二人の終焉
早く……もっと早く……。
ユーナは着ているものも乱れ、裸足で廊下を駆けていた。普段、部屋から図書館までの、その気になれば一瞬で越えられるはずの無限に伸びる距離……短いはずの距離……いつからこんなに長くなってしまったんだろう。
早く、早く……もっと早く……早くしなければ、イニンに会えなくなる……。
イニン……。
涙が視界をぼやけさせ、時間と空間に一筋の透き通った痕跡を残していく。記憶の中ではいつも笑っていたイニン、いつも優しかったイニン、いつも……いつも微笑みながら私を抱きしめてくれたイニン。今、目の前にいる無表情のイニン、一人で全てを黙って受け止めるイニン……私のわがままを何も言わずに受け入れてくれたイニン……。
ごめんね。
ガチャン!図書館の扉が乱暴に押し開けられ、ジョイは哀れみの目で傷ついた扉を一瞥した。
ユーナはドアの外に立っていた「はあ……はあ……イニン!」
ユーナは一歩一歩、図書館の中へと歩み入り、無表情のイニンの前に立つと、両手を彼女の肩に置いた「イニン……ごめんね……。」
「言いたいのはそれだけ?」イニンは冷たくユーナの手を掴み、それを傍らに放り投げた。
「じゃあ、言い終わったんだね。安心して、すぐに苦しみから解放されるよ。それから……。」そっとユーナの乱れたパジャマの裾を整えながら「それから私も、休める……。」
「嫌だ!」ユーナは必死にイニンを抱きしめ、涙が止めどなく溢れ、目尻を伝い、頬を伝い、最後にはイニンの背中へと流れ落ちた「嫌だ!嫌なの!あなたに行ってほしくない……わたしのことを忘れてほしくない……一人にはしたくない……。」
「ふっ……。」イニンの体がわずかに震えていた。何かを必死に押し殺しているようだ「あなたは嫌だって、わたしに忘れられたくないって、一人になりたくないって言う。じゃあわたしはどうなの!?昔、エルトン宇宙国の時……あなたは少しの未練もなく私から離れていった。わたしに自分の手であなたの記憶から消え去ることを強いた……ずっとあなたを想っていたわたしにとって、それがどれほど残酷なことかわかる!?」
イニンは冷たくユーナの体を押しのけ、背を向けて自分の顔を見せまいとした。
ユーナの体が硬直し、イニンの言う一言一言、一語一語……彼女には反論の余地がなかった。そうだ……わたしは自分勝手で、一番身近にいる大切な人にまったく気づかなかった……今、その報いが来たんだよね?はあ……でも、たとえそうだとしても……。
「それでも……最後にもう一度だけ、わがままを言わせて……お願い。」ユーナは無力に膝をつくと、イニンの足をしっかりと抱きしめ、彼女が先へ進むのを阻んだ「今、やっとわかったんだよ……本当に私を愛してくれたのは、ずっとイニンだけだったって……だから……お願い、最後にもう一度だけわがままを言わせて……もうあなたを失いたくないんだ、イニン……。」
「そんなわがままを言わないで」イニンはわずかに力を込め、赤い心の源のリボンがユーナを縛り上げた「わたしだって……『心』はあるんだから。」
「嫌だ!嫌!わたしのこと忘れないで!イニン!」ユーナは心が引き裂かれるような声で叫んだ、イニンの強大な力の前では抵抗できず、無力に叫び続けるしかなかった……叫びながら、イニンが思い直してくれることを祈りながら。
イニンは少しもためらうことなく、あらかじめ用意されていた亡霊姫の前に歩み寄った。目尻にはもう涙がいっぱいにあふれていた……ずっとずっとユーナに背を向けたまま、彼女には自分の涙を見せたくなかった。もうすぐ……楽になれるんだ……。
「わたしの記憶を消して……ユーナに関する全ての記憶を。『悪魔』としての在り方から解放されて。」イニンは目を閉じ、唇を亡霊姫の前に近づけた。ごめんね……ユーナ、大切な人に忘れられる感覚……もう二度と味わいたくないんだ。あなたの命を守るため……今度は私が少しだけわがままをさせて?ね?
亡霊姫は微笑んだ、二枚の桜色の唇がそっと触れ合う……柔らかな光が二人の間で咲いた……そしてユーナの嗚咽が響いた。
......
ユーナとイニン(リサ)の物語はついに正式に終わりを告げた……思っていたよりひどく書いてしまったような気がする……さて、次はィアナだ。




