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六來

「あんた、俺と組まね?」


転がる死神が言った新人とはこの男の事だろう。黒く長い髪は無造作に括られたのか乱れ、前髪に隠れ顔は見えない。そして死神の特徴とも言える鎌もなければ黒衣装でもない。未知のものに困惑すると共に腹立ちを覚え、鼻で笑った。


「フンっ。組む?戯言を。お前は敵だ。」


男は鼻歌を歌いながら軽く「そうなるよね〜」と煽るかのようにこちらを見る。命が次の言葉を出さそうとする前にーー

「新人お前何を言っている!就業規則説明しただろ!規則に従い即刻この女を処理しろ。そして早く俺の体を取ってこい!」

首にだけの状態でのたうち回りながら新人を怒鳴りつけた。新人は1歩ずつ死神に近づき頭を前にしゃがみこむと、


「就業規則ね〜。

先輩!俺さ手先器用だから説明書とか読まなくてもだいたいできるんすよ!ちっこい字見ると昔から眠くなるたちで。だから、よくわからないっす」


そういうと立ち上がり命の方へ進み始めた。

「なあ、あんた俺のこと敵って言ったよな?

じゃあ。」

男が両腕を広げ不気味な笑みを浮かべた瞬間。

グザッ肉を刺す音と共に

「ギャァァアアアアアアアア」と激しい叫びが鋭く耳を刺す。

その声の主を見ると鎌で急所である額を貫かれていた。

「お前何を…グフッ」

新人は死神の話を制止するかのように瞬きをするよりを早く死神の元に立ち鎌を抜き、腕時計を見せた

「先輩。俺もう退勤時間なんすよ。

それに――就業規則 第三十二条

(異常事象への対応)

一、対象が死亡確認後も活動を継続した場合、当該事象を異常と定義し、速やかに追加処理を実施すること。

これ先輩が対象者っすよね。だから。ね?」

ニコリと笑い、男は死神の頭を思い切り踏み潰した。すると死神はピクリとも動くことはなく崩れ始めた。


「生命反応なし、腐敗開始っと。」

死神が完全に消滅するのを確認すると

緊張感が流れる。しかし、それを払拭するかのように男はニヤケながら振り返り命の顔を見つめた。


「これで信じてくれたかな?」

そう言い放つと命の周りをゆらゆらと歩き回りながら様子を伺う。

「死神というだけでも胸糞悪いというのに

先程まで仲間だったやつを殺した者を信じろと?本当にお前たちのような死神はいけ好かない。それにっ!」

命が次の言葉を口にするために男の人差し指が唇に触れ制しされた。

「何か勘違いしてるみたいだけど、俺フリーターだから。それに今日は単発バイトの初出勤なわけ。わかる?俺とあいつは偶然組まされただけの他人であって仲間じゃない。だから四方に隠している式を解除してくれないか?」


命はしばらく男を睨んだ後、そっと手を上げ印を解き男の横を通り

「印を解いた。もうこの場から帰れるだろう。奴から情報を聞き出す前にお前が消してしまったからろくな物が残っていない。お前とは組まない。」

そう言い放つと手をヒラヒラと振り、男が閉めた戸を開け階段を降りその場を後にし、終わりのはずだったのだがーー



「俺の名前は六茉(ろく)。命ちゃん早く覚えてくれよ。ちなみに六茉くんでも六茉様〜とかろっくんでも好きに呼んでいいぞ」


私がビルを出た瞬間、屋上から飛び降りてきて

付き纏われている。消してしまいたい。とりあえず無視することにし、式神たちが私以上にキレ始めたことで多少男の声は聞こえにくくある。いくら式神達が私のためにキレようと使役してる私にしか念話は聞こえない。

耳を塞いでも意味が無いというのに手で押えてしまう。


「命ちゃん、今日の夜飯何?俺腹減ってんだよね。命ちゃんの家まで後どのくらいー?教えてくれたら俺先に帰っとくけど。ねー聞いてんの?」


命は男の腕を掴むと路地裏に入った。

「何?命ちゃんは飯と風呂すっ飛ばして俺?欲に純粋なおませさんだな」

ゴンっ。

六茉が横に目をやると短剣が耳スレスレのところで建物に刺さっていた。そして、命の方に目を移すと空気も凍るような鋭い目つきで睨みつけ

「お前とは組まないと言ったのに何で付いてくる。」

「俺のこと見逃してくれただろ?それって俺を信用してくれたってことだろ?だから命ちゃんは仲間だ」

深いため息が出た。

「初めに、無関係の神を殺すのは私の役目にはない。見逃したのではなく対象から消えただけだ。また、お前と仲間ではない。もう二度と付いてくるな。」

そう言い放つと短剣を抜き、立ち去ろうとしたが1つの言い忘れた事を思い出し振り返った。

「後1つ。私の名前を気安く呼ぶな」

その言葉を後に男と別れた。


帰宅する人混みの中で

「久しぶりに名前を呼ばれた」と言った少女の声を聞いたのは式神たちとあとは…。




















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