第二章乃 はち
専門学校は失敗だった。
すでに知っていることの確認程度で、
私が講師に立ってやりたいと思う位の知識と
人間性の講師しかいなかった。
しかし、この時すでに実家近くの仕事場を引き払い、
東京に引っ越していた為、一先ず2年は我慢しようと
思うことにした。
変化は学校以外の場所で、突然起こった。
学校の降りる駅でナンパされたのだ。
すっごく驚いた。
デザイン学校の降車駅であるだけに、
その駅には絵を描ける掲示板があり
私も程なく、そこの常連になった。
そして絵を描いている時に声を掛けられた。
若い、純朴そうな、本当に普通のサラリーマン。
身長は私より低かった。
だが、何故だろう?
すごく惹かれるものを感じ、数週間後には
初デートでデ○ズニーランドに来ていた。
当時のディ○ニーランドは、今よりもう少しキャストに
融通があって、仲良く手を繋いで歩いていたら、
ドナルドさんがやってきて、彼氏の手の甲をペシっと
叩き落とし、私の手を引いて、どこかに連れ去ろうとした・・・
いやぁ 慌てた、
人生で最も慌てたかもしれない。
多分、私はアウッアウッとしか言っていなくて、
彼氏はオロオロしているような、面白がっているような
不思議な面持ちで、こちらを見ていた。
しばらく、私はドナさんに連れまわされ、
一瞬だったような、長時間だったような、しばらくの後
ドナさんはグーフィー保安官に捕らえられ
私も無事、彼氏の元に戻された。
ドナさんの手は、フワフワで暖かかった。
帰りの電車を降りる時、ふと肩をつかまれ、
振り向き際、初めてKissをした。
後頭部をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
私は駅のホームに呆然としたまま残され、
彼は多分、きちんと別れの挨拶をして去った。
多分というのは、ガツンの衝撃が大きくて覚えていないのだ。
当時の私は、純情だったのだと
今、思い出しても恥ずかしい。
それから、しばらくして・・・
彼氏は、週末は私の下宿で過ごすようになった




