19.夜の帳がおりるころ
ほうほう、ほうほう。
夜のとばりがおりてフクロウの鳴き声が聞こえる中、小屋の外では、ときおりことり、と音がしたり、何か大きな動物がやってきたりする気配がして、ハーリーは寝つけずにいた。
どうしよう、おそと、みたい。でも、だめっていわれたし、みないっておやくそくしたし。でもやっぱりきになるよー!
目をつむっていても眠くならないし、みんなが寝ている静けさがなんだか重くさえ感じられて、何度も寝返りを打ってみるけれど、全然眠れない。
おみずのんでみたらおちつくかしら。
ベッドから出ようとしたところでコナーにそっと撫でられて、びっくりして毛が逆立ちます。
「どうしましたか」
「おみずのんだらおちつくかなって」
「そうですね。私が淹れましょうか」
そろりとコナーはベッドから降りると、ハーリーを抱えてキッチンに向かう。
「眠れないのですか?」
「うん。やっぱりきになっちゃって」
「ならミルクを温めましょう。落ち着きますよ」
「ちょっとあまいのがいいな」
「はい、わかりました」
優しくほほえまれて、やっぱり好きだなと思いなおして。温かいミルクは甘さの分だけ早く体中に染み渡っていくようで、ハーリーは少し落ち着いた。
「やはり気になりますよね」
「うん。だっておそとでだれかおけはいがするんだもの。なにがおこってるのかなって」
「朝になればわかりますよ。それまでは外に出ていかないこと。森との約束です」
「もりとのおやくそく?」
「森はいろんな動植物が暮らしているところだから、お互いの生活の、そうですね、私たちにとってはなわばりとまではいきませんが干渉しすぎない方がいいんですよ。その中で木の実を特別にたくさん分けてもらうわけですから、感謝の意味も込めて私たちはその晩には出ていかないというわけです」
「ふうん。なんだかむつかしいの。わかったようでわかんないようで、こまっちゃうな」
「だんだん慣れてわかっていけるようになりますよ。出て行って持ってきてくれた誰かを驚かせたらかわいそうでしょう?」
「あせらないほうがいいのはわかってるんだけど、やっぱりきになるの」
「知りたくてうずうずするのもわかりますが、順を追っていった方が、より大きく楽しむことができますよ。私が保証します。だから今夜はじっと我慢ですよ」
「……うん。ありがとう。ぼくがまんがんばる」
カップに落としていた目をあげると、コナーの優しい笑顔があって、決してハーリーをだましたりしようとする表情ではないのを再確認して、ハーリーはもう一度決心しなおしてコナーに誓う。
「今回は、森のみんなが暮れる贈り物がどんなものか、それを楽しみにしましょうか。だれが持ってきてくれるのかは次のお楽しみにとっておいて、長く楽しみましょう」
「うん」
コナーはいつも優しく諭してくれるのがとてもうれしい。
「ねぇ、コナーのベッドでいっしょにねてもいい?」
「もちろん」
小さな灯りの下で、笑顔がほころんだ。




