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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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消えた英雄の影

光の階段は空の彼方へ続いていた。


世界樹アルファへ至る唯一の道。


五百回の希望によって開かれた奇跡の道。


シオン達は歩き始める。


創造主。


終焉。


ルナリア。


クロノ。


アーカイヴ。


そしてシオン。


本来なら決して並ぶはずのない存在達が同じ道を進んでいた。


静かな旅だった。


誰も言葉を発しない。


世界終了まで残り五日。


その現実が重くのしかかっていた。


光の階段を登るたび。


眼下に世界が見える。


セレスティア。


アストレア。


エデン。


かつて旅した場所。


共に戦った場所。


思い出が詰まった世界。


だが。


その景色は少しずつ崩れていた。


海岸線が消える。


山脈が光に変わる。


森が白く染まる。


世界そのものが消去され始めている。


ルナリアは拳を握る。


「絶対に間に合わせる」


小さな声だった。


だが強い声だった。


シオンは隣を見る。


銀色の髪が風に揺れている。


泣きそうな顔をしていた。


それでも前を向いていた。


その姿を見て。


シオンは少しだけ笑う。


「間に合うさ」


ルナリアが振り返る。


「根拠あるの?」


「ない」


即答だった。


クロノが呆れた顔になる。


創造主ですら苦笑する。


だが。


シオンは真っ直ぐ前を見る。


「でも」


蒼い瞳が輝く。


「今までだって何とかなった」


ルナリアは一瞬だけ固まった。


そして。


思わず吹き出した。


「本当にそういうところだよね」


世界が終わりそうな状況なのに。


不思議と少しだけ安心できた。


その時だった。


アーカイヴが足を止める。


全員の表情が変わる。


銀色の瞳が前方を見つめていた。


「来る」


静かな声。


その瞬間。


光の階段の先で空間が裂けた。


バキバキバキバキ――!!


巨大な亀裂。


世界法則そのものが引き裂かれる。


そこから。


純白の光が溢れ出した。


ルナリアが息を呑む。


創造主の表情が険しくなる。


終焉も目を細める。


そして。


光の中から一人の男が現れた。


純白の法衣。


銀色の髪。


銀色の瞳。


外見はアーカイヴによく似ている。


だが。


決定的に違った。


その瞳には感情があった。


狂気があった。


深い絶望があった。


男は静かに笑う。


「久しぶりだな」


その声は穏やかだった。


だが。


どこか壊れていた。


アーカイヴが答える。


「オメガ」


最後の管理者。


世界終了計画推進者。


管理者最強の存在。


オメガはシオン達を見渡す。


そして。


小さく笑った。


「面白いな」


銀色の瞳がシオンへ向く。


「創造主」


「終焉」


「黒星王」


「管理者の王」


「記憶保持者」


「観測者」


「全員集合か」


その言葉に。


クロノが眉をひそめる。


オメガは笑う。


楽しそうに。


本当に楽しそうに。


「なら聞こう」


静寂。


世界樹アルファへの道が震える。


オメガはゆっくり両腕を広げた。


「何故まだ諦めない?」


その声には怒りがなかった。


純粋な疑問だけがあった。


「五百回失敗した」


「世界は何度も滅んだ」


「何万人も死んだ」


「何億人も死んだ」


「何兆回絶望した」


銀色の瞳が揺れる。


そこに宿るのは深い疲労だった。


「もう十分だろう」


静かな声。


「終わらせてやればいい」


世界を。


歴史を。


苦しみを。


全て。


オメガは本気でそう思っていた。


悪意ではない。


慈悲だった。


絶望し過ぎた結果辿り着いた答えだった。


創造主が目を伏せる。


終焉も黙っている。


誰もすぐには否定できなかった。


なぜなら。


オメガの言葉にも真実があったからだ。


その時だった。


シオンが前へ出る。


黒い外套が揺れる。


蒼い瞳がオメガを見る。


真っ直ぐに。


オメガは少し驚いた。


「何だ?」


シオンは静かに答える。


「確かに苦しかった」


「確かに辛かった」


「何回も失敗した」


「何回も失った」


静寂。


「でも」


蒼い瞳が輝く。


「だから終わらせるのは違うだろ」


オメガが目を細める。


シオンは続ける。


「苦しかったから終わるんじゃない」


「苦しかったから前に進むんだ」


世界が静まる。


ルナリアが笑う。


クロノも小さく笑う。


創造主も微笑む。


終焉でさえ目を閉じる。


その答えを。


五百回誰も言えなかったから。


オメガは黙っていた。


長い沈黙。


やがて。


小さく笑う。


「なるほど」


銀色の瞳が細められる。


「それがお前の答えか」


そして。


純白の光が爆発した。


轟音。


世界樹アルファへ続く道が揺れる。


オメガの背後に。


無数の世界法陣が展開される。


数万。


数十万。


無限とも思える法陣。


管理者最強。


世界終了計画の執行者。


最後の管理者オメガが。


ついにその力を解放する。


「なら証明してみせろ」


静かな宣告。


「五百回目の希望が」


「五百回分の絶望を超えられると」


世界が震える。


光の階段が崩れ始める。


そして。


世界樹アルファ目前で。


シオン達は最初の壁と対峙する。


世界終了を望む最後の管理者。


オメガとの決戦が。


ついに始まろうとしていた。

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