人形使いにスポットライトは似合わない〜契約不履行で大派閥の令嬢と婚約させられたのだけれど、婚約破棄出来ないってマジ!?〜
世界を消滅させようとしていた魔王を、仲間の力と共に打ち倒した〝勇者〟風吹 龍弥は、最後の死闘において命を落とした。
世界中が脅威が去ったことに喜び、そして同時に救世主もまたこの世を去ったことに涙した。
ただ一人を除いては。
勇者パーティーの一員であり、その上、勇者〝風吹龍弥〟の幼馴染でもあり、その場に居た少年の名は、空栗 操太。
勇者然とした風吹とは、光と闇の対比と言えるほどに、影が薄い少年は、周りが渋る中で風吹が絶対に必要だということで、パーティーに参加していた。
操太が、ギルドへ登録している職業は〝パペッティア(人形師)〟であった。
灰色のフードを頭から被り、長い黒髪の前髪が目元を隠すために、一緒に魔王討伐の為の旅を過ごした仲間達も、操太の素顔を明るい場所でしっかりと見たことはなかった。
それどころか、仲間の誰もが、操太の存在を意識することは、殆どなかった。
仲間達が決して薄情だと言うわけではない。
それは、彼が〝不可視の操り師〟と一族の者から称されるほどの、不世出の人形使いであったからだった。
そんな彼の顔面は、現在それは見事な蒼白となっていた。
「風吹の身体が、完全に消滅した……あぁ!? これって契約違反なのでは!?」
これは、人知れず一度は世界を救ったお人好しの人形使いが、表舞台へと無理やり立たされ、己の価値を世界に示す物語である。
世界中が脅威が去ったことに喜び、そして同時に救世主もまたこの世を去ったことに涙した。
ただ一人を除いては。
勇者パーティーの一員であり、その上、勇者〝風吹龍弥〟の幼馴染でもあり、その場に居た少年の名は、空栗 操太。
勇者然とした風吹とは、光と闇の対比と言えるほどに、影が薄い少年は、周りが渋る中で風吹が絶対に必要だということで、パーティーに参加していた。
操太が、ギルドへ登録している職業は〝パペッティア(人形師)〟であった。
灰色のフードを頭から被り、長い黒髪の前髪が目元を隠すために、一緒に魔王討伐の為の旅を過ごした仲間達も、操太の素顔を明るい場所でしっかりと見たことはなかった。
それどころか、仲間の誰もが、操太の存在を意識することは、殆どなかった。
仲間達が決して薄情だと言うわけではない。
それは、彼が〝不可視の操り師〟と一族の者から称されるほどの、不世出の人形使いであったからだった。
そんな彼の顔面は、現在それは見事な蒼白となっていた。
「風吹の身体が、完全に消滅した……あぁ!? これって契約違反なのでは!?」
これは、人知れず一度は世界を救ったお人好しの人形使いが、表舞台へと無理やり立たされ、己の価値を世界に示す物語である。