062 青竹のカトラリー
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第62弾です」
礼子「今回は青竹のカトラリーですか」
仁「うん。近所に竹藪があって、そこの持ち主の方に許可を得て1本切ってきたんだ」
礼子「本来は冬ですよね?」
仁「そうなんだよな。12月、1月頃が、含水率が低くていいんだよ」
礼子「門松の頃ですね」
仁「そうだな。飾り終えた門松をもらえれば一番いいのかもな」
礼子「作者さんの地方ではどんど焼きをするんですよね」
仁「そうなんだ。『丸石道祖神』の前に持ち寄って、小正月(15日)にな」だから手に入らない
礼子「夏の竹は扱いにくいですか?」
仁「扱いにくいな。水分が多いから、乾燥をうまくやらないとカビる」
礼子「あらら」
仁「悪いことに、水分が抜けるにつれて青竹のあの瑞々しい色も抜けるんだよ……」
礼子「それは悲しいですね……」
仁「そういった、竹の扱いも含めて今回は解説しようと思う」
礼子「お手伝いいたします」
仁「カトラリーということで、今回は『箸』『箸置き』『フォーク』を作ります」
* * *
仁「まずは青竹」もっと長い状態でもらってきたんですが
礼子「扱いにくいんで切っちゃいましたね」
仁「青竹は普通のノコギリで切れます」
仁「割るとわかるけど、切断面なんかがものすごく湿っぽい」含水率が高いのがわかります
礼子「なのでみんな割ってしまうんですね」
仁「その方が乾かしやすいからな」でも青い色が抜けるのも早いので諸刃の剣ですが
礼子「一応、『竹割鉈』を使って4つに割りました」
仁「まず作るのは『箸』。ということで適度な長さにカット」バンドソーですが、普通のノコギリや糸鋸でも十分です
礼子「作者さんは、手元側に節を残したいのでこういう切り方になります」
仁「長さはお好みだが、『037 箸』で、手の大きさ、指の長さと箸の長さの関係を解説している」ぜひご一読を
礼子「今回は、まだ箸の長さまで切っていません」
仁「それをさらに割るわけだ」
礼子「こちらで竹割鉈をご紹介しています」
仁「その昔、確か『ハ◯ズ』で買ったんだよな」
礼子「薪割り鉈に比べ、軽めにできています」
仁「で、割る」
礼子「割りたい幅よりちょっとだけ多めに割るといいと思います」
仁「大きい分には削れるけれど、足りないと足せないからな」
礼子「鉈の背を金槌で叩いています」木槌だと鉈は傷つきませんがパワー不足でなかなか割れません
仁「加工前だな」おおよそ250ミリ
礼子「女性用は210から220ミリ、男性用は230ミリから240ミリくらいがいいかと」
仁「というのも、今回の竹は肉薄だったので、箸として十分な太さがとれず、やや細めになりそうだからだな」
礼子「太さと長さのバランスを考えると、標準よりちょい(5ミリから10ミリ)短いほうがよさそうでした」
仁「さて、ここで大事な下処理、『油抜き』だ」
礼子「バーナーで炙ってますね」
仁「うん。実は、切ったばかりの青竹には脂分が多く、これを抜かないと水分がうまく抜けなくてカビの原因になる……らしい」
礼子「なるほど」
仁「やり方はいろいろあって、鍋で煮る、蒸気に当てる、などとにかく熱すればいい」
礼子「作者さんはバーナーで炙る方法ですか」
仁「これが一番お手軽だった」でも夏なので暑かった
礼子「焦げないように注意しながら炙ると、表面に油が滲み出してきます」
仁「それをウエスで拭き取りながら全体を処理していくわけだ」炙りすぎると焦げます
礼子「火傷や火事にはくれぐれもご注意くださいね」
仁「で、処理が終わったらいよいよ加工だ」
礼子「まずは節削りですね」
仁「表側はそのまま節を残すけど、裏側は出っ張りをカンナや小刀で削り落とす」作者はカンナです
仁「で、箸の幅プラスアルファに割る」
礼子「いよいよ加工ですね」
仁「箸加工の時使った治具を使うことで、2本揃った大きさに削れるわけだ」
礼子「木用のカンナで削れますが、鉋台(シラカシでできていることが多い)に傷がつきますので作者さんは竹専用にカンナを1丁設定してます」
仁「木と違って逆目が出ないので楽だな」
仁「で、箸が完成」表側と裏側です
礼子「角が立っているので、かるーくサンドペーパーで磨いています」
仁「2本を同じサイズに仕上げるのがコツです」
仁「では、つぎは箸置きだ」
礼子「また、素材の青竹を油抜きしていますね」
仁「作業場の外で炙ってるな」
礼子「火を扱いますからね」
仁「炙ると、汗をかくような感じで水分(油分)が滲み出てくるから、それをウエスで順次拭きとるわけだ」
礼子「やりすぎると色が変わりますのでお気を付けください」
仁「で、油抜きしたものをしていないものを比べてみる」さてどっちでしょう
礼子「向かって左のほうがやや色が鮮やかですね」
仁「うん。その、鮮やかな左側が油抜きした竹なんだ」
礼子「ツヤが出てますね」
仁「うん。油と一緒に、表面の汚れも落ちるんだな、これが」
礼子「なるほど」
仁「で、適当な幅に割って、適当な長さでカットして」
礼子「箸置きですね?」
仁「ああ、そうそう。言ってなかったけど箸置きだ」
礼子「幅15ミリ、長さ50ミリくらいです」
仁「真中付近をベルトサンダーで凹ませる」
礼子「半丸のヤスリで削ってもいけます」
仁「で、こんな感じ」
礼子「シンプルですが雰囲気は悪くないですね」
仁「端材で簡単にできるからな」
仁「で、箸と箸置きを置いてみた」
礼子「涼し気ですね」
仁「冷や麦やそうめんを食べる際、麺が滑りにくくていいぞ」もちろん日本そばやうどん、ラーメンでも
仁「で、最後はフォークを作る」
礼子「油抜きした素材ですね」
仁「うん。幅は18ミリくらい、長さは150ミリくらい」
仁「まずは、裏側(凹面)を削って平らにする」
礼子「竹が左右にブレないよう、真ん中が凹んだ治具を使い、竹を安定させておいて鉋掛けしている」
礼子「逆目が出ないのでその点は楽です」ただし竹のほうが木よりも硬いです
仁「表側(皮のある側)をサンディングする」
礼子「写真だとよくわかりませんが、取っ手の部分だけ皮を残すように削っています」
仁「これにより、表も裏も平らになるわけだ」
仁「先を作る」今回は3本槍だな
礼子「穂先の長さは35ミリ、3ミリドリルで穴を空けてバンドソーで切り込みました」
仁「寸法はお好みでどうぞ」
仁「先を薄く尖らせていく」
礼子「作者さんはベルトサンダーでしたが、ヤスリやカンナでも可能です」
仁「で、平面形としても尖らせていくわけだ」
礼子「棒ヤスリやスティックヤスリで、穂先同士の間も綺麗にしていきます」カッターでもできますが削り過ぎにはご注意ください
仁「で、全体の形状も整えるわけだ」
礼子「フォークらしくなりました」
仁「で、完成」先を尖らせました
礼子「竹の角にも軽くヤスリがけをしています」
仁「3点セット」
礼子「涼し気でいいですね」
仁「作者はこの箸で冷や麦(作者は冷麦派)、フォークで桃を食べているそうだ」
礼子「ただ、このままだと水分が染み込みますよね」
仁「そうだな。だからいつもの『木固◯エース』を含浸させればいい」食品衛生法にも合格してます
礼子「なるほど」
仁「そういえば、今回はサキが顔を出さなかったな」
礼子「どうやら夏風邪のようです」
仁「あとで見舞いに行ってこよう」桃でも持って
* * *
仁「ということで今回は『青竹のカトラリー』でした」
礼子「お疲れ様でした」
仁「作業時の怪我にはご注意ください」
礼子「竹でも、時々手が切れることがあります」
仁「手を切ったら流水で洗い流しましょう」
礼子「それからサンディング時にはマスク必携です」
仁「趣味は楽しく、安全に」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。




