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自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
雨宮視点

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第115話 結婚確定(雨宮さん視点)

「じゃあさっそくだけど……どうぞ、お上がりください」


 鳩山君をお家に招くのは二回目だけど、一回目よりも遥かに緊張するなぁ。なんか敬語になっちゃったけど、噛まなかっただけ及第点かな?

 ……うん? なんで入ろうとしないの? 吸血鬼だって招待されたら入れるもんだよ? 私の家ってなんか結界の類、張ってたっけ? そんな特殊なセキュリティサービス加入してないと思うんだけど。


「どうしたの? 入りたくないの?」


 もしかして私のことが嫌いに……ってのはありえないだろうけど、いったいどうしたのかな? アレかな? 汗で靴下が汚れてるから入るのを遠慮してるのかな?


「アハハ、女の子の家に上がるのって緊張するなぁ」


 っ! こ、これってつまり……そういうことだよね?


「緊張? それって……意識してくれてるってこと?」

「まあ、そうとも言えるかな?」


 きたきたきた! 鳩山君、完全に私を女として見てる! ただの友達を装ってるけど、虎視眈々と私を狙ってる! やっぱり男の子なんだなぁ……。


「ふふっ、そうだよね。鳩山君の中では可愛いんだもんね、私は」


 なんか私、イイ女っぽくない? 前に鳩山君が私のことを小悪魔系とか言ってた気がするけど、決して過大評価じゃなかったかもしれない。まあ厳密には、鳩山君の主観でイイ女ってだけの話なんだけどね。いや、それ以上は望んでないんだけど(他の男子とか興味も価値もないし)。


「うん、厳密には〝大半の男の中では〟だけどね」

「もー……」


 すーぐ照れ隠しするんだから。私を持ち上げたいのは分かるんだけど、あんまり女の子を調子に乗らせないほうがいいよ? 私だからいいものの、その辺のコギャルなら思い上がって暴走しちゃうから。


「まあ、とりあえず上がってよ。悪いようにはしないから」


 本当のことを述べただけなんだけど、なんか逆に怪しかったかも。なんだろ、本物は自分のことを本物だと言わない的な。


「お、お邪魔するよ」


 わぁ、本当に緊張してる。可愛いなぁ、鳩山君。ここまで意識してもらえると気持ちが良いね。承認欲求満たすためにSNSでエッチな自撮り上げてるバカの気持ちが少しだけ分かったよ。まあ、不特定多数を相手にする心理は一生かかっても分からないだろうし、分かりたくもないけど。


「リビングでいいかな?」

「えっと、それはどういう?」


 白々しいなぁ、もう。


「私の部屋は……まだ早いかなって」


 なんか今のよくなかった? 健気というかウブというか、なんとなく男好みのリアクションな気がするよ。自分で言うのもなんだけど、ガサツと肉食系をごっちゃにしてるバカが多い昨今、私みたいなのはモテるのかもね。まあどんな私でも鳩山君は愛してくれるだろうけど。本当に愛が重くて困っちゃうなぁ、ははっ。

 おやっ? なんかずいぶんとキョロキョロしてるね。これは極度の緊張に見舞われている証拠だね。おかげで私の緊張がほぐれてきたよ。焦ってる人を見ると逆に冷静になる的な?


「適当に座ってね」

「あっ、どうも」


 『あっ、どうも』だって、可愛いね。いつもは振り回されっぱなしの私だけど、今日ぐらいは主導権を握れるかも。

 っとと、まずはおもてなしをしないと。細かい気配りが大事なんだから。


「コーヒー、飲めるよね?」


 鳩山君が教室で飲んでいたのと同じ缶コーヒーを机の上に置いた。恋人の好みを覚えてるってポイント高いよね。


「紅茶もあるけど、缶のほうが安心できるよね?」


 この気配りどうかな? ほら、いくらお互いのことが好きだと言っても出会って間もない異性だし、飲食物って怖いでしょ? さすがに学生で薬を盛るような子はあんまりいないだろうけど、今って四方手を尽くせばネットでなんでも手に入りそうな時代だしね。ここまで気遣いできる子、そうそういないと自負してます。


「……? 別に缶でもティーカップでも気にしないけど、とりあえずいただくよ」


 私の気遣いに対して、気遣いを返してくれた。サラっと言ってのけたけど、今のって私に全幅の信頼を寄せてるって意味でしょ? 恋は盲目とはよく言ったものだね。


「よいしょっと」


 ウチのソファはセパレートタイプなので、融通が利く。こういう時って普通、最初は距離をおくものなんだろうけど、鳩山君の態度を見るに初っ端からカップルシートにしてもいいよね。欲を言えばロータイプのソファが良かったけど、この際なんでもいいや。同棲してから自分達の好みのインテリアにすればいいし(家の間取りとかインテリアについて二人で相談するところを想像すると、思わずニヤけちゃいそう)。


「やっぱり鳩山君は隣の席がしっくりくるね」


 うーん、我ながら小っ恥ずかしいセリフ。でも鳩山君はこういうのが好き……。


「えっと、普通、友達と座る時って距離空けない?」


 ……うん? なんで? なんか困惑してない? 緊張……してるだけだよね? アレかな? 夫婦でもパーソナルスペースを大事にする人なのかな? そう言えば男女で差があるんだっけ? 女の子がエスカレーターとかドアの入口で急に立ち止まるのはパーソナルスペースがどうたらこうたらみたいな説を聞いたことがあるけど、そういうこと?


「……空けたいの? そうだよね、私なんて間近で見るには醜いもんね……」

「見たい! 誰よりも近くで見たい!」

「もー! またそういうこと言うー」


 ちょっと拗ねてみせただけでこれだもん。どれだけ必死なの、もう。あんまりくどいと嫌われるかもしれないけど、こんな嬉しい言葉をかけられたら……。


「ねえ、どうして近くで見たいの?」


 恥ずかしいセリフも出ちゃうよね。鳩山君が訪問して五分も経ってないのに、もうキスするムードきちゃったよ。待って、待って、さすがに早いって。自分からそういう空気にしといてなんだけど、まだキスは早すぎるって。まずは鳩山君の肩に頭を預けながらテレビでも見て、それから鳩山君がさり気なく私の腰に手を回して……それから……。


「よく見れば見るほど魅力的だからね。特等席で眺め続けたいよ」


 っ! キスどころの騒ぎじゃない! あっという間に主導権を握られた! 強すぎる! 本気すぎる! 熱すぎる!


「魅力的? そ、そんなに? それに……眺め続けたい……? それって……」

「そのまんまの意味だよ」

「っ!」


 静かなる情熱! ここまでスマート且つ熱烈なプロポーズできる男子高校生がいてもいいの? これで女性経験ゼロだなんて信じられないよ。たしか女兄弟とかもいなかったはずだし、本当に何者なの? よく私と出会うまでに他の女の子と関係を持たなかったね? これって運命だよね?

 お母さん、お父さん。アナタ達が元気なうちに……というか五年もしないうちに孫を見せることができそうです。子供NISA満額まで積み立てて上げたいので、今のうちから準備お願いします。


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