芸術性の開放
僕は感じた。そのときハッキリと、僕の腹から、ペルナーのあの艶やかな匂いがしているのを。
「えっ」
僕は驚き、自分のシャツの中に手を入れ、腹を探った。
「……臓器だ」
僕が手につかんだのは、それは紛れもなく、僕自身の内臓だった。それは小腸であり大腸であり、肝臓であり腎臓であり、そして心臓だった。
「変化が早かったんだね。きっとペルナーも喜んでいる。アナタが私たちの仲間になってくれることを、祝福しているのよ」
と石峰さんは言う。僕が驚きのあまり、腕を硬直させて、ただ呆然として立ち尽くしている間も、僕の腹からあふれでる内臓は止まらなかった。
とうとう僕の心臓が、地面へと落っこちたとき、ペルナーが這って嬉しそうに、僕の心臓を口に加えた。
「いいよ。倫くんも、それを望んでいる」
「…………ねえ、石峰さん。それ、ってなに? 僕はどうなるの?」
「芸術を感じるのに、説明はいらないんだよ」
石峰さんがそう言ったとき、ペルナーは僕の心臓を噛み砕いた。瞬間、心臓から流れ出たのは、血ではなく、青や緑や紫や、白や黄色の色とりどりの液体だった。
液体の噴出と同時に、壁に張り付いていた臓器からも、僕のと同じ液体が出てきた。
みな一様に、パンッ!
と激しい音をたてて、部屋を虹色に染め上げた。
石峰さんが、僕の方に来た。
「ようこそ。私たちの世界へ」
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