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その後、《ヘリオス》の外へと飛び出した3人は、街を転々としながら貴族から逃げ回る日々を送ります。
が、それは3人にとっては本当に自由な日々でした。
その後、一行はシューゼが母との思い出で見た”海の見える街”という記憶を頼りに、《アプトン》という港町までたどり着きます。
そこで、シューゼは《アプトン》とは近隣の帝国の侵攻で一度焼かれた港町であること。そして、その子供たちが戦争孤児となって奴隷商人に売られていったり、人攫いに遭ったことを知らされます。
さらに止まった宿屋から見える景色が、形は違えど記憶の中の風景と同じであったことで、自分の出自がこの港町の戦争孤児であったことを悟り、旅を終えることをエリオとポッポに宣言します。
そこから、3人は別々の旅をすることに決めました。
【シューゼのその後】
シューゼは、途中までポッポと各地を巡りながら、戦争孤児を保護して回ります。
まともな職を紹介したり、時には旅の友になったりしながら組織を大きくしていくと、最後は《アプトン》に戻り大きな館を立てます。
その後、館で孤児を育てながらシューゼは余生を過ごすと、最後はたくさんの本に囲まれ、母の思い出と同じ景色の見える窓から流れ込む風に抱かれてその人生に幕を閉ざしました。
シューゼの庇護を受けた孤児たちの多くは、庇護下から外れても戦争反対運動や孤児の保護活動に積極的に関わっており、今でもその思想・信念に大きな影響を与えています。
【エリオのその後】
エリオは海を渡ると、持ち前の目利きで小さな財を成します。
すると、そんなエリオに貴族や様々な利権に絡んだ案件が持ち込まれることでエリオはこの世界が何も変わっていないことを悟り、活動家になります。
その後、政治家になると貴族社会の不完全さを訴え、また女性の権利獲得に向けて世界の舵を大きく切るのでした。
そんなエリオの人生の最期は、シューゼの後でした。
エリオは政治家としての活動を終え、自分の選んだ結婚相手と過ごしながら、しばらくは農業をしつつ小さな市の司書をしていました。
のんびりとした生活を送る、エリオ。しかし、そこにシューゼの死の知らせが届くと、エリオは島をいくつも渡り、シューゼの元へ駆けつけました。
エリオはシューゼの建てた館の者たちに、それが穏やかな死であったことを聞き、さらにシューゼの部屋から見える景色とゆりかご椅子を囲う大量の本棚を目にすると、
「幸せになれたのね」
と、笑って、別れを告げました。
それから家に帰ったエリオは、自分の帰りを待っていた結婚相手をそっと抱きしめ、
「さ、ご飯にしよう。……今日は、リゾットだね」
と言って、自分に残された時間を大切に過ごしたのでした。
【ポッポのその後】
ポッポは、シューゼと旅をしていました。
しかし、ポッポは《ヘリオス》を出て外の世界も見れたことで、目標を失っていました。
シューゼとの旅の道中、ポッポはシューゼの優しさや事件巻き込まれ力から、村や町の人々の困りごとや悩み事を解決していきました。……発明品が、本人の思い通りに行くかは別として。
そうして人の役に立っていくうちに、とある町でポッポは求婚をされます。
すると、ポッポは目的の無かった旅に終わりを告げ、その町に腰を据えることにしました。
それからは、発明家として取った弟子が後に大学教授を務めることになったり、世界初の魔石人形を開発したりと、論文を発表したり商品化して大々的に宣伝したりしないものの、後に”魔化混成学”と呼ばれる魔術と科学を合わせた学問の祖として素晴らしい成果を上げました。
ただ、悲しいことに晩年は行方知らずで、シューゼの死後、いつの間にかその死体の傍らに見覚えのある鈴と兜が置かれていたものの、ポッポの姿を見た者は使用人含め誰1人いませんでした。
こうして、3人は三者三葉の人生を歩み、その人生に幕を閉じました。
彼らの人生が幸せだったのかどうかは、彼らにしか分かりません。
しかし、あの町から飛び出したことで彼らは自由と不自由、苦労と成功を知り、彼らの功績や活動は後の世代へと脈々と受け継がれていくのでした。
終わり。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
これにて「シューゼと水蒸気の姫君」完結となります。
1週間の休載の後、「カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 」の第2章を更新していく予定です。
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