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王子様のからくり  作者: ゆきうさぎ
<第1部>
34/145

33:

「こいつね、新島と仲悪いの」

「あーやっぱり」


頷けるわー。

納得、納得。

うんうんと頷いていると、赤縁メガネ君改め伊織君は、けっと口をとがらせた。


「新島は先生ともよく喧嘩するからな」

「新島さんってちょっと性格曲がってるからね」

「お前がそれ言うか」

「私は曲がってるんじゃなくて歪んでるんだもん」


ちょっと違うんだから。


「歪んでるほうがひどくね?」

「自覚があるのとないのとじゃ大きな違いってねー」

「確かに新島って自分が正しいって思ってるとこあるもんな」


桐生のその言葉に、伊織君は頷いて盛大なため息をこぼした。

どうやら、新島さんのその性格が今回は災いしたらしい。

なんともわかりやすい反応だ。


「ね、そんなことよりさ」

「そんなことって、」

「お腹空かない?」


もうさ7時過ぎちゃってるんだよね。

陽向さんのお腹の虫はそろそろ限界を迎えてるんですよ、はい。


「あ、神崎お前帰らなくて大丈夫か?」

「さっき旭に連絡入れたら、今日家に誰もいないってさー」


お父さんは出張でいない、お母さんは高校の時の同期と飲み会で帰ってこない、兄貴は研究室に泊まり込み、旭は部活の友達とご飯食べて帰るらしい。


「‥そうか」

「だからね、私2人が一緒にご飯食べてくれないと、一人でご飯食べなきゃなんないの」

「俺も数に入ってるわけねー」


まぁいいけど、と言った伊織君は携帯を取り出して連絡を取りだした。

多分親に連絡を入れているんだろう。


「あ、俺。今日って俺の飯ってあんの?…は?あー‥やっぱないの?いや確かに言ってないけど。…わかった、うん、食って帰る。帰り遅くなるわ」


30秒くらいの会話をして携帯をしまった伊織君はこちらを振り返って言った。


「飯、食って帰るわ」

「だろうと思った」


桐生はため息まじりにそう言うと、キッチンへと向かって冷蔵庫の中を覗く。

そんな桐生から「げ」なんて声が聞こえてくるから、2人でそちらへ行けば、頭をかく桐生と目が合った。


「どうした?」

「…冷蔵庫の中、なんもない」

「は?」

「バカ姉貴が多分使い切ったんだと思う」

「なに、みなみさん帰ってたの?」


みなみさん、それが桐生のお姉さんの名前だろう。

ていうか桐生お姉さんいたんだ。

ずっと一人っ子だと思ってた。


「久しぶりにこっち来たと思ったら…やられた」


舌打ちをつきながら言う桐生はかなり悔しそうだ。

恨めしそうに冷蔵庫を睨みつけた桐生は、壁にかかる時計に目をやる。


「どうする?どっか飯食いに行くか?」


時間も時間だし、と付け加えた桐生は、私と伊織君を交互に見る。


「どっちでもいいけど‥この時間、北高のやつらいると思うよ?」

「あー‥そういやファミレスにたむろしてな、あいつら」

「西高もいるだろ、確か」

「厄介だな」

「…なんていうか敵が多いね」


北高に西高って。

どっちもそこそこの不良校だよね、確か。

なんたってそんな人たちと顔見知りなんですかね、このお兄さんたちは。


「しゃーねぇ、どっかで材料買って作るか」


ため息まじりにそう言った桐生の言葉に賛成した私と伊織君は、さっそく買い出しに行くことにした。

近くのスーパーに3人そろっていくと、まぁ目立つ。

私の両隣にいるこの2人が。

両手に華とかよく言ったものだよね、ほんと。


「目立つわー‥」


無駄に。

ほんっと、無駄に。

なんでこいつらこんなイケメンなのよ。


「それ神崎に言われてもなぁ‥」

「は?なんでそうなんのよ」

「伊織、無駄だぞ。こいつ自覚ないから」

「マジ?え、ほんとに?」

「ほんとに。俺も最初聞いたときは驚いたけど」

「マジかー。じゃあお前も大変だな」

「なんか割増しになった感じはあるな」

「だろうなー」


頭の上でそんな会話が繰り広げられている。

なんかはぶられてる感がすっごいあるんだけど。

なんか、なんていうか…ちょっと、いやかなり…ムカつく。


「あ、神崎、かご持つ」

「あ、ありがとう」


ヒョイッと、私の手からかごを取ってしまった桐生は、お惣菜コーナーに直行する。

いや、惣菜って。


「高カロリーなもの見てるね」

「作るの面倒じゃん」


そう言う桐生は、値下がりのシールが貼られているコロッケを手に取る。

だから高カロリーだってば。


「‥簡単なものでよければ作ろうか?」

「「マジ!?」」

「簡単なものでよければ、だよ?」


目をキラキラさせて私を見る2人に、思わず体をのけぞらせてしまう。

ていうか2人とも近いんだってば。


「やり!」

「言っとくけど、簡単なものしか作らないからね」


念を押して言っておかないと、とんでもないものを要求してきそうだ。


「なに食べたいの」

「「肉」」

「……はいはい」


それ、料理名じゃないんだけどね。

別にいいけど。


「何肉?」

「鶏」

「豚」

「…意見わかれたね」


鶏と言った桐生と、豚と言った伊織君。

牛はないんだ、とちょっと意外に思ったりして。


「安い方ね」

「「はーい」」


素直だね。

やっぱりご飯だしかな。

お腹空いてるのかな、うん。


「あ、鶏のが安いね」


なに作ろうか。

腕時計で時間を確認して、時間を逆算して晩ご飯を考える。

うーん。

…ああ、から揚げが食べたい。

から揚げにしよう。






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