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21話 制約?

シン達は轟音がした屋敷の前へと着き、唖然とした。

「何これ?」

シンの目に映ったのは、大きくえぐれた地面と、その周囲に倒れている派手な鎧をまとった騎士達、そして豪華な装飾の施された衣服を身に着けた細身の中年男性だった。その者たちを、弓を手にしたルシアが冷たい眼差しで見下ろしていた。

「あの者どもが不快な発言をした結果です」

「当然の結果だ」

「天罰です〜」

ルシアのそばにいたセリー、ガイ、ライがそう言った。

「何があったの?」

シンはセリーに何があったかを聞く。

「説明しますと…」

シンは簡潔にここに至る経緯を聞いた。

「なるほど…騎士団長が話したことをあの派手な服装の人達が母様に言って、それを聞いて母様がブチギレしたのね…」

シンはビビンバ国の者達を哀れだと思った。

「先にやられちまったか…」

そう言ってヤミは剣をしまった。

「本当にビビンバ国は大っ嫌いよ!シンちゃんは私が守るわ!」

ルシアは意識のないもの達に向かって言った。

「ねぇヤミ、こいつらどうするの?」

ルシアはヤミに公爵たちの処遇をどうするのかと聞く。

「牢にぶち込んで洗いざらい吐いてもらう」

そう言ってヤミは騎士達に指示を出し、ビビンバ国の者達は騎士達に運ばれて行った。

「これで解決ですね」

「…そうだといいけどね」

アルの言葉にシンがそう言ったのだった。

―――――――――――――――――――

翌日の早朝にダイニングにてシン達は食事をしていた。そこに手紙を持った騎士がダイニングに入ってきた。

「国王様こちらを」

そう言って騎士はヤミへと手紙を渡し、ヤミは手紙を読み不機嫌になった。

「どうしたの?」

ヤミへとルシアが聞いた。

「クソ野郎が自ら公爵を引き取りに来るとよ」

その言葉にルシアは席を立って言う。

「シンちゃんアルちゃん!今すぐ帰るわよ!」

「今ですか?!」

「さすがに急すぎでは…」

ルシアの言葉にシンとアルが言う。

「ビビンバ国王の狙いはシンちゃんなのよ?」

「しつこいね…」

「懲りませんね…」

「だから今すぐナガリオを出るわよ!」

「ですが、武器屋と魔導店に行きたいのですが!」

「ここを出るついでによればいいでしょ!」

「わ、分かりました」

「今すぐ旅支度をしましょう!」

そう言ってシンとアルがダイニングを出ようとした時、止める者がいた。

「待て!」

「ガイ?」

「なんの用です?」

2人の前に現れたのはガイだった。

「俺が国を出た理由は覚えてるよな?」

「う、うん…僕が原因の一つだったね…」

「そうだ、俺は昔からお前の護衛のために鍛えさせられたんだ」

「シン様の護衛は私ですよ!」

アルがガイへと言った。

「うるせぇ!俺はシンの従者になるぜ!」

「ええ!!」

ガイの言葉にシンは驚いた。

「馬鹿なことは言わないでください!第一、あなたは国から逃亡した身でしょう!」

「細かいことは気にすんなって」

「いや、細かくないよ!」

「ライさんも止めてくださいよ!」

アルは席に座っていたライに声をかけた。

「私も一緒に行きます〜」

「「なぜ!!」」

ライの言葉にシンとアルが同時に言った。

「面白そうですから〜」

「あぁ…そう…」

シンが呆れながら言った。

「ルシア様!2人を止めてください!」

アルはルシアに助けを求めた。

「いいじゃない!」

「「え?」」

シンとアルはルシアの言葉に唖然とした。

「お父様には私が連絡しておくから2人も旅支度をしなさい」

「わかったぜ!」

「はい〜」

「え〜」

「またガイと旅ですか…」

「ふん、アルだけじゃシンを守れないだろ」

「なんだと貴様!」

「はいはい、すぐに準備するよ!」

そう言ってシンはアルとガイとライを連れて旅支度をするのだった。

―――――――――――――――――――

シン、アル、ガイ、ライ、ルシア、セリーはヤミを屋敷に置いていき、ハクとベガが引く馬車に乗り、武器屋でシンの剣を受け取り魔導店へと入った。

「あら、いらっしゃい」

「魔導書と杖を買いにきました!!」

シンは店員に元気よく言った。

「大金貨1枚と金貨5枚です!」

「じゃあ案内するわね」

そう言ってシンは杖のもとへと案内された。

「おい、それ世界樹の一部でできてねぇか?」

ガイが杖を見て言った。

「そうらしいよ、なんだか引き寄せられるんだよね」

そう言ってシンが杖を手に取った。

『見つけた…』

その時、声と同時に杖が光り出した。

「目がぁ!!」

「シン!魔法を使うなよ!」

「使ってないよ!」

シンとガイがそう言っていると光が止んだ。

「何今の?」

「もしかして不良品…」

アルの言葉に全員が店員を見た。

「……」

店員はシンの真上を見ながら固まっていた。

「どうしたんですか?」

そう言ってシン達が上を見上げると、そこには掌ほどの大きさの、白髪のロングヘアーを揺らした少女がふわりと宙に浮いていた。

『……』

「「「……」」」

少女はシン達を無言で見つめていた。それに耐えかねてシンが少女に向かって言った。

「…コンニチハ…」

『……』

コク

少女は頷くだけだった。

「あの子は精霊よ」

ルシアが答えた。

「精霊がなんで杖から?」

「そんなこともあるわよ」

「ないでしょ!」

ルシアの言葉にシンがそう言った。

『…』

精霊はシンを見つめて何かを訴えていた。

「…その…杖を買ったんだけど…僕が持っててもいい?」

『…』

コク

シンの言葉に妖精は微笑みながら頷く。

「ありがとう!それじゃ僕達は行くね」

そう言ってシンは魔導書と杖を買って魔導店を出たが…

『…』

「「…」」

妖精はシンについてきていた。

「アル!僕なんかしたかな?!」

「やっぱり住処を取られたから…」

「いや…そうだけどさぁ」

「仕方ないわね…」

そう言ってルシアはピアナを呼び出した。

「あれ?ここにいたのね」

ピアナは精霊に向かって言った。

「知り合いなの?」

「ええ」

「ピーちゃんならその子と会話できるでしょ?」

「任せなさい!」

ピアナは精霊の少女としばらく見つめあっていた。

「通じてるのかな?」

「微動だにしませんね」

「実体化してるってことは上級精霊だな…」

「なんで喋らないんですかね〜」

シン達がそう話しているとピアナが近づいて言う。

「シンちゃんと契約したいんだって」

「え?」

「杖を持っているからですか?」

「いいえ、シンちゃんだからよ」

「契約したいのは山々だけど…」

「ダメです!テイムはまだ危険です!」

シンの言葉にアルが強く言った。

「今すぐって訳じゃないわよ、シンちゃんが問題なくテイムできるようになったらよ」

「それなら問題ないよね?」

「それなら大丈夫でしょう」

その言葉を聞くと、妖精はシンの周りをクルクルと飛び回って喜んだ。

「でもさ、ずっといて大丈夫なの?」

「普通なら無理よ、だけどその杖があの子の住処だから大丈夫よ」

「じゃあテイムできるまでずっと杖の中?」

「いいえ、定期的に外に出られるわよ」

「それなら寂しくないね!」

妖精は嬉しそうに杖の周りを飛び回っていた。

「なら名前がいるよね?この子には名前はあるの?」

「えっとね…」

ピアナと精霊はまた見つめ合って通じあっていた。

「名前をつけてって」

「うーん…リリっていうのはどう?」

『……』

シンがつけた名前に妖精はシンの目の前でクルクルと回って喜びを表していた。

「気に入ってもらえて良かったよ、これからよろしくねリリ」

『……』

コクリ

リリは微笑みながら頷きシンの杖の中に入っていった。

「可愛い子だったね」

「ですがなぜ喋らなかったんでしょうか?」

アルの言葉にピアナが答える。

『それはねあの子の力が関係しているのと制約があるからよ』

「制約?」

『あら?知らないの?神人族の王子なら知っているでしょ?』

「知りませんよ」

『制約っていうのはね、神…』

「ピーちゃん!!」

ルシアはピアナの言葉を遮った。

「そんなこと知らなくてもいいわ!」

『シンちゃんに教えなくていいの?』

「私もシン様には教えなくても良いと思っています」

セリーがピアナに向かって言った。

『…分かったわ、それじゃ私は行くわね』

「ありがとう」

「ピーちゃんありがとう」

シン達にお礼を言われながらピアナは風とともに消え去った。

「それじゃあナガリオを出るわよ」

「「はい」」

シン達はベガとハクが引く馬車に乗り検問所にたどり着いた。

「やっときたか」

検問所で待っていたのはヤミだった。

「ヤミなんでいるのよ?」

「見送りは屋敷で済ませましたよね?」

「言い忘れたことがあってな、ヒメノ国の王城に寄ってくれ」

「私たち急いでるのよ?」

「ヨミもシュトラスに連れてってくれ」

「いいけど何かあるの?」

「おいおい、聞いてないのかよ?」

「学園のことですか」

ヤミの言葉にセリーが言った。

「ああ、シン達と一緒にヨミも入学するからよ」

「え!!」

「達?!」

シンとアルはヤミの発言を聞き驚いた。

「僕、学園に行くの?!」

「ウィルに聞いてないのか?」

「聞いてないわよ!!」

シンと同様に驚いていたルシアが知っていたセリーを問い詰める。

「ウィル兄様がルシア様には絶対話すなと」

「またシンちゃんと離れ離れになっちゃうじゃない!」

「シン様には必要なことですよ」

「いいわよ!城に戻ったらウィルに文句言ってやるわよ!」

ルシアはセリーに怒りながらそう言った。そしてもう1名嫌がる者がいた。

「嫌だよ!聞いてないよ!学園なんか絶対嫌だよ!」

「シン様国王様が決めたことですよ、それに私も行くのですから、そうですよね?」

アルはセリーへと聞いた。

「はい、アル様とお二方もですよ」

「俺もか!」

「私もですか〜」

セリーはガイとライに向かって言った。

「ヤダヤダヤダヤダ!」

シンはそう言って馬車の中で転がり回る。

「それじゃあ頼むぜ」

「分かったわ」

そう言ってルシアはベガとハクに指示を出して検問所を通った。

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!」

そうしてシンの声が響きながらベガとハクはシン達が乗る馬車を引いてヒメノ国に向かって進むのであった。


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