第8話 休日の密談 ── 香坂の正義 ──
いつも読んでいただきありがとうございます。
翌日は休日だった、鎌倉 喫茶ル・アンジュ
窓の外では、小雨が降っていた、、
迅と香坂、そして桧山が向かい合って座っている。
テーブルの上には、国会関係者の資料。
その中に、「橘国政 記者会見映像」と記されたファイルがあった。
「これは……?」
迅が問いかけると、香坂が頷いた。
「そう。JBSテレビが昨日入手した“例の動画”だ、
橘が平泉に何かを指示している場面が映っている。」
「昨日、桧山と梓ちゃんがJTBテレビを退社した後で、片山が持ってきたんだ!」
桧山が深く息をつく。
「橘の息がかかっている……。けど、放映すれば、すべてが終わる。」
その瞬間、背後のドアが静かに開いた。
黒いコートの男が、傘を軽く払って中に入ってきた、、
迅が反射的に振り向く。
「……片山洋介?」香坂の目が一瞬だけ鋭く光る。
桧山の背筋が固くなる、、、。
片山が3人の前に向かってきた、
「ご一緒してもいいかな?」とゆっくりと席に近づき、
何の挨拶もなく桧山の隣の椅子に腰を下ろした。
「桧山、顔色悪いぞ、、、」
「あなた、、、……つけてきたのね。」
「“偶然”という言葉を信じるか?」
片山は笑うでもなく、視線を香坂に移した。
「香坂さん、昨日の動画みて話してたんだろ?どうするつもりだ?」
香坂が無言で頷く。
「目的は何だ…?」
「橘を終わらせる。」片山の声は冷たかった。
「昨日渡した“映像ファイル”を、全国放送で流す。
編集も指示もいらない。ありのまま、全てを公表したい、、」
「無茶だ!」迅が言った。
「今のタイミングでそんなことをしたら、局ごと潰される!」
「だが、、、、」
香坂は腕を組み、ゆっくりと答えた。
「……正直、俺は良いと思ったよ」
「香坂さん?」
桧山の声に驚きが混じる。
「真実を流さない報道なんて、意味がない。
橘がどうなろうが、国民がどう受け取ろうが、俺たちは伝えるべきだ。」
片山が薄く笑う。
「やはり、あんたは分かってるな。」
だが、桧山が冷静に言葉を挟む。
「……あなたの方法は直線的すぎるわ。
政治も報道も、人間関係もそんな単純じゃない。
慎重に動かなければ、逆にすべてを失うわよ。」
迅も頷く。
「橘や国民自由党が裏で動いてる以上、こっちは綿密に仕掛けるべきです。
勢いだけじゃ……勝てない。」
片山は黙って立ち上がり、コートを羽織り、、
「話は終わりだ。」そう言って、伝票を持って立ち上がる、
「ここは、私が、、」と、背を向けてレジに向かう片山の姿を、
三人はただ見送るしかなかった。
・・・沈黙・・・
カップの中のコーヒーが冷えていく・・・
そのとき——。
後ろの席から、静かに声がした。
「香坂さんはホントに、馬鹿ですね〜。」
「っ!!……びっくりした〜!」
三人の声が見事に重なった。
「梓ちゃん!!」隣の席の陰から、変装した梓が顔を出した。
帽子にマスク、そして黒縁メガネ。「いつから居たの!?」
迅が目を丸くする。梓は小さく笑った。
「私ね、三人より先に来てたよ。
……1時間前の自分の“未来”を見て。」香坂が息を飲む。
「未来を、見た?」
「う~ん、今回は目を見られなかったから“聞いた”って感じですね、、、
——片山は今、私の2メートル以内にいたから、、、
彼が何をしようとしてるか、なんとなく伝わってきたの。」
その目には、いつもの柔らかさではなく、確信があった。
「香坂さん……彼の“次の一手”、あなたを消そうとしています。」
沈黙が落ちる。
香坂は小さく息を吐き、
「……やっぱり、そうなるか。」と呟いた。
迅が香坂に尋ねた、
「片山の映像は、フェイクではないんですか?」
香坂はゆっくり頷いた
「俺達はプロだ、昨日遅くまでウチの技術が確認してたよ、、
加工の痕跡はなかった、」
香坂:「桧山はどう思う?、、、」
桧山:「映像は本物で間違いないわ、でも、、、
どうして香坂に持ち掛けてきたのか気になってた・・・、
でも、今の梓ちゃんの言葉で核心できた、
香坂に罪を着せる事が目的」
迅:「それは、、どうすればいいんでしょうか?」
桧山:「大丈夫よ、任せて!!・・・今日はもう終わりにしましょう」
桧山が立ち上がろうとすると、
梓:「片山さんの最終的な目的は、橘を失脚させる事でしょうか?」
桧山:「それもあるけど、、、多分違う
もっと単純で恐ろしい事を考えているんだと思う、、、」
迅:「あやさんの仇、、、でしょうか?」
桧山:「そうね、その方がしっくりくるわ」と、ほほえんだ。
明後日に介護特番を放映するが、
そこで国仲あやの遺書動画を差し込む計画だった・・・
これは政治の闇と、マスメディア業界にある
裏の世界を公表し、国民に今の政治の真実を知ってもらいたい!
そう考えていたが、片山の持ってきた映像を見て、
政治の見たくない部分が見えてしまった時、
俺達がしようとしている事は、同じなんじゃないかと、、、
錯覚してしまった、、
迅:「香坂さん、介護業界の人材不足の話し聞いた事ありますか?」
香坂:「もちろん知ってるよ」
迅:「実は昔、橘国政に会った事があるんです、、、
まだ、介護の世界に入ったばかりの頃、橘国政が総理大臣だった頃、、、
介護施設に来たんです、、、
当時、『介護職員処遇改善加算制度』の導入に対する視察でした、」
「その時、橘の印象は悪く無かった、、、職員達の声を聞き、新人の僕の話しまで
しっかり、聞いてくれたのを覚えています。」
「介護の仕事は、人の生活を支える仕事、
どちらが上みたいな関係性ではないんです。
その人たちがみんな、
平等で対等な関係性で支えあっているのが介護の世界です」
「香坂さんの言う真実は、政治の世界の話しで、人の命まで奪ってしまうくらいの
関係性に真実は必要でしょうか?」
香坂:「・・・そりゃあ、、、、どーゆー意味だ、、、?」
迅:「僕は優秀な人間じゃありません、、でも、人を助ける事ができるなら
とても、嬉しいし、、、助けられなかったときは、ホント落ち込みます。。」
迅:「橘が昔し僕に、こう質問しました、『君は給料に満足しているかい?』
新人だった僕は、『給料はいくら持っても満足はできないと思います、』
でも、今はこれで満足です(そう言ってかりんとう饅頭を見せた、)
橘:『これは?』 迅:『シゲさんがくれたおやつです。』と笑った、
重さんは不愛想でありがとうとか言わないんです、、、
でも、、いつも最後に1つくれるんですよ、、」そう言って笑ったんです!!
迅:「そう言ったら、橘総理の目から涙が流れたんです、、、
それがずっと気になってて、、」
迅:「政治もマスコミも、見せたい様に見させられてるんじゃないかと、、、
また、僕たちが見せようとしている真実ですら、
僕らの知らない真実があるんじゃないかと・・・」
香坂:「人から伝わる真実より、対面で感じ取る真実か、、
それは、マスコミにはできないな、、、」
外では、雨音が強くなっていた。
まるで、何かが始まる合図のように。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。




