試合
三日後、僕と父さんは家のちかくの広場で木刀を持ち向き合っていた。
兄ちゃんは魔法がメインなので戦うときは基本僕ということが今日までの作戦会議で決めていた。周りには誰もいない。父さんは僕と二人きりの場所で戦うつもりのようだ。
「じゃあはじめようか。君のタイミングでかかってきなさい。」
「わかった。じゃあ行くよ。」
そう言いながら僕は兄ちゃんと変わる。
『ファイヤーストーム』
父さんの周りを炎の竜巻が包み込んだ。
『いまだ、ベル。いけ。』
兄ちゃんの声に反応すると同時に僕はハルトに向かって走りこむ。
突然目の前の炎が跡形もなく消え去った。ハルトが剣でたたき切ったのだ。こうなることは予測できていたため、ためらうことなく突っ込んだ。そして『五月雨』を放った。
ハルトはそれをはじき僕の横腹を切りかかってくる。以前はここでガードしたから負けた。
その経験を活かし今度は剣を頭を下げて躱した。そして攻撃を放った後で無防備になっている父さんに向けて兄ちゃんに魔法を放ってもらう。
『兄ちゃん任せた。』
俺の手に電気が集まる。それをハルトに向かって打つ。
『サンダーショット』
放たれた電気の固まりはショットガンのように手から離れると分裂してハルトにむかっていった。しかし俺が放った魔法は誰にもあたることなく消えていった。
「危なかったよ。まさかあれをよけるなんて思ってなかったからね。」
「まだまだこれからだろ。」
そういうとまた魔法を放つ。
『フラッシュボム』
俺の手から出現した光の球はまばゆいほどの光を放った。
『アイスアロー』
氷の矢をハルトに向けて放つ。そこでベルと変わる。僕は兄ちゃんが放った魔法に続いて父さんにむかっていく。父さんは片目を一時的に失っており、なんとか氷の矢をよけていた。そこへ顔めがけて切りかかる。父さんはそれをギリギリのところで躱す。しかしまだ反撃するほど視力は回復しておらず、僕は父さんに剣のラッシュを放つ。
右。左。右。とうまく躱される。焦った僕は一気に決めようと思い足を狙った。しかし僕の目線が足に行ったときを父さんは見逃さなかった。僕が足に攻撃しようとした瞬間、いっきに剣を僕の頭めがけて振り下ろした。そこで僕は意識を失ってしまった。
『ちっ。仕方ない。あとは俺がやるか。』
俺は強制的にベルと変わると、すぐに立ち上がり後退して間合いを取る。
ハルトが信じられないものを見るように見てくる。確実にやったと思ったんだろうな。俺は頭に回復魔法をかける。血は出ていないようだったから手加減されたのだろう。
「まさか立ち上がってくるとは思わなかったよ。ベルは意外と丈夫なのかな。」
「そうかもな。それより父さん。ここからは魔法メインで行くから気をつけてな。」
そういうとハルトの目つきが変わった。
『ファイヤーボール』
野球ボールくらいの火の玉を100個ほど宙に出現させる。
「すごいね。いつの間にそこまで魔法を使いこなせるようになったんだい。僕の前では全然見せてくれなかったのは僕を警戒してなのかな。」
いや、ただ、ベルが魔法を使えなかっただけなんだけどな。さて、じゃあ行きますか。
ハルトめがけて100個の火の玉がむかっていく。まだまだ行くぞ。
『ガンズロック』 岩がハルトを覆うように集まっていく。
『ブレイク』 そのまま岩で押しつぶしていく。
『サンダーボルト』 雷が空から降っていく。
俺の放った魔法が岩で拘束されているハルトに向っていく。
ドンという音が聞こえた後、あたりは砂煙に包まれた。
俺はその中心地であるハルトが立っていたところをじっと見つめていた。
すると一言ぼそぼそっと言ってるのが聞こえた。
『霧雨』
ハルトはいつの間にか後ろに立っていた。そのあと俺は記憶を失った。俺は1日で2度同じ相手に負けた。




