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地底の未来  作者: Spumante Rock


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32/32

第32話 選別される未来 ― 神の介入 ―

いつも読んでいただきありがとうございます。

ビルの屋上。

街の喧騒が、遠くに霞んでいる。

青空を映すガラス群。

その光を見下ろしながら、

蓮は無言で立っていた。


「やはり、貴方が動いていたのね」

背後から、静かな声。


振り返ることなく、蓮は答える。

『私は常に動いていますよ』

ヒールの音が、乾いたコンクリートに響く。


エレナが隣に並び、同じ景色を見下ろした。

「梓と手を組んでいるように見えるけど……違うのかしら?」

わずかな沈黙。


蓮はゆっくりと振り向いた。

『そんなに単純な話じゃないよ』


「そうかしら」

エレナは微笑む。


だが、

その目には一切の感情が宿っていなかった。


「未来が変わり始めている。

あの討論会……想定より早い」

蓮は視線を外す。


『……君たちにとっては、誤差の範囲だろう?』


「ええ」

あっさりと肯定する。


「すべては予定通りに収束する」

その言葉には、わずかな冷気が含まれていた。


蓮は静かに問いかける。

『エレナ……君の目的は何だい?』


一瞬の間。


エレナは空を見上げたまま答えた。

「プロジェクト・エリドゥ」

風が吹き抜ける。


「人類の“再構築”よ」

蓮の視線が、わずかに鋭くなる。


「今の文明は、不完全すぎる」


「技術は進歩し、寿命も延びた。けれど……」

一度言葉を切る。


「“質”が伴っていない」


『だから、選別するのか』


「違うわ」

エレナは首を振る。


「“最適化”よ」

その言葉は、あまりにも軽かった。


「リセットメモリーの循環は、

すでに限界に来ている」


「同じ魂が、同じ過ちを繰り返すだけの構造……

だから一度、整理する必要があるの」

蓮は沈黙したまま、続きを待つ。


「意識の選別は、ほぼ完了している」


「適合する魂と、適合しない魂」


「それを分けるだけ」


『……何人だ』

エレナは一切迷わなかった。


「日本で一億人」

空気が、わずかに重くなる。


「それで十分よ」


「十年もあれば、社会の主導権は完全に移る」


「私たちが、“管理者”になる」

蓮の瞳が、わずかに揺れる。


『残りは……どうする』

エレナは一瞬だけ蓮を見た。


そして、何でもないことのように答えた。

「不要よ」


「ただし、資源としては使える」


「戦闘用に月へストックして、

クローンに意識を転移(LIFE IN)させることもできるわ」


沈黙。


街の音だけが、遠くで続いている。


『……それが、お前たちの“進化”か』


「ええ」

即答だった。


「無駄を排除し、最適な構造にする」


「それが文明の到達点よ」


蓮は小さく息を吐いた。

『神のつもりか』


「違うわ」


エレナは静かに言う。

「神は、選ばない」


「ただ見ているだけ」


その言葉に、蓮の表情がわずかに変わる。


「でも私たちは違う」


「選ぶことが出来る」


「だから、選ぶの」

風が止む。


一瞬の静寂。


蓮は、ゆっくりと口を開いた。

『橘国政も……その“選別”の一部か』

エレナは答えない。


ただ、わずかに微笑む。

それが答えだった。


『必要な犠牲、か?』


「違うわ」


「“必要な調整”よ」

その言い換えに、空気が一変する。


『人の死を、調整と言うのか』


「感情の問題ね」

エレナは淡々としている。


「全体を維持するために、個を切り捨てる」


「それは、どの時代でも同じよ」


蓮はしばらく黙っていた。

やがて、低く呟く。

『……だから、俺は降りた』


『あの時と同じだ……お前たちは、また繰り返す』

エレナの視線が、わずかに動く。


『お前たちのやり方は、“均衡”を壊す』


「均衡?」

エレナは小さく笑う。


「そんなもの、とっくに壊れているわ」


「だから、作り直すのよ」


『違う』

蓮は静かに首を振る。


『均衡は壊れない』


『壊れたように見えても、必ず修復される』

エレナの表情が、わずかに変わる。


『歴史は補正される』


『だから俺たちは“観察者”なんだ』


沈黙。


エレナは空を見上げたまま言う。

「……それでも」


「今回は、違うわ」

その声には確信があった。


「観察では終わらせない」


「人類は、次の段階に進むところまで来たの」

蓮は目を閉じる。


そして、小さく呟いた。

『その代償が……橘か』

エレナは否定しない。


それが、すべてだった。


長い沈黙。


やがて蓮は、静かに言った。

『……梓が動くぞ』


『だから、お前たちの予定通りにはならない』


「ええ」

エレナは微笑む。


「それも分かっているわ」


「だから面白いのよ」


「未来を変えようとする者と」


「未来を管理しようとする者」


「どちらが勝つのか」

風が再び吹き抜ける。


蓮は街を見下ろした。

そして、静かに口を開く。


『我々は……人間ではない』

エレナの視線が止まる。


『シュメールの意識体だ』

短い沈黙。


『だが、人間の器は未完成だった』


『何度も失敗し、記憶を失い、繰り返してきた』


『……だが今は違う』

蓮の目が、わずかに鋭くなる。


『人間は進化した』


『我々の意識に耐えられる器になり始めている』

風が強く吹いた。


『梓はその例外だ』


『高すぎる適合率……だから未来が歪む』

エレナは静かに聞いている。


『そして…』


蓮はわずかに目を伏せた。

『未来は、すでに変わり始めている』


『その原因は……俺だ』


沈黙。


エレナの口元が、わずかに歪む。


「なら尚更…」


「止められないわね」

蓮は何も答えない。


ただ、街を見下ろしていた。

取り返しは、つかない。

風が、世界を静かに揺らしていた。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


次回投稿 まで投稿を一旦休止します。

書いていたストーリーが納得いかなくなってしまい、

修正が必要になってしまいました・・・

すみません!!


できるだけ早く投稿できるよう頑張ります。

少しお時間ください。


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