第二章乃 きゅう
その子は、最初生きていると思わなかった。
下宿に帰る途中、子猫の小さな声がした
見回したが姿が見えず、この辺では多い
生きていないものの声かと思ったのだ。
帰宅して、だが、どうしても気になって
やはり捜索に出ように玄関を出た瞬間、
彼氏が立っていて、あぁ金曜だったと思い至った。
状況を説明しようとしたら、
彼「そこの駐車場から、子猫の泣き声がした気がするんだ
探すの手伝って」
私「彼氏さんにも聞こえたんだ、うん、行こう」
駐車場に着くと、やはり生きていない猫が何人かいて・・・
しかし、私に気づくと一箇所に集った。
その車の下を見てみると、
居た!
掌にすっぽり包めるくらいの小さい子が。
まだ生きていた、しかし、近くの動物病院はすでに
閉まっている。
今、何かを食べさせるのも、体を洗うのも危なそう
なので、マフラーで緩く巻いて暖かくして一晩過ごした。
翌朝、動物病院が開くとすぐに連れて行った。
はじめて行く獣医さんだったが、優しいお爺さん先生で
スポイトで薬入りミルクを飲ませ、体を洗ってノミを取り、
言った「あと1日遅れたら亡くなってた、良かったね」と。
体が弱っててノミだらけで、亡くなってたら、
部屋がノミだらけになってたとも言われたけど。
保護した経緯を話したら、初診は無料にしてくれた。
その後も、お爺さん先生にはお世話になった。
彼氏さんの株も急上昇したわけで。
下宿は猫禁ではなかったので、部屋で飼う事にした。
こうして我が家の長男君が私の元に来た。
生きるか死ぬかの瀬戸際にいたくせに、
長男君はすくすく育った。
成長すると、実は長毛でペルシャとアメショの
ミックスではないかと言われた。
私が頭の後ろで腕を組んで寝転がると、
組んだ腕の肘付近の三角形で、丸くなって寝るのが好きな子で、
私の腕はいつも痺れていた。




