第二十三話 裁きの雷(いかずち)
ぷにょ、ぷにょ
階段を下りる俺達二人。
「…!?」
レイナとエレナ、階段を下りる音で二人が振り向く。
アレンは未だに状況を把握できずにキョロキョロしながらも俺の後ろを付いてくる。
緊張する空気―
両者それぞれが、お互いに見つめ合い呼吸音だけが静かに聞こえる。
「…ジョウ、、、ブラッディ、、、!!」
最初に口を開いたのはレイナだった。
―さて、ここからどうするか。
まずはレイナの反応を窺うことにしよう…
「その姿は何ですか?
それに、アナタは――
『アレン・サンド』ですね。」
「は、はい!!生徒会長様!!俺ぁなんにも悪いことなんてしちゃいませんぜ!?」
「おい!ジョウ…堂々とレイナ会長の前に出て何がしたいんだよ?」
アレンがひっそりと耳打ちしてくる。
「いいか?状況を説明する。俺たちが個室に行った後
どうやらエレナの野郎が付けてたみたいでよ。
その後エレナがこの店で暴れまわり
騒ぎを聞きつけた生徒会長がエレナとかち合った。
―ちなみに生徒会長は学院をすっぽかしてる俺らを探していたそうだ。
…どぅーゆーあんだーすたーんど?」
俺の説明を聞き、アレンの表情が引きつる。
「おいおいおいおいおい!?とんでもない状況だな!!おい!?
そんな状況で良く、この場に姿を現そうと思ったな?
なんだ?学院生活は諦めやがったってのか!?」
「落ち着け。俺が策も無しに突っ込む訳ねーだろ。」
焦るアレンを宥める。
―そして
「ジョウ…テメェ、なんで出てきやがった?逃げるんじゃあ無かったのか?」
レイナの部下に押さえつけられているエレナが俺に問いかけた。
「おい!!エレナ。
さっきお前は俺にこう言ったよな?
『わたしの性格をまだ理解ってないんじゃあないの?』って。」
「?」
「そして、こうも言っていたな?
『ぶっちゃけ正義とか悪とかどーでもいーの。ただ私はもっと暴れたいのよ!!』とも。」
「何が言いたいのよ?」
エレナは鋭い目つきで俺を睨む。
「つまり、こーゆー事だろーよッ!!」
俺は触手を一気に伸ばす。
「!?皆さん、彼を抑えてッ!!」
レイナがそう叫ぶや否や、俺は―
―『時間停止』―
時を止めた。
シュタタタタタタタタッ!!
止めた時の中で、店の中に転がる客を回収…!!
そうルシアたんは言っていたよな。
『この場所の人間のお客様は国のお偉い様方なのですよ❤︎』ってなぁ!?
だったらコイツらを『悪』に仕立て上げるまでッ!!
―時が動き出す。
俺達に向かってきていたレイナの部下たちが足を止める。
「な!?これは…!!」
「なんだ!?これ!?」
そう、止まるのも無理は無い。
奴らの眼前には唐突に蜘蛛の巣のように触手が張り巡らされ、
そして
その至る所におっさんが拘束されているのだからなっ!!
(今回は急を要する事態だから、無理にでも力を使うしか無かったが、まぁ他の人からみたら俺の能力の話処では無いだろう…)
「皆さん、落ち着いてください!!」
レイナが部下を掻き分け、俺の前に現れる。
「これは…どういう事です?…ジョウ、ブラッディ…
―回答によっては今この場で…」
ピキ…ピキ…
周囲の空間が凍り付くと同時にレイナの片腕が凍り始める。
…ゴクリ。
ここからは俺の演技力にかかっている訳だが、
「ちょい待ってくださいよ。」
両手を上げ、降伏のポーズを取る。
「俺たちはここに
―『潜入捜査』をしに来たんですよぉ。」
「潜入捜査ッ?」
「ジョウ…そりゃあまさか…!?」
これは俺が最初にエレナを説得する時に使った『ハッタリ』だが
もう一度ここで使わせて貰う…!!
(さぁ、エレナ…乗ってこいッ!!)
エレナをチラッと見る。
アイツはこちら側を苛立ちながら見ているだけだ。
―チッ!!
「ジョウブラッディ?潜入捜査とは何ですか?その姿に何か関係があるのです?」
「おい!!エレナ!!
テメェまだ暴れ足りないんじゃあねぇのか!?」
「…!!」
エレナがビクリと跳ねる。
(よし…!!)
この間わずか一秒
ではないが
クールタイムは十分…!!
再び時を止めるッ
シュタッ
拘束されているエレナを捕まえ、自由の身にする。
―時が動く。
「今この触手で捕らえている奴らは『悪』だッ!!
違法だと知りながらも、魔族が経営している店を黙認し
あろうことか
裁け―エレナ
十万ボルトだッ!!」
その掛け声と同時に、自分の身を動かせる事に気付いたエレナは
ニヤリと暗黒微笑をし
「ドラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
バチィーンッ!!
レイナにやられた怒りを乗せてか、いつもよりも数倍の威力で雷を放出するエレナ。
それは俺の触手を伝い、触手に括り付けられている野郎ども諸共
焼き焦がした。




