第二章乃 に
それでもまだ、世界は私に優しくなかった。
編集Oが交通事故で急逝した。
歩道に暴走車が突っ込んできた時、
近くにいた子供を突き飛ばし、
本人は逃げられなかったそうだ。
実に編集Oらしい。
編集Oのお葬式は、親類縁者、
お世話になった作家、編集者でごった返した。
そこで女性作家Sが錯乱、いや狂乱していた。
こういう時は、先に狂ったほうが勝ちだな
私は、女性作家Sをなだめるのに忙しく、
結局泣く暇もなかった。
お葬式が終わり、女性作家Sを自宅に送った
別れ際、女性作家Sがポツリと言った。
「私ちゃんは泣かないんだね」
心臓が破けた気がした。
全身が血の入った風船になり、破裂するかと思った。
呼吸もできず、ただ足だけが機械的に動き、
その場を遠ざかる。
帰宅する為、電車に乗った時
やっと時間が戻ってきた気がした。
女性作家Sは錯乱している、単なる八つ当たりだ。
解っている、でも・・・
2度とSの顔は見たくない
コミケへの出席も止め、漫画も見たくなかった。
それでも時間は過ぎ、
私は、編集Oの言葉を尊重し、見聞を広げるため
高校には登校していた。部活動はしていなかったが
妙な学校で、必須選択科目にサッカーか野球か
水彩画があった。
仕方なく選択した水彩画の講義で、更に
おかしな事になった。
水彩画の教師は、生徒会顧問の女性教師で
帰宅部の私に生徒会の手伝いを強要した。
新入生では、もう1人生徒会のお手伝いの男子がいた。
男子は、漫研の一員で「探検部」を作りたいと
願望する脳筋野郎でもあった。
私「探検部?」
男子「高校の裏山を駆け、地の物を採ったり食べたり、
キャンプしたり・・・」
私「ふーん」
(私はもう十分したから、入部しないよ)
だが、漫研及び探検部(自称)の部室にして、
生徒会の溜まり場になっていた地学室、
空を見るのが好きな私は、地学にも興味があった。
地学の教師は、校内でも最も変人である噂の
地学教師Tで、漫研と地学部の顧問と
探検部(自称)の推薦人も兼ねていた。
私は、この変人教師Tから地学の教えを受けるため
地学部と漫研に籍を置き、生徒会の手伝いを継続する
地学室に居つく変わり者の1人になった。




