先輩攻撃要員目的を達したやめると決断した
その申し送りが出たとき、攻撃体系はすでに「軍事組織」ではなく「惰性構造」になっていた。
王都ドリトルとの接触戦を続ける理由は、
もはや戦略文書の中には存在しない。
残っているのは三つだけだった。
・過去の前例
・組織維持のための予算
・やめる理由の未整理
報告書にはこう書かれる。
> 生活水準は向上している
> 食料供給は安定している
> 民間家電は普及している
> 攻撃対象からの直接的被害は減少している
>
> よって現行の攻撃継続は費用対効果に乏しい
そして最後に一文。
> 攻撃停止は合理的である
しかし、ここで問題が起きる。
「合理的である」と「停止できる」は別だった。
上層部は言う。
「停止すれば過去が無駄になる」
「ここまでの投資はどうする」
「面子は」
「責任は」
その瞬間、
戦争は“意味”ではなく“内部会計”になる。
一方、現場側はすでに限界に近い。
ある攻撃担当要員のメモにはこうある。
> もう分からない
> 何を攻撃しているのか分からない
> でも止まらない
> 止め方も分からない
そして別の一行。
> 食べ物はある
> 生活も悪くない
> なのに、なぜまだ続いているのか
それは単純な疑問だった。
だが組織の中では一番危険な種類の疑問でもある。
王都ドリトル側では、
この“停止議論”すら観測対象になっていない。
資源管理ロボは、ただ淡々と状態を維持する。
出来ません
売りません
守ります
そこには敵対も説得も存在しない。
ただ「接触があったかどうか」だけが記録される。
王クラークは報告を読みながら言う。
「向こうは止める段階に入ったな」
優利恵が聞く。
「止めるって、戦争をですか?」
王は首を振る。
「戦争ではない」
「“継続理由”をだ」
その言葉は重かった。
夜。
外部国家の会議室。
ついに一部の官僚が言う。
「攻撃停止は無駄ではない」
「むしろ継続の方が無駄だ」
沈黙。
長い沈黙のあと、
別の誰かが呟く。
「じゃあ、誰が責任を取る」
その瞬間、
議論は再び止まる。
合理性はある。
しかし決定できない。
それが最も多い状態だった。
王都ドリトルは変わらない。
水は流れ、光は灯り、契約は更新される。
中心には鉄機械。
出来ません
売りません
守ります
それは防衛ではない。
攻撃の有無すら関係なく存在する、
「維持そのものの形式」だった。




