04:結婚パーティー②
王太女と公爵令息の婚姻式だけあって、式場はこれ以上なく華やかに彩られていましたわ。
優美なシャンデリア、金銀宝玉の限りを尽くした装飾が眩く煌めいています。
しかしその眩いほどの美の数々の中でも、最も光っている存在がありました。それは――。
「ラーダイン」
わたくしの婚約者であり今日から夫となる人――ラーダイン・ペリドは今まで見たどの姿より美しく、思わず見惚れてしまうほどでした。
彼が纏っている礼服にはわたくしの瞳と同じ紫紺の刺繍があしらわれています。その他アクセサリーなども藤色や紫が多く使用されており、それを見ただけでわたくし、たまらなく誇らしい気分になってしまいましたの。
――ああ、わたくし本当にこの方と結婚できるのですわ。
わたくしの胸元で揺れるペリドット色のネックレスは、ずっと結婚式でつけたいと思っていたもの。
絶対叶わないと思っていたその夢は今、確かに現実のものとなるのです。
「アイシャ、待ってたよ。僕の花嫁は想像通り……いや、想像以上に綺麗だ」
「お待たせいたしました。わたくしが美しいのは認めますが、わたくしの花婿様の方がよほど素敵ですわよ」
「ははっ。そんなに言われると嬉しいな」
そっと差し伸べられるラーダインの手を取って、わたくしはエスコートされながら会場を歩き始めます。
群衆がサッと左右に割れて道を作り、その中を進みました。そしてまもなく誓いを行う壇上の舞台まで辿り着いたのですわ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
オネット王国では長年嫌われがちだった教会ですが、戦勝してからというもの『王女が女神に祈った』という噂が広まり、次第に国民からも崇められるようになりました。
しかしまだ教会は脆弱ですわ。そこでわたくしは、お父様に頼んでこの結婚式を頼れる神父に執り行っていただくことにしましたの。
そうすれば国王が教会を認めたことになり、貴族たちもそれに従うでしょうからね。
教会の力を高めること。それが、わたくしをお救いいただいた女神様へのお礼ですわ。
従来、『国王の名の下に婚姻を結び、決してそれを裏切らないこと』としていた文言を変更。
わたくしたちがこの国で最初の『神に祝福されし夫婦』になりますのよ。
そして神官様から言葉が述べられ、わたくしたち二人は確かな愛を誓い合います。
それからそっと抱き合い――柔らかな口づけを交わしましたわ。
「ああ、幸せ過ぎてどうにかなってしまいそう。夢じゃないかしら?」
「夢なんかじゃないよ。まだ幸せは始まったばかりなんだ」
互いの体温を感じながら、さらに何度かキスをして。
たった今この瞬間からわたくしとラーダインは婚約者ではなく、正真正銘の夫婦として結ばれたのでした。
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