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卒業の日に、やっと言えた「好きでした」
私が待ち合わせ場所に着くと、
りょうたくんは卒業証書を手に、もう待っていた。
「ごめん、遅れちゃった」
「いいよ。久しぶりだね」
やさしい。
それだけで、言葉が出なくなる。
「一年のとき、席が隣だったの、覚えてる?」
少し考えてから、うなずく。
「消しゴム、貸してくれたでしょ」
「そのあとも、ノート見せてくれたり」
思い出すのは、小さなことばかりだった。
「……そういうの、全部」
言葉が止まる。
「好きでした」
少しの沈黙。
「私、りょうたくんのことが好きでした」
それ以上のことは、言えなかった。
「うん。ありがとう」
やさしい声だった。
「それだけ。卒業しても元気でね」
振り返らずに、その場を離れる。
誰もいない廊下に入って、そのまましゃがみこんだ。涙が流れてくる。
こうなることは、分かっていた。
それでも、伝えずにはいられなかった。
伝えたら、終わると分かっていたのに。
泣き果てて、目を真っ赤にしたまま立ち上がる。私は、ようやく卒業できた気がした。




