45話(勇者)
マサト達が出発する前日に国王に呼ばれ、城内にある会議をする為の部屋に勇者パーティーの四人が集められた。
「ここなら謁見の間でもないし、公の場でも無いから畏まる必要はない。
さて出発は明日になるが準備の方は大丈夫そうかね?」
国王の問いに四人は頷いた。
「出発の前日に来てもらったのには君達に渡しておきたい物があったからだ」
国王の横に立っていた宰相のトリスタンが勇者パーティーの前にワゴンを運ぶとその上には、腕輪が四つ置かれていた。
「君達に一つずつ受け取って貰いたくて用意した魔道具でその中には身代わり転移のスキルがある。
自分が死にそうな一撃を受けた時その魔道具が身代わりになり、その場から十km程度離れた所にランダムで転移する一度限りの魔道具だ。
出来ればその魔道具が使われない事祈るが、保険はあった方が良いからな」
「ありがとうございます。
使う事がないように頑張ります」
マサトがお礼を言うと三人も続いてお礼を言い、腕輪を着けた。
「そして君達には一番最初に渡しておきたい物がある」
トリスタンがマサトに筒を渡し、受け取ると中を確認するように言う。
「これは?」
筒から取り出した一枚の紙を見ると三人もマサトの持っている紙を見る。
「それは新しい災厄の手配書だ。
今はまだ枚数が揃ってないが近い内に各地でこの手配書が公開されるだろう。
これを見ると今の手配書の顔が似てないのが良くわかる。
だが今渡した手配書は災厄と実際に見かけた者達によって作成された物だ」
「災厄ってもしかして日本人ですか?」
カイリは手配書を見て、黒髪に黒い瞳である事から日本人ではないかと国王に尋ねた。
「災厄は召喚された勇者という記録はどこにも残っていない、君達と同じ世界から来たというのは無いだろう」
そうですか。とホッとしたようなカイリだったがマサトとシュンも少しホッとしていた。
召喚された人の末路が世界から災厄と呼ばれ危険視されているなんてのは嫌だったからだ。
でも記録に無いだけで確認する必要はあるだろうと思う。
その間にもセリナは手配書だけをずっと眺めていた。
そして勇者パーティーが王都を出発する当日を迎えた。
勇者達を見送ろうと道には人が沢山おり、かなり賑わっている。
城からその様子を見るマサト達は緊張していた。
「こんなに大勢の人達が、、」
「マ、マサトがそ、そんなに緊張してたらこ、こっちまで緊張しちまうぜ」
「あんたが一番緊張しまくりじゃない」
その様子を見たセリナは笑っていた。
「最初は緊張しますが、国民に手を振っていたらあっという間ですから」
「さすがお姫様ね、セリナは」
「他国の王族と比べると自国民は可愛らしいものですから」
カイリの言葉に返すとシュンも話に乗っかってきた。
「他国の王族に比べたら国民は気が楽だなー。
なんか安心したら腹減ったわ」
「そうだね。もしかしたらこの先他国に行く事もあるかも知れないし、自分達が見送りされるだけで緊張してたら何も出来なくなっちゃいそうだ」
まだ少し緊張しているようだが、先程と比べるとかなりマシな様子になり、マサトは自分の頰を叩き気合いを入れる。
「よし!それじゃ皆行こう!」
おぉ!と三人はマサトの後に続き王都を出発していった。




