。例え空から応戦しようとも、こちらには強力な武器があるんだ。』


「それはどうかな・・・。強力な武器があるからって、必ずしも有利とは限らないぞ。」


「その通りだ、修羅魔神。我々は決して負けはしないんだ。」


「行くぜっ、我等天空八将神の力を思い知るがいい・・・。」


そう言って導節達は、再び修羅魔神に攻撃を仕掛けていき、四方八方から攻撃技や術を駆使しながらやっつけていくのだった。


暫くして、修羅魔神は窮地に追い込まれ、遂には導節達にこう話していった。


『天空八将神よ、我はもう戦いはしたくない。心を入れ替えて闇の一族に反旗を翻そうと思っている。』


「どう言う事だ。闇の一族に反旗を翻すって・・・。」


『我はかつて天空十二神の一人・東岳大帝と名乗っていた。ところがある日、闇の風使い・白虎将軍に妖術を掛けられ、それ以来ず〜っと自らを修羅魔神と名乗り、悪事の限りを尽くしていった・・・。』


「ところが、そのあんたが闇の一族を裏切ると云う訳だな。」


『あの闇の風使い・白虎将軍のやり方は、あまりにも卑劣過ぎる。これまでに、幾多の悪事を重ねて来た闇の一族を許す訳にはいかないからな。』


「随分と闇の一族に恨みがある様だな。」


「せやかて、あんな奴の信用なんか出来るかいな。」


「いやっ、修羅魔神の言っている事は嘘ではないらしいぞ。それに、修羅魔神は天空十二神だった事は事実だからな。」


「九尾の狐よ、あの者は確かに天空十二神だったのか・・・。」


『ええ、姿形は妖怪の姿をしていますが、間違いなく天空十二神の一人・東岳大帝殿に間違いありません。』


『どうやら、信じてくれたみたいだな。』


「では、改めて東岳大帝殿と呼ばせて頂こう。」


『ああ、そうしてくれ。我の知っている限りの事を話そう。』


「東岳大帝殿、江戸の町でいったい何が起きているのだ。」


『今、江戸の町には行ってはいけない・・・。』


「どう言う事だ・・・。いったい江戸の町に行ってはいけないって・・・。」


『今、江戸の町は白虎将軍が施した妖術・魔導結界陣が張られている。』


「魔導結界陣・・・。」


「何か厄介な事になって来たな。でも何の為に結界を張ったんだ。」


「そんなの決まっているだろ、俺達の邪魔をする為さ。」


「でも、どうやって結界を破壊するかだよな。」


『それなら方法がある。でも、そう簡単には結界を破壊する事は出来ないぞ・・・。』


「・・・よしっ、とにかく江戸の町へ行ってみよう。結界を破壊する方法はそれからだ。」



暫くして、導節達と東岳大帝は急いで江戸の町まで辿り着いたのだが、時既に遅し・・・。


江戸八百八町は元より、江戸城の周りまで結界が張り巡らされていたのであった。


「くっ、これじゃどうにもならないな・・・。」


「こんなに結界が張られていたんじゃ、侵入する事すら出来やしないじゃないか。」


「なぁ、何かいい方法は無いのか・・・。」


「そう慌てるな、あの結界をどう破壊するかだな・・・。」


導節が結界を破壊する方法を考えていたその時、突然毛野が、「わいにいい考えてがあるで。」と話していったのだった。


「毛野、何かいい知恵でも浮かんだのか。」


「ああ、わいの飛翔丸であの江戸城の天守閣まで近付き、結界を破壊したるねん。」


「そうか、それだったら結界を張った奴を一気に攻めれば・・・。」


「江戸の町に張られていた結界は解かれると言う訳だ・・・。」


「ああ、万事わいに任せなはれ。」


早速毛野は、飛翔丸を呼び寄せる道具である、角笛つのぶえを吹き始めた。


すると、東の空から大きな龍が現れ、毛野の傍までやってきたのである。


『ぐぉぉぉ〜〜〜〜。』


「よう来たな、飛翔丸。これで一気に天守閣までひとっ飛びやで。」


「頼むぞっ、毛野。」



毛野は飛翔丸に跨がり、颯爽と江戸城上空まで上昇していったのだ。


「あとは、結界が解除されるのを待つだけだな・・・。」


「ところで東岳大帝殿、闇の風使い・白虎将軍はいったい何故結界を張っていったんだ。」


『恐らく、白虎将軍は江戸城を中心に、魔の都を造り上げるつもりでいるらしい。』


「白虎将軍め・・・。」


「とにかく、毛野が結界を破壊してくれる事を祈るしかないな。」



丁度同じ頃、江戸城上空を飛んでいる毛野は、結界が何処から発しているか、探索を続けていたのだが、未だにその元凶が見つからず難航が続いたのである。


「いったい何処から結界を張っているんねん。これじゃ全く分からへんやんか。」


と、その時だ。


江戸城の天守閣付近に何やら怪しい物体が城の四方に配置されており、毛野は一つずつ破壊していくのだった。


「よっしゃ〜、これで江戸城に進む事が出来るでぇ。」


しかし、結界を破壊したのも束の間、突然天守閣から怪光線が毛野を直撃し、真っ逆さまに急降下していったが、間一髪で難を逃れる事が出来たのだ。


「大丈夫か・・・。」


「わいは大丈夫や。そんな事より、結界は破壊されたで。これで、江戸城に入る事が出来る様になったで。」


「よくやった、毛野。」


「しかし、あの怪光線はいったい・・・。」


『あれは、白虎将軍が放った魔導光線と思われます。』


「くそっ、白虎将軍め。よくも毛野を・・・。」


「こうなったら、一気に攻めるしかないな。」


「導節様、我々には天空界の王・元始天尊様に護られているんだ。何も恐れる事は無い・・・。」


「せやっ、わい等は絶対に負ける訳にはいかんのや。何が何でも勝たなあかんのやで。」


「毛野もこう言っているんだ。皆で力を合わせて、闇の風使い・白虎将軍を倒すぞっ。」


『おぉ〜〜〜っ。』



一方、江戸城の天守閣では、闇の風使い・白虎将軍は結界を破壊されてしまい、次なる作戦を講じるのであった。


『遂に来たわね、光の八犬士が・・・。だけど、結界を破壊したところで、そう簡単には辿り着けないわよ。さぁ、無事この城の天守閣に辿り着けるかしら・・・。』


『申し上げます。』


『何事かしら。』


『はっ、たった今光の八犬士がもうすぐこの城に近付いて参ります。』


『そんな事は既に想定済みよ・・・。それで、奴等はどの辺まで来ているの。』


『はっ、半蔵門を通過し・・・江戸城の西門辺りまで迫っている様子にございます。』


『もうそこまで奴等は来ているのね・・・。だったら、あの手を使うしか無いわね。見てらっしゃい、光の八犬士達・・・。此処からが貴方達の最後となる罠を仕掛けてあげるから覚悟なさい。』


その頃、導節達は白虎将軍が罠を張った事に気付かず、江戸城へと向かっていたのだ。


「ちょっと待てっ、何だか様子が変だぞ。」


突然導節が他の犬士達を足止めし、話しを切り出したのである。


「どうした、導節。」


「いったい何があったんだよ。」


「ちょっと様子が可笑しいんだ。」


「どう言う事だよ。」


「こいつはどうも出来過ぎている様な気がしてならないんだ。」


「まさか、白虎将軍が仕掛けた罠だと言うのか・・・。」


「冷静になって考えてみろ。いかにも江戸城に入ってくれって言っている様なもんだろう。」


「もしそうだとしても、白虎将軍は俺達を罠に嵌める余裕は無い筈だろ・・・。」


「・・・こうなったら、二手に分かれて江戸城に潜入するしかなさそうだ。」


「信乃、現八、大角は私と一緒に東から潜入する。新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人は西から攻めるんだ。」


「ばっちり任せておけ。俺達四人で、奴等を撹乱させて見せるぜっ。」


『私は早速、この事を元始天尊様に報告致します。』


「ああ、頼むぞ。皆、手筈通りに作戦を実行する。決して失敗は許されないぞ。」


「了解っ。天守閣で逢おうぜっ。」



導節、信乃、現八、大角の四人は、江戸城の東側から、新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人は西側からそれぞれ二手に分かれて挟み打ち作戦を実行する事になった。


『とうとう此処まで来た様だな、光の八犬士。』


「ちっ、こんなところに妖怪が潜んでいたとはな・・・。」


「けど、俺達に逢ったのが運のツキだった様だな。」


「せやで、わい等が束になって掛かれば、貴様なんか一発で倒したるわいっ。」


「さぁ、覚悟するんだな。我等天空八将神の力を見せてやる。」


『ふっ、たった四人で我に挑もうと言うのか・・・。面白い・・・、この魔導妖怪・土蜘蛛つちぐもが相手になってやる。』


するといきなり、魔導妖怪・土蜘蛛が口から糸を吐き、新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人に攻撃を仕掛けていくが、四人はひらりと避けていき反撃を開始したのである。


「これでも喰らえっ、天空秘術・虚空雷鳴破っ・・・。」


「天空秘剣・波動烈火斬!」


「天空秘伝・八罫はっけい乃術。」


「天空臨技・武雷翔龍覇ぶらいしょうりゅうは。」


四人はそれぞれの必殺技や術を屈指し、魔導妖怪・土蜘蛛に大打撃を与えていったのであった。


『ぐぐぐ・・・、もう勘弁ならん。こうなったら、貴様等を纏めて始末してやるっ。』


魔導妖怪・土蜘蛛は再び口から糸を吐き、今までの倍以上の強力な粘着力の糸が、新兵衛達にまとわり付いていくのであった。


「しまった・・・。」


「なんや、身体が動かへんわ。」


「こいつを何とかしないと、抜け出す事は出来ないぞ。」


「だけど、この粘着力は半端じゃないぞ。いったいどうやって抜け出すか・・・。」


『無駄だ、我の吐き出した糸はそう簡単には離れぬぞ。さぁ、もっと締め付けてやるから、もがき苦しむがいい・・・。』


もはや窮地に立たされた新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人。


魔導妖怪・土蜘蛛の卑劣な攻撃に、為す術も無かった。


果たして、新兵衛達の運命やいかに・・・。


第弐拾話に続く・・・。


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