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18話 守りたい!

ナガリオの近くの森にて、鎧を着た騎士が焚き火を囲んでいた。

「なぁ、騎士と冒険者が大勢ナガリオから離れて大丈夫なのか?」

「だよな、貴族のワガママでナガリオが滅んだらどうするんだ?」

「相手は貴族だ、逆らったら何されるかわからねぇぞ?」

その時、騎士の一人が大急ぎで焚き火の元へ走ってきた。

「どうした?」

「そ、それが、偵察部隊によると魔物の大群がナガリオに向かっていると報告が!」

「なに!」

「数は!」

「それが…」

「正確に言え!」

「ハッ!1200匹ほどとのことです!」

「スタンピードではないか!」

「まさか!我々をナガリオから遠ざけたのも…」

「ナガリオ騎士団!」

焚き火を囲んでいた1人が立ち上がり大声で言う。

「これより!ナガリオへと戻り!ナガリオの民を守るぞ!」

「「「ウォォォォ!!!」」」

騎士団達の声が森へと響く。

「騎士団長!」

「どうした?」

「貴族への報告と冒険者はどうしますか?」

「そんなことは後だ!」

「わ、わかりました!」

「それでは、行くぞ!」

団長の掛け声とともに騎士団はナガリオへと向けて馬を走らせるのだった。

―――――――――――――――――――

シン達は検問所の前で今後のことを騎士達と話し合っていた。

「先程は助力できず申し訳ありません!」

そう言ってシンに向かって騎士が頭を下げた。

「頭を上げてください!」

「皆さんは市民を避難させていたのでしょう」

「ですが!冒険者とはいえ一国の王子殿下を危険な目に合わせてしまったのです!」

「今はそんなことを言ってる場合じゃあないですよ!」

シンが騎士に向かって言った。

「このナガリオにいる人達を守るためには王子なんやかんやはどうでも良いんですよ!」

「わ、分かりました!」

騎士はシンの言葉に驚きながらも返信をした。ガイはそれを見て笑いながら言った。

「おめぇみたいな奴は好きだぜ、アハハ」

「俺は女性が好きなんだ!」

「そうじゃあねぇよ!」

シンの言葉にガイがそう言った。

「それじゃあ今後について話しましょう」

「ハッ!」

そう言って騎士は地図を広げシン達に見せた。

「裏門があるんだね、ここから避難させようか」

「ですが、どの方向から魔物がくるか分かりません」

アルが言う。

「そうか、なら魔物達が現れたら手薄な場所から避難させよう」

シンは地図を見て指を刺し騎士に聞く。

「ここのナガリオの中心にある大きい場所は何ですか?」

「そこは教会ですね」

「なら、どの方向から魔物がきても最短で避難させられるね」

「では、市民を教会へ誘導します」

そう言って騎士は他の騎士に命令した。

「で、ナガリオにいる騎士は何人?」

シンが騎士へと聞く。

「30人です…」

(30人か…出払っている騎士が戻ってくる可能性も…だけど魔物の数によってはナガリオを放棄して市民達を避難させるしか…)

「ねぇ、ナガリオに領主はいるの?」

「いえ、代官がいるのですが…」

「もしかして、貴族に連れてかれたの?」

「はい…」

「代官には悪いけど場合によってはナガリオを放棄して市民を逃がそう」

「人命優先です、異論ありません!」

「わかった、10名を教会に待機させて、残りは防衛を」

「了解です!」

「早速、備えよう!」

「ハッ!」

そう言って騎士達が魔物の襲来に備えて準備を始めた。

「はぁ、まさか街を守ることになるなんてね」

シンはため息をつきながら言った。

「シン様、今すぐに人々を避難させないのですか?」

「魔物の規模が分からないし、もし市民を連れて避難しても鉢合わせたら守れないでしょ?」

「なるほど、ナガリオ内だと防壁がありますからね」

「だから、防衛戦だね」

「だかよぅ、騎士20人しかいないぞ?」

「そうですね〜魔法を使えるのも私とシンさんぐらいですし〜」

「そうなんだよねぇ、ライは範囲攻撃魔法は使えるの?」

「多少は使えますが〜中級までの風魔法しか使えません〜」

「ちょっと心もとないよねぇー」

4人がそう話していると騎士が言った。

「武器屋に30個ほど爆玉がございますが」

「爆玉ってなんですか?」

騎士の言葉にシンが聞いた。

「衝撃を与えることで爆発する玉です」

「おお!」

「ですが30個ですか…」

「アル、仕方ないよ」

「申し訳ありません、店主に聞いたところ貴族が大半を買っていったそうで…」

騎士が申し訳なさそうに言った。

「また貴族かよ!」

ガイが怒って言った。

「盗賊と繋がっているのは確実だよね」

「ですが証拠がありませんよ」

「そうだよねぇー」

(市民達を魔物から守ってもその貴族は無罪なのか…)

シンは不快に思っていた。

「それより爆玉を持ってきて貰えませんか?」

「直ちに!」

そう言って騎士は検問所を通って行った。

「シン様、魔物がくるまで体を休めましょう」

「うん」

(ナガリオに魔物を集めて何のために貴族は動いているんだ?まさか、他にも暗躍している奴がいるのか?)

そう思いながらもシン達は魔物の襲来に備えるのだった。

―――――――――――――――――――

深夜にて魔物の大群がナガリオへと進行していた。

「クギッ!」

ドスン!

暗闇の森に奇声や足音が響く。

暗闇にて木の天辺に立ち魔物達も見下ろしている者がいた。その者は黒いローブを纏い、灯りが灯ったナガリオをみていた。

「……」

風が吹いた途端にその者の姿は消えていた。

―――――――――――――――――――

盗賊がナガリオを襲撃した翌日の早朝にてナガリオに鐘の音が響く。

カンカンカン!!

「きたみたいだね」

シン達は防壁にて待機していた。シンの元へ1人の騎士が報告しにきた。

「魔物の数が確認できました…」

騎士は言いにくそうにしていた。

「大丈夫ですよ」

「は、はい、魔物達は群れごとに離れていますが、約1200匹いる模様です!」

【1200か…さすがにやばいなぁ…】

「方角はどこから?」

「それが…」

騎士の沈黙にシンは察した。

「全方角からかぁ…」

「まずいですね」

「籠城戦か?」

シンとアルの言葉にガイが言った。

「食料はどのぐらいあるんですか〜」

ライが騎士へと聞いた。

「3日ほどしか…」

騎士の言葉にシン達は驚いた。

「ちょっと!小さな村ならわかるけどナガリオは大きな街でしょ?!」

「最低でも2週間分はあるでしょうに!!」

「市場や食事処なんかの食料もあるだろ?」

「合わせてです…」

騎士は申し訳なさそうに言った。

「なぜですか〜?」

「実は食料もほとんど貴族に…」

「何だよそれ!!!」

騎士の言葉を聞きシンは激怒した。

「騎士も武器も食料まで!!」

(この世界の貴族はそんなにやりたい放題なのか!!!)

「どこの国の貴族なんだ!」

ライは怒りながら騎士へと聞いた。

「ビビンバ国の貴族です」

シンはその言葉聞き更に怒り防壁の壁を叩いた。

ドン!

「まだ懲りてないのか!!」

「王があれですからね」

アルも過去のことを思い出し不機嫌そうに言った。

「おい!きたぞ!」

ガイの言葉にシンは防壁から外を見た。そこには数百の魔物が迫ってきていた。

「レッドゴブリンにゴブリンがいるね」

「レッドゴブリンキングも数体いますね」

「やるしかねぇだろ!」

「頑張りましょう〜」

「ハハ、そうだね!」

(ガイの言う通りだ!全力でナガリオを守る!)

「全員!戦闘準備!」

「「ハッ!!!」」

シンはそう言って騎士に命令した。シンは防壁の上に立ち大声で言う。

「ナガリオの人々を守るため!全力を持って魔物たちを撃退せよ!!!!」

「「「ウォォォォ!!!」」」

その掛け声と共に戦闘が始まる。シンは先頭の魔物達に向かって唱えた。

「ファイヤーボム!」

ドォン!

「放て!」

シンの合図とともに騎士達が赤色の小さな玉を魔物達に向かって投げた。

ドォン!

「ギャッ!」

ドォン!

「ウガァ!!」

ドォン!

ドォン!

あちこちで無数の爆発が起き、魔物達を倒していった。

シン達も負けずと攻撃をし始めた。

「おらよ!」

ヒュン!

「エアショット!」

シュンッ!

「飛斬撃!」

シュッ!

「アイススピア!!」

ヒュンッ!

シン達が放った攻撃が魔物達へと降り注ぐ。

「全然減らないや…」

「シン様、これからですよ!」

アルに言われシンは気を取り直した。

「そうだね!」

(僕が落ち込んでどうする!全力で戦う!)

そうして、数時間に渡りシン達は騎士達と魔物を次々と撃退していった。

「ハァハァ、まだ湧いてくるね」

「ハァ、まだまだですよ」

【誰かが傍にいると頑張れる!】

シンがそう思っていると空を飛ぶ者が現れた。

「ファイヤーワイバーンだ!」

「10匹はいるぞ!」

騎士達が言った。

「その後ろにでかいのがいるぞ!」

「あれは!下級のファイヤードラゴンだ!」

騎士が示した先にはファイヤーワイバーンの2倍の大きさを持つファイヤードラゴンだった。

「爆玉は!」

シンは騎士へと聞く。

「もうありません!」

「仕方ない!「エアスピア!」」

シンの放ったエアスピアはファイヤードラゴンに当たったが無傷だった。

(おいおい!中級魔法が効かないってまじかよ!)

「グガァー!」

ファイヤードラゴンは咆哮を上げシンへと火を吹いた。

「やべッ!」

ボンッ!

シンはファイヤードラゴンの攻撃により防壁から落ち、シンのもとに魔物達が迫ってきていた。

「ぐぅ…最後まで守ってやる!」

そう言ってシンは剣を抜き魔物に斬りかかった。

「ハァァッ!」

ジュシャ!

「エアカッター!」

ヒュン!

「アイスショット!」

「ファイヤーショット!」

「ファイヤーボム!」

シンは連続で休むことなく魔物達を次々と倒していく。

「グハッ!」

「ウグッ!」

シンは魔物達の数に押され始め、魔物の攻撃を受けてしまった。

「やってやる!」

キーン!

シンはそう言って剣を捨て唱え始めた。

『氷よ。我が求めるは氷の息吹。敵を凍てつかせよ!――《アイスブレス!》』

ヒュオオオオッ!!

シンが発動したアイスブレスは一気に周囲へと広がり70匹の魔物を氷漬けにした。

「ハァハァ」

シンは上級魔法を使用し、疲れを露わにしていた。

「シン様!!」

その声とともにアルがシンの傍へときた。

「アル…」

「ったく無茶するぜ」

「心配でしたよ〜!」

ガイとライがシンへと言った。

「みんなを守るためなら無茶だってするよ」

4人はそう話していたが続かなかった。

「グガァー!」

ファイヤードラゴンがまたもや火を吹こうとしていた。

「みんな!俺に構わずナガリオに入って!」

「そうは行きません!」

「そうだぜ!お前だけいかせるかよ!」

「最後まで戦いましょう!」

「みんな…」

(前世でここまでの仲間がいただろうか…異世界だからなのか…嫌だ!失いたくない!守りたい!守りたい!)

その瞬間、シン達の目の前に水色に光る神々しい柱が1つ立ち、もう1つの柱は金色に光っていた。

「ウォーン!!!」

「ヒヒーン!!!」

現れたのはシンがテイムしたハクとベガだった。だがハクの傍に武装したルシア、セリリアル、ヤミがいた。

「ハク!?母様!?」

「ヤミ様まで!?」

「ルシア姉ぇ!」

「なぜ?!」

シン、アル、ガイ、ライがルシア達に向かって言った。

「話はあとよ!」

「そうですね」

「まずはゴミ掃除だ!」

三人は魔物達に向かおうとしたがハクとベガが前へ出た。

「ハク、ベガどうしたの?」

「ウォン!!」

「ヒーン!!」

ハクとベガはシンに向かってそう鳴き、ハクは魔物の群れに向かって走り出した。

「ウォオォォォーーン!!」

ハクの遠吠えとともに100匹ほどの魔物達が倒れた。

「何が起こったの?!」

「ほぉー圧迫系か、珍しいな」

「やっぱりホワイトウルフじゃないわよね?」

シンの言葉にヤミとルシアが言った。

「ブルル!」

ベガは不満げに鳴いた。

「ピーン!!」

ベガがそう鳴いた瞬間ベガの背中が光り、翼が生えた。

「つ、翼!」

「ヒーン!」

バサッ!バサッ!

ベガはそう鳴き空へと飛んだ。

「ヒヒーーン!!」

ベガはそう鳴き空中に数十本の光の矢を作り出し魔物達へと放ち、魔物達に無数の光の矢が降り注ぎ100匹ほどの魔物達が倒された。

「ベガって普通の馬じゃないの!」

「おいおい!ありゃ聖獣じゃあねぇか!」

「聖獣?」

シンはヤミの言葉に気になった。

「そんなことは後よ!」

「そうですね、早くゴミ掃除をしましょう」

そう言ってルシアとセリーは浮いた。

「ととととと飛んでる!」

「飛行系のスキルだ」

ヤミがシンに説明した。

ルシアとセリーは上空に浮きながら唱えた。

「我が呼び声に応えし風の大精霊よ。その力を我に貸し与え給え。荒れ狂う暴風となりて、敵を薙ぎ払え――《トルネード》」

ブォォォォォン!!

「雷よ。我が前に集え。天より裁きの雷を降らせ、敵を貫け――《ヘブンズサンダー》」

ドドドドドォォォン!!

ルシアとセリーの魔法が発動し巨大な竜巻を起こし、無数の雷が落ち、地上にいた魔物は全滅した。

「や、やべぇ」

その光景を見てシンが呟いた。

「どれ、アイツで終わりだな」

そう言ってヤミはファイヤードラゴンとファイヤーワイバーンを見る。

「おいアル!」

「は、はい!」

ヤミがアルを呼んだ。

「てめぇは飛斬撃を使えたな」

「はい」

「剣士の最高峰を見せてやる」

そう言ってヤミも浮かび上がった。

「少し曇ってるな、ちょうどいいか」

そう言ってヤミは剣を抜いた。

「飛斬撃! 」

ヤミが放った飛斬撃はファイヤードラゴン達の首を斬り落としたが雲までもが裂けていた。

「く、雲を斬った?!」

アルがその非常識な光景に驚いていた。

「シンちゃんどうだった!!お母さん凄いでしょ!」

「アハハ…」

シンはそう空笑いするだけだった。

クラッ!

(あ…視界が…)

ドサッ!

その時、シンは突然倒れたのであった。

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