第弐拾話 冥獣四天王篇 第拾壱部 決戦!闇の天守閣 前編
魔導妖怪・土蜘蛛に苦戦を強いられていた新兵衛達は、強力な粘着力のある呪いの糸の餌食となってしまったのだ。
だが、新兵衛達は決して最後まで諦める事なく、脱出の機会を待っていたのである。
「あかんっ、動けば動く程余計に締め付けられてまうわ。」
「新兵衛、何とかならないのか・・・。」
「そんな事を言われても、どうにもなりませんよ。」
「しかし、どうやって此処を抜け出すかを考えましょう。」
『ふふふ・・・、何度やっても無駄だ。動けば動く程貴様等は我が呪縛の糸に因って締め付けられていくのだからな。』
もはや諦め掛けていたその時、突然新兵衛達の懐に忍ばせていた八大童子の宝玉がまばゆい光を放ち、魔導妖怪・土蜘蛛を目眩ませ、その隙に呪縛の糸を切り離していったのだ。
「これで、自由の身になったぜっ。」
「う〜、一時はどうなるかと思ったけど、何とか抜け出す事が出来たな・・・。」
「なんや、けったいな事になってもうたけど、やっと自由になったで。」
「もう勘弁ならないぜっ、魔導妖怪・土蜘蛛。」
『くっ、まさか簡単に我が呪縛の糸を打ち破ってしまうとはな・・・。』
「さぁて、どう始末しようかな。」
「あんな目に合わせたんだからな、倍にして仕返ししてやるぜ。」
「せやで、貴様なんかわい等が始末したるさかいな。」
「こうなったら、変身して戦うしかないぞ。」
『おお〜〜〜っ。』
新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人は、それぞれ印を結んで呪文を唱え始めた。
『天空を司りし八大守護神よ、今こそ我等にその力を授け賜え。天空変身・八将神変化っ。』
すると、新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人が金色の光に包まれ、光の戦士・天空八将神に変身したのだった。
『な、何っ。まさかあの伝説の戦士・天空八将神だと・・・。』
「その通り、天空八将神に変身してしまえばこっちのもんだぜ。」
「どやっ、これが本当の姿やで。」
「天下無敵の八将神の登場だぜ。」
「さぁ、魔導妖怪・土蜘蛛。勝負かこれからだぜっ、だが今度は同じ手は通用しないから覚悟しなっ。」
『ふんっ、変身したぐらいで我を倒せるとでも思ったか。だったら、もう一度勝負してやる。どれだけの物か見させて貰おうか。』
再び魔導妖怪・土蜘蛛は、口から呪縛の糸を吐き新兵衛達を攻撃しようとしたが、ひらりと身を避けながら魔導妖怪・土蜘蛛に攻撃を仕掛けていくのだった。
「破ぁ〜〜〜〜っ。」
新兵衛が果敢に魔導妖怪・土蜘蛛に挑み、更に小文吾、毛野、荘助が続けざまに攻撃を仕掛けていったのである。
『お、おのれ小賢しい奴等め・・・。こうなったら、貴様等を地獄へ道連れにしてやるっ。』
「そうはさせへんで、地獄に行くのは魔導妖怪・土蜘蛛・・・貴様の方やで。」
「その通りだぜ。もう貴様に猶予は無いんだからな。」
「今までの我等とは格段に違うんだ。」
「潔く我等の裁きを受けるがいい・・・。」
遂に新兵衛達は、魔導妖怪・土蜘蛛にとどめの一撃を刺していくのであった。
『天空秘剣・四神龍虎斬!』
新兵衛、小文吾、毛野、荘助の四人の合体技『四神龍虎斬』が炸裂し、魔導妖怪・土蜘蛛は遂に撃破されてしまうのであった。
「これで何とか先に進む事が出来るぞ。」
「それよりも、導節様達は無事天守閣に着いたのでしょうか。」
「さぁな、導節様達も恐らく同じ事が起きているのかも知れないぞ。」
「なんや嫌な予感がしてしゃあないねん。」
「どう言う事だよ、毛野・・・。」
「導節はんの身に、何か悪い事が起きる様な気がするんや。」
「それはちょっとヤバイんじゃないか。」
「急いで導節様達のところまで行こう。」
「ああ、そうしよう。」
一方その頃、江戸城の東側に向かっていた導節、現八、信乃、大角の四人は、あと一歩のところで魔導妖怪・火車が現れ、導節達の行く手を阻んでいった。
『待っていたぞ、光の八犬士達よ。』
「てめぇは、魔導妖怪・火車・・・。」
「なんでこんなところに・・・。」
『貴様等が此処へ来る事ぐらい、先刻承知していたのさ。特に、犬山導節にはな・・・。』
「導節、何か心当たりは無いのか・・・。」
「・・・はっ、まさか貴様あの時の・・・。」
『どうやら覚えていた様だな、犬山導節。だが、あの時は不覚を取ってしまったが、この次は貴様の命を頂く・・・。』
「魔導妖怪・火車、貴様だけは絶対許さない。」
「導節、こんな奴なんか一発で倒しちまおうぜ・・・。」
「待てっ、奴を侮ってはいけない。奴は地獄の炎を操る、とんでもない妖怪だ。」
『何をごちゃごちゃ言っているんだ。こうなったら、そこにいる奴から始末してやるっ。』
「そうはさせるかっ。」
すかさず導節は、必死に庇おうとするのだが、魔導妖怪・火車の卑劣な攻撃に因って負傷してしまうのであった。
「導節っ・・・。」
「しっかりしろっ。」
「くそっ、魔導妖怪・火車め・・・。」
「いいか、奴には手を出すな。これは命令だ・・・。」
「しかし・・・。」
「俺の言う事が聞けないのか・・・。」
「・・・分かった。」
『どうやら観念した様だな、犬山導節。望み通り、貴様の命を貰うぞ。』
しかし、導節は不敵な笑みを浮かべながら魔導妖怪・火車を睨みつけていたのだった。
「魔導妖怪・火車よ、貴様に命を奪われるくらいなら、例えどんな事があっても仲間を守るっ。」
『無駄な事を・・・、何が仲間を守るだ。所詮人間と言う生き物は、下等動物に過ぎないんだよ・・・。』
「もう一度言ってみろ・・・。」
『何度でも言ってやる。人間は我等魔導妖怪に殺されてしまえばいいんだよっ。』
「き、貴様・・・。」
導節の怒りが爆発し、単独で魔導妖怪・火車に戦い挑もうとしていた。
「貴様だけは、絶対に許さない・・・。あの時に起きた記憶が甦って来たぜっ。」
『ふんっ、だったらどうすると言うのだ。その身体では、到底我に敵う訳がなかろう・・・。』
「だったら、命を賭けてでも貴様だけは必ず倒す・・・。」
「導節、無理をするな。その身体では、余計に蝕んでしまうだけだぞ。」
「俺の事は心配するな、絶対に奴を倒してみせるさ・・・。」
「だけど・・・。」
「現八、信乃、大角、後は頼んだぞ・・・。」
『導節っ・・・。』
魔導妖怪・火車の攻撃を受けたのにも拘わらず、なお戦い挑もうとしていた導節だったが、魔導妖怪・火車は更に攻撃を続けていったのである。
『どうやら早死にしたいらしいな・・・。ならば、貴様の望み通り・・・地獄へ送ってやる。』
魔導妖怪・火車が導節に向かって地獄の炎を放ち、あわやこれまでかと思われたその時、導節の身体がまばゆい金色の光を輝かせ、魔導妖怪・火車の地獄の炎を跳ね返したのである。
『そ、そんな馬鹿な・・・。あの炎を跳ね返すとは・・・。』
「だから言った筈だ、俺は絶対貴様を許さないとな・・・。」
「導節・・・、何とも無いのか。」
「ああ、こいつのお陰で助かったからな。」
「それより、奴を倒す方法は無いのか。」
「奴は生半可な攻撃は一切通じない。こうなったら、変身して戦うしかない。」
「もしかしたら、天空変身か・・・。」
「ああ。そうでなければ、奴に勝てないからな・・・。」
「そうと決まれば、急いで変身だっ。」
早速導節達は急いで印を結び、呪文を唱えながら天空変身を施していったのだった。
『天空を司りし八大守護神よ、今こそ我等にその力を授け賜え。天空変身・八将神変化っ。』
導節、現八、信乃、大角の四人は、金色の光に包まれながら天空八将神に変身していったのであった。
『そ、その姿は・・・。もしや噂に聞く、伝説の戦士・天空八将神。』
「その通りだ、我等は伝説の戦士・天空八将神・・・。」
「魔導妖怪・火車、てめぇだけは絶対に許さないぜ。」
『くっ、どうやら厄介な事になってしまったみたいだな。』
魔導妖怪・火車は、地獄の炎で身を隠そうとしたのだが、導節達は一瞬の隙を突いて一斉攻撃を仕掛けていったのである。
「潔く天の裁きを受けやがれっ。」
『ふんっ、そう簡単に裁かれてたまるかっ。』
「ならば仕方があるまい、我等天空八将神の力を思い知るがいい。」
すると導節達は、四方向から一気に攻める攻撃で、魔導妖怪・火車を追い詰めていくのだった。
だが、魔導妖怪・火車をあと一歩のところで逃してしまうのであった。
『ははは・・・、残念だったな・・・天空八将神の諸君。』
「魔導妖怪・火車、逃がすものか・・・。」
『今日のところは引き上げるが、この次逢う時は貴様等を始末してやるから覚悟するがいい・・・。』
そう言って、魔導妖怪・火車は炎に包まれながらその場から姿を消していったのだ。
「くそっ、あともう少しで奴を倒せたのになぁ・・・。」
「仕方ないよ、奴は確かに強いが、深追いは禁物だからな。」
「導節・・・、何だか浮かない顔をしているみたいだが、何かあったのか・・・。」
「・・・いや、別に何でも無い。」
「そうか・・・。」
「それよりも、急いで天守閣に行こう。新兵衛達の事が気になるからな・・・。」
「四人とも無事でいるといいのだが・・・。」
暫くして、導節達は西側からやって来た新兵衛達と合流し、江戸城の天守閣へと向かっていった。
「ついに来てしまったな・・・。」
「この城の天守閣に、闇の風使い・白虎将軍がいるんだな。」
「みんな、油断するなよ。奴はどんな罠を仕掛けてくるのか・・・。」
「なんや、めっちゃ緊張してきたわ。」
「私も、何だか震えて来ました・・・。」
「毛野、荘助、大丈夫だ。誰でも緊張はするもんだ。気を引き締めて行くぞっ。」
いよいよ、導節達は江戸城に突入し、目指すは最上階の天守閣・・・。
途中、行く手を遮る魔物の妨害を切り抜け、遂に天守閣に辿り着いたのであった。
『遂に此処まで来た様だね、天空八将神の皆さん・・・。』
「闇の風使い・白虎将軍・・・。」
「あれが、冥獣四天王第三の刺客なのか・・・。何だか、恐ろしい妖気を漂わせている感じが気になりますね。」
「でも、此処で戦わないと、闇の大魔獣が復活するんやで。」
「だったら、一気に決着をつけるしかないだろ・・・。」
『それは無理よ。何故ならば、この城の天守閣にはもう一つの結界が張り巡らされているからだわ・・・。』
「何だって・・・。」
「どう言う事だ、白虎将軍。」
『この天守閣は、貴様等の術や必殺技を全て封じた。つまり、此処ではどんな手を使おうと、我を倒す事は出来ないのよ・・・。』
「どうする、導節。」
「仕方がないさ、術や必殺技が使えないんじゃ、力技で戦うしかないだろ。」
「そうとも、導節の言う通りだ。術や必殺技が使えなくても、力尽くで戦ってやるぜっ。」
『ほほほ・・・、果たしてこの白虎将軍を倒せるかしら・・・。倒された朱雀将軍や、玄武将軍とは格が違うのよ。さぁ、掛かってらっしゃい。』
遂に始まった天空八将神対闇の風使い・白虎将軍との戦いが、幕を開けようとしていた。
術や必殺技が使えない状況に陥った導節達は、満身の力を振り絞りながら白虎将軍に戦い挑むのであった。
「これでも喰らいやがれっ、白虎将軍っ。」
現八が果敢に戦い挑み、続けざまに小文吾、毛野、大角の四人が一斉に攻撃を仕掛けるが、逆に白虎将軍が手に持っていた芭蕉扇で四人を吹き飛ばしていったのだった。
『うわ〜〜〜〜っ。』
『ほほほ・・・、他愛も無いわね。それが、天空八将神の力なのかしら・・・。』
「ちっくしょ〜、全く歯が立たないや。」
「あの芭蕉扇のせいで、近づく事すら出来ないぞ・・・。」
「くそ〜っ、術さえ使えたら・・・。」
『いい加減に諦めたらどうなの。貴方達はもうどうにもならないのよ。』
「万事休すか・・・。」
窮地に追い込まれた導節達は、白虎将軍の卑劣な攻撃に手も足も出ない状況に陥ってしまった。
果たして、この窮地を脱出する事が出来るのだろうか・・・。
第弐拾壱話に続く・・・。




