相も変わらぬ日常を
ピピピッ。ピピピッ。
目覚まし時計の音が鳴る。
「ん〜。」
低く唸りながら体を起こす。
午前5時50分。
全くもって代わり映えのしない朝。
◆
顔を洗い、歯を軽く磨く。
髪を整え、弁当を準備し、朝ご飯を食べる。
そして今度はしっかり歯を磨いて制服に着替える。
朝6:30。
「いってらっしゃい。」
今日も、祖母はそれだけ言った。
だから、僕も
「いってきます。」
それだけは、必ず返す。
自転車をこいで、最寄り駅に到着する。
朝6:40。
いつも通りの時間に、いつも通りの電車がやってくる。
そこからしばらく乗って乗り換えて、またしばらく電車に揺られる。
なんてことのない、ただの日常。
途中駅で1人、大切な人と合流する。
前まではタイミングが合うことはあまりなかったが、今では、彼女がいないときのほうが珍しい。
合流した彼女と、ポツリポツリ会話を楽しみ、ポツリポツリ、沈黙を過ごす。
これが、僕の日常。
◆
学校は朝8:30からSHRの時間が始まり、
15:15に帰りのSHRが終わる。
合計して7時間弱は管理された時の中で過ごすことになる。
それでも、その時間が、僕は大好きだ。
それも、今日で一旦区切りとなる。
3月23日。
2年生の修了式。
去年、この式に参加したとき、何を考えていたのか。
それは正直言ってあまり覚えていない。
けれど今は、確かに、希望が胸の中にある。
相変わらず長い校長の挨拶。
ちゃんと聞く気には全くなれない。
けれど、多分それが普通。
聞かなかったからと言って、人間失格なわけじゃない。
この1年で僕は大きく変わった。
"友"を知って、"恋"を知った。
向き合い方も、付き合い方も、やっと知った。
正解のカタチは未だに分からないままだけれど。
「以上もちまして、修了式を閉会いたします。一同、礼。」
深く、形式的に、頭を下げる。
これはこれで、正解なんだと思う。
◆
「じゃあ、短い春休みを楽しんで。受験勉強も忘れんなよ。」
そう言って、丸山先生はHRを締めた。
時刻はまだ11:00。
「誠志朗、飯行こうぜ!」
去年までは、考えられなかったことだ。
派手とか地味とか関係なく、僕に友人が見つかるのは。
「うん。」
返事をして、僕はみんなに合流した。
◆
歩き慣れた道。
それは、1人で歩いたり、2人きりで歩いたり、こうやって、みんなと歩いて慣れてきた道だ。
相変わらずのハイテンポで進む会話。
道路を挟んで向こう側に、ちらりと大切な人の影が見えた。
けれど、彼女だけが、僕のすべてじゃない。
一度、視線を落とす。
アスファルトは、硬く、見た目にその冷たさを映している。
けれど、これが僕の道。
この道を歩いて、僕はたくさんのものに出会った。
迷いながら、苦しみながら、進んできた。
だから、きっと大丈夫。
もう一度前を向く。
祭誠志朗は少し微笑んで、一歩を踏み出す。
透き通るほど青い空が、彼らを待っていた
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
誠志朗たちの物語はここで一度区切りとなります。
前作よりも設定を詰めて書けたかな。
けれどもまだまだ足りないな。
そう実感させてもらえました。
次回作、執筆開始しております。
近日公開予定です。
是非、そちらもよろしくお願いいたします。




