ROG:2-FIN/澪の解答
「……はい、おしまいっス」
すっかり小さくなったロウソクを吹き消し、ランプの電源を入れた。
「えー、澪の姉御ってノンケなん?つまんねーのー」
咲ちゃんは怠そうに伸びをした。なんだいきなり。あたしのどこを見てそっちの気があると思ったのか、教えて欲しいものだ。
「前々から思ってたけど咲って本当バカだよね」
「恐れを知らないだけやんね」
「……それをバカと言うのではないのか?」
「バカでも好きになってくれる女の子はいるし、あっしもそれで満足だし、問題はないねーっだ」
珍しく標準語で喋り、檜をちらりと見て満足そうに笑った。……ああ、なるほどな。
「まぁ、キミがそう思うならそうだけどね。……幸せ者じゃん、羨ましい」
顔を赤らめながらぼそっと呟いたドンを、あたし達は見逃さなかった。
「え、何、好きな人おるん!?女の子!?なぁ女の子やろ!?」
「え、どうなんスかそこ!!」
「……多分、そう言う事ではないと思うぞ」
千絋ちゃんはため息をついた。相変わらず堅い女の子だ。
「う、うん……そうやってずっと変わらなくても、タブーだとしても好きになってくれる人がいるって事が……羨ましいなぁって。まだ恋愛とか、そういうのはよく分からないけど……もしかしたら、咲の言ったみたいに女の子を好きになるかもしれないね。あまり嫌悪感はないから」
言い訳の様に言って、ドンが弱々しく笑う。机の下を覗いてみると、椅子の上に置いた手を動かしてはやめてを繰り返していた。
「……何してるんスか?」
「この季節で夜中は流石に寒いからさ……手がかじかむの、嫌いなんだ」
よく見ると震えている。ドンは寒がりだし、このままじゃ風邪でもひいてしまいそうだ。
「……こうすれば問題ないか?」
「ひあっ!?」
「キマシッ!!テンポインツッ!!美味しいレズッ!!!」
みかねた千絋ちゃんが後ろから抱きついたけど、顔を真っ赤にしているドンを見てすぐにやめた。どうもスキンシップに弱いらしいのは分かっていたけど、これはちょっと過剰過ぎないか?
……後、咲ちゃんがうるさい。
「……熱いぞ。熱でもあるんじゃないか?」
「そ、それはないよっ……もう寝るっ!」
「待て、ちゃんと見ないと……」
「べっ、別にいいから……!!」
ドンは物凄い速さで布団に潜り込むと、数分で寝息を立て始めた。
「姉貴に嫌われたぁ……」
「……反抗期って奴じゃないっスかね。それか咲ちゃんがいるからかのどっちかっスよ、ドンは千絋ちゃん一番好きっスから」
肩を落とす千絋ちゃんを慰めてやる。
けれど、実際そう見えるぐらい、2人は仲が良過ぎるのだ。昨日の朝の事もそうだし、何をするにもいつも一緒でやるし。
そこから恋愛感情のひとつやふたつ芽生えてもおかしくはない……と前にちらっと見た昼ドラでやっていた。
つまり、ドンは千絋ちゃんが好きなんじゃないか?
……ここまで考えてやめた。
それはとても悲しいじゃないか。千絋ちゃんは時紅クンが好きだったハズだ。
その分、誰もが嫌いな奴を好きになったあたしは……
本当にラッキーで、どうしようもないバカ、だなぁ。
空はまだ暗いままだ。白む前に寝よう、と残った3人でおやすみを告げた。




