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ベル・クライフの成り上がり  作者: エイト
ベル~幼少編~
16/24

お別れ(前編)

それから約半年、何事もなく過ぎていった。

俺はこの後どうなるのかわかっていたので心がとても穏やかになっていた。

ベルには、急にやさしくなって気持ち悪いって言われた。さすがにそれは心にきたよ。


俺は何か残すことができないかと思い両親に銀の塊を買ってきてもらい、魔法でペンダントを作った。それを自分の首にかける。これで形として残るものができた。

ペンダントには日本語で『青井優人 この地で死す』と掘っておいた。名前ぐらい残しても害はないだろう。






そして神様にあってからちょうど半年たった。約束通り今日来るのかわからないがこの世界での生活は残すところあと少しだ。今日も頑張って生きていこう。

そう思いベットから抜け出し食卓のある部屋へ行く。俺以外はみんなすでにご飯を食べ始めている。


「おはよう。みんな。」

「おはよう、ベルくん。」

「おはよう、ベル。」

「おはよう、ベル。君も早くご飯を食べるといい。」

「おはよう、ベル。今日もぐっすり眠れたようね。」


4人とも俺の挨拶に笑顔で返してくれる。この人たちとお別れなんてさみしいな。

あれ?そういえばレイナさんの姿が見えない。


「今日、レイナさんまだ起きてないの?」


「いや、彼女は朝ごはんを作るとどっかに出かけていたよ。何か用事でもあるんじゃないかな。よし、ご飯も食べたし今日も道場にいくとするかな。ベル、ゆっくり食べるんだよ。じゃあ行ってくるよ。みんな。」


「「「「いってらっしゃい」」」」


レイナさんが朝いないなんて珍しいな。

そう思いながら朝ご飯を食べているとアリスが立ち上がりバックを持って私も行ってくるわと言い出かけて行った。それに続くかのようにリリーも遊びに出かけて行った。そして食卓にはおれとルシアの二人になった。


「ルシアは今日何するつもりなんだ?」


「今日はね、午前中はアリスさんのところで勉強して、午後は魔法の訓練しようかなって思ってるの。ベルくんも一緒にどう?」


「いや俺は遠慮しとくよ。」


『なんで断るの。ルシアの誘いを断るなんて兄ちゃん頭おかしいんじゃないの。』

『なんだベルか。起きてたのか?』

『さっき起きたところだよ~。』

『そうか』


俺とルシアはご飯を食べた後、紅茶を飲みながら2人でゆっくり過ごしていた時だった。


バン!

急にドアが開けられた。俺たちはドアの方を向く。ドアの前には片手を失い傷だらけのセバスさんが真っ青な顔をして立っていた。


「どうしたんですか、セバスさん!?腕が・・・。」


「そんなことどうでもいい。それよりよく聞け。さっき村に盗賊が現れたんだ。それでほとんどの村人がつかまったり殺されたりしている。俺は師範に君たちを任せるように頼まれた。君たちは僕についてくるんだ。さぁはやく。」


いきなりの展開で頭がついて行ってない俺とルシアをセバスは強引家からつれだし、森の方へ走っていった。


そして森の茂みに隠れる。


「この森を抜けるとハイバルン王国がある。とにかくそこまで逃げるぞ。」


「あのセバスさん。何があったんですか?」


「さっきも言ったじゃないか。盗賊が現れた。」


俺はこの言葉に引っかかっていた。盗賊程度ならハルクとアリスで十分撃退できるし、セバスさんがこんなに怪我を負うわけがない。つまり普通の盗賊ではないことになる。


「仕方ない、あまり言いたくなかったが教えておこう。ベル、ルシア、しっかり聞くんだぞ。」


ルシアと俺は深くうなずく。


『ベル、セバスさんの話はお前もしっかり聞いておけよ。』

『もちろんだよ。』


「時間がないから簡潔に話すぞ。

私と師範、つまり、ハルトさんは昔このベルセ王国に仕える騎士団に所属していたんだ。ハルトさんが団長で私が副団長だ。私たちの騎士団は当時この国で最強、敵なしだったんだ。そして当時の王様は、ハルトさんの幼馴染でとても仲が良かったんだ。王様はこの国を愛していて絶対に悪事を許さないそんな人だったよ。

ハルトさんはそんな王様を尊敬していた。そして王様もハルトさんのことを尊敬していた。ふたりともお互いを尊重しとてもいい関係だったよ。


ただそれが原因である事件が起きたんだ。


簡潔にいうと、大臣たちに嫉妬されてしまったんだ。あれは、ハルトさんがアリスさんと結婚して王都のはずれに引っ越した時だった。引っ越した先にいきなり魔物ランクSの魔物が出たんだ。ハルトさんは必死に抵抗したけど、どうしようもなく深手を負ったんだよ。それを見た大臣たちが騎士団を追放するように言ってきたんだ。

もちろん王様は彼をかばったよ。でも深手を負ったハルトさんに王国最強の軍隊をまかせるわけに行かず、仕方なくハルトさんは騎士団を退団したんだ。そして彼の騎士団最後の日に王様にあいさつしていこうと私とハルトさんは王の間へ向かったんだ。

王の間に入ると何そこに血を流して国王が倒れていた。俺とハルトさんははめられたんだ。恐らく、あの大臣たちが犯人だろう。そして皮肉なことに、私たちは自分たちの所属していた軍に追われることになったんだ。

私とハルトさんはアリスさんを連れてこの村まで逃げてきてそれから君が生まれたんだよ、ベル。

あとは君が知っている通りだ。恐らく攻めてきた盗賊は騎士団が変装しているんだろう。かなり強かったよ。これが事の真相だ。」


ハルトの自慢話を聞いたとき何か隠しているなとは思ったがまさかここまでのことだとは・・・。ベルとルシアは感情移入したのか泣いている。


「大体わかりました。でもどうして今更ばれたんでしょうか?」


「レイナだ。彼女が密書を王都に送っていたようだ。今日彼女を見たか?」


「いえ、今日はみてなかったです。それにしてもまさかレイナさんが・・・。」


「そんな・・・だって・・・レイナさんは・・・何かの間違いでは・・・?」


ルシアが震えながら聞いている。


「いやほぼ彼女で間違いないだろう。実際5日前に恋人あてに手紙が出されている。中身を確認して問題ないと判断したが、まさか暗号だったとは。今回のことは僕の失態だよ。」


『まさかレイナさんが・・・・・。』


『ベル、しっかりしろ。』

『でも。』

『今俺たちがしないといけないのはルシアを守ることだ。父さんと母さんは絶対に生きている。もちろんりりーもだ。だから俺たちはルシアを守って、またみんなで合うんだ。そのためにも俺たちがしっかりしないといけない!』

『そうだね。とにかくここから逃げよう。』


「おい、こっちにまだ誰かいるぞ。」


どうやら俺たちのことがばれたらしい。


「とにかく逃げよう。走れ!」


3人は一斉に森の奥に向かって走っていく。後ろから複数の足跡が近づいてくる。

『ソナー』を発動させると10人くらいが一気に距離を詰めてきている。

このままだと追いつかれるな。


「セバスさん、ルシアをお願いします。俺はここで追っ手を迎え撃ちます。」


「だめだ、ベルくん。そんな危ないことさせられない。」


「そうだよベルくん。」


「でもこのままだとすぐに追いつかれます。この中で迎撃に一番適しているのは俺です。もちろん俺は死ぬつもりなんてないですから俺を置いて行ってください。」


「しかし・・・。」


「セバスさん!」


「わかった。しかしちゃんと後で追いついてくるんだぞ。絶対に死ぬなよ。」


「もちろんです。ルシアを頼みます。」


『おいベル、ルシアにはお前から声をかけとけ。』

『うん。』


「ルシア・・・。僕は絶対帰ってくるから待っててくれ。約束だ。」


「ベルくん・・・。絶対だよ。約束破ったらベルくんのこと嫌いになっちゃうよ。」


「大丈夫。絶対にそんなことにはさせないから。」



僕は笑顔で答えてあげる。その後二人は走っていく。

しかし急にルシアが俺の元に戻ってきた。


「忘れ物。」


そういうとルシアは僕の唇に自分の唇を重ねた。


「待ってるからね。ちゃんと帰ってきてね。」


顔を真っ赤にしたルシアはセバスと一緒に今度こそ走って行った。


『これは絶対に生きて帰らないとな。』

『うん。』


そのあと俺は近くに魔法でわなを仕掛け、敵が来るのを待った。


「さあ、こい!」


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