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異世界弾丸ハーレム ~最良物件は弾丸の中に~  作者: 昼熊


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16/20

探索

 城へ乗り込む前にニコユルとシンリンには弾丸へ戻ってもらった。弾丸が無ければ俺が戦えないというのもあるが、まだ完全復活には程遠いシンリンには暫く体を休めてもらうことにした。

 その際に居住性を上げ、ベッドを追加しておいた。中位らしいスエムを倒したことにより、ハーレムヒートのレベルがかなり上がったのでポイントには余裕がある。

 今後の為に他の能力も強化をしておく。その結果がこれだ。


 ハーレムヒート レベル14

 射程  1→10

 弾速  2→10

 命中  3→20

 威力  2→20

 弾丸  3(聖属性)(水属性)(精霊 緑)

 居住性 2(テレビ ベッド3 机3 ソファー3 衣装ダンス3)

 ポイント35


 レベルが10も上がったのでポイントにかなり余裕ができた。やはり、レベルに応じたポイントがもらえる様で、性能が一気に上昇している。大器晩成は嘘ではなかったようだ。

 居住性はかなり特殊で、レベルを上げなくても家具ごとにポイントを消費するだけで、各弾丸に家具が増やせる仕様になっている。何故かテレビだけは一回購入すると、新しい弾丸にも初めからセットされていた。

 試し撃ちをする時間が無いのでポイントを余らせておいて、具合を確かめながらどれに振るか調整しながら決めていこう。


 準備が整ったので城の裏側に回り、使用人用の扉を潜った。そこは調理場なのだが、夕食前の仕込みをしなければいけない忙しい時間だというのに、そこには誰もいなかった。

 慌てて逃げ出したのか鍋や包丁が地面に転がっている。


「近くに敵はいない……」


 涙の気を探る能力はかなりのものらしく、巫女で修行を積んでいるキリサを既に越えているそうだ。だからこそ、弾丸に戻らず残ってもらっている。

 調理場には扉が二つあり、一つは食堂、もう一つは廊下に繋がっているそうだ。城に一度しか足を踏み入れていない俺には、この城の構造が全くわからないので巫女たちの道案内に従うことにする。

 廊下に通じる扉に耳を当て向こうの音を探る。

 悲鳴は無し、争う音は微かにするが結構遠いようだ。他には……濡れた重い袋を引きずるような音がするな。ちらっと、涙に目を向けると小さく頷く。口に出さなくても理解してくれるのは幼馴染の特権かな。


「んと……何か変な気がある。大きくて上下に揺れている巨大なの……」


「ある程度でいいから大きさがわかるか」


「4か5メートルだと思う……扉から右の方向……10メートルは離れている」


 ってことは人間じゃないな確実に。巨大な魔物か。

 扉がうち開きだったのでそっと開け、隙間から銃口だけを魔物に向ける。これなら相手に気づかれないかもしれない。


「ニコユル何が見える」


(弐鋲様最悪です。城を攻めているのは冥府術の使い手で間違いありません)


(な、何あれっ……うぁ、なんだ、あれ)


 ニコユルの声が若干震えている様に聞こえた。シンリンは完全に怯えているようだが。


「冥府ってあの世の事だよな。つまり、ネクロマンサーみたいなものか」


(ネクロマンサーが何かわかりませんが、冥界との門を開け、その世界に住む化け物を召喚する術のことです。冥界に住むモノは人肉を好み、その姿は常軌を逸しています)


 そんな言い方をされると非常に気になるぞ。ホラー系は苦手じゃないから、大丈夫だとは思うが、シンリンの怯えようを見る限り相当気持ち悪い外見をしてそうだ。


「その冥界の魔物の強さはわかるかな。できれば弱点も教えて欲しい」


(ホッシュルブムリグと呼ばれています。中位と言われていますが詳しい情報はありません。人肉、特に人の脳と腸を好むそうです。動きは鈍いらしく、冥界の生物の弱点は基本的に光です。闇を好む性質がありますので)


 ホラー系の化け物として理想的だな。中位で動きが鈍いときているのか。ハーレムヒートの能力を確かめるには丁度いいかもしれないな。この敵がやれないなら、さっさと諦めて帰るのもありだ。


「やるか」


(遠距離戦に徹していれば勝ち目はあると思われます)


 ニコユルのお墨付きを頂いたか。問題は……当たるかだよな。命中20まで上げたから、少しはましになっているとは思うが。この数字が%であるなら五発に一発は狙い通りに当たるってことか。

 何故だろう、凄く性能が進化した気になってしまう。冷静に考えたら酷い命中率なのだが。


「そっちの準備はいいかな」


(あっ、ビョウ。リングは弾丸に戻しておいた方がいいと思うよ)


 つまり、怖がりの涙には耐えられないレベルの見た目をしているのか。

 シンリンの言葉を聞いて察したようで、頭を縦に激しく振っている。ホラー要素ならいい勝負ができそうな気がするのだが、それは黙っておこう。

 涙が弾丸に戻り、これで三発か。っと、そうだった。急に巨大な気配を感じ取れるようになったので驚いたが、弾丸に涙が戻れば気を操る能力が使えるようになるのだった。

 まだかなり距離があるな。なら、大丈夫だろう!


 扉を開け放ち通路の真ん中に陣取ると、少しでも安定させる為に片膝を突く。

 そして、ホッシュルなんとやらに照準を合わせ……きもっ!

 それは苔が大量に浮かぶ冬場のプールのような肌色で、表面には無数の水泡のようなでっぱりが幾つもある。手や足は存在せず、その代わりなのか全身から細長い触手が何本も伸びている。先端には禍々しく黒光りする鉤爪が備え付けられていた。

 あれは口なのだろうか、各触手の下に横一線に切れ目が走っていて、開いたり閉じたりを繰り返している。

 ぶちゅるぶちゅるという耳障りな音を立て、身体の伸縮のみで移動しているようだ。


 これは涙を戻しておいて正解だったな。この場に居ても戦力にならなかっただろう。

 距離を詰められる前にけりを付ける。逸る心を抑え、化け物の中心目掛け、引き金を三度確実に引く。


 一発目、右上に2メートル程ずれる。

 二発目、地面すれすれの足元。

 三発目、中心部よりほんの僅か左。


 おー、三発目が結構いいところに飛んだ。10メートル近く距離があるというのに誤差2、3メートルならまだマシだな。何とか武器として扱える!

 やっぱり命中の数値は%っぽいな。

 三発とも命中しているので威力を比べられるのだが、最もぶよぶよの肉が抉れているのは、光属性か。次に精霊、水属性といったところか。

 属性の相性もあるだろうが、魔徒に与えた一撃を考えると涙の水属性弾丸はもっと威力がありそうなものだが、この敵ぬるぬるしているから水属性耐性でもあるのかもしれない。


「か、かなり効いています。み、水属性は効き目が薄いので、て、手伝えなくて済みません」


 やっぱりそういうことか。この敵には光属性一択かもしれないな。


「植物が全然ないから、アタシも遠距離の手段がないわねぇ」


 となると精霊は緑属性といった感じなのか。光属性であるニコユルに託すしかない。


(思ったよりも威力が出ているようです。あと二発程度で倒せるかもしれません)


 なら、命中率を上げる為に一歩踏み出し、更に三発叩き込む。

 触手を伸ばしているが、相手の攻撃は届かない距離のようだ。今度は光属性が狙い通りの場所に着弾し、派手に肉片を飛び散らかす。

 うおっ、くせぇ。この溝川を煮詰めたような悪臭は、あいつの血というか体液か。


(ひいぃっ……)


「涙、テレビ消しなさい」


 外の映像をテレビで見ていたのだろう、涙の押し殺した悲鳴が聞こえる。怖いもの見たさというやつなのだろうが、やめておきなさい。


(ボクなんて初めから消しているよ)


 そんな自慢げに言われても。そういや二人とも、ホラーゲームする時はいつも俺にさせて、背後に隠れながら覗き込んでいたな。

 更に二歩踏み込み、三度撃ち込んだ。全弾命中したようで、ぶよぶよはぐちゃりと潰れた。

 意外とやれるな。的が大きく鈍い相手なら、一方的に制圧できる。

 もしかして、ハーレムヒートっていい武器なんじゃないか?


(弐鋲様、お見事です)


「筒の勇者もやるわねぇ。噂は当てにならないみたい」


「そ、そうですね。涙様も救っていただきました」


 あれ、巫女からの好感度が上がっている。元々評価が低すぎたから、不良が少しでも良いことしたら、いい人扱いされるあの現象か。


(調子に乗ったらダメだよ)


(勘違いしたら駄目……)


 何故に幼馴染共は若干不機嫌なんだ。

 今回の戦いは上手く事が運んだが、調子に乗るのはやめておこう。涙とシンリンは弾丸のままでいくか。同じような敵が現れたら、正直期待できない。

 割れた窓から外に視線を向けると空には暗雲が広がり、夕方前だというのにもう夜のようだ。

 薄暗い石造りの廊下ってのは不気味だな。喧騒は殆どしなくなっている。上の方から争う音がするということは、主戦場は二階に移ったか。


「シンリン、涙、テレビの電源は暫く切っておくように。俺が言うまでつけるなよ」


 俺が睨みつける視線の先には、くちゃくちゃと人の腕を咀嚼し続けている異形の化け物がいる。足元に広がる血だまりに浮いているかのような化け物はカエルに酷似しているが……足が八本もあって目玉がナメクジのように飛び出ているカエルを俺は知らない。

 おまけに大きさは人間と同程度で、妙に足が長いのがキモさを増幅させている。


(それはヤグジュアルですね。大きな口で骨を噛み砕き、伸びる舌はかなりのリーチがあるそうです。前足が多いので接近して捕まえられると、手も足も出な――)


 ニコユルの説明の最中だったが、一、二、三発と続けざまに撃ち込む。的が小さいので一発しか当たらなかった。人間と変わらない大きさだと、当てるのが辛いな。

 幸運にも当たったのが聖属性だったので、相手の足が二本ほど千切れ飛んでくれた。だけど、まだ六本もある。多少動きにくそうだが、結構機敏な動作で迫ってくる。


「ちょっとはいいとこ見せないとねぇ」


「や、やります」


 俺の前に進み出たキリサとオハイが武器を構える。

 キリサは短剣程度の長さしかない杭なのだが、繋がっている鎖が肩辺りまで巻き付いている。

 オハイは小さな鎌を両手に一本ずつ持っている。鎌二刀流とはマニアックな。

 二人とも自信があるようだから、お手並み拝見といくか。

 まずはキリサが大きく振りかぶり、手にしている杭を投げつける。ヤグジュアルだったか、それは蝿を払うように手を振るが、杭が直前で軌道を変え、その手をすり抜け胴体に先端が突き刺さった。

 鎖を振って軌道修正したのか。

 更に大きく腕を回すことにより鎖が波を打ち、ヤグジュアルの体に巻き付いた。動きを封じられたところに、オハイが猛然と駆け寄りその首を鎌で薙いだ。


「あっさりと勝ったな。巫女って実は強いのか」


(そうですよ。巫女に選ばれた者は武芸教養魔力が秀でた者。厳しい選考を勝ち抜いてきた猛者ばかりです)


「そうなのか。そういやニコユルは一度も戦ったことないよな。やっぱり、凄いのか?」


(あー、そのですね。イクチ教は人員不足というか、若手は私ぐらいでして……)


 なるほど、選定試験も何もなかったのか。食うにも困るようなところだから、そりゃそうか。うん、何か納得した。

 と和んでいる場合じゃない。一階にいる魔物の気はまばらで距離は遠いな。人間らしい気は……皆無か。

 今なら化け物に気づかれずに二階に行けそうだ。今までが順調なだけに、気を引き締めて行かないとな。


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