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「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第一章

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第5話 女神の説明

「そう焦るな。まずは……自己紹介といこう。人の子らよ」


 右手を自身の口元に添えながら彼女は、絶対的な強者の余裕と底知れぬ悪意のようなものが混じる声を出す。


「物事には順序というものがある。……まずは我からだ」


 挙げていた右手を今度は胸元に当てると、巨大な女性は軽い会釈を披露した。

 それだけで乳房が大きく揺れて男女問わず、その場の者達の視線を奪う。


「我が名はフォルトゥナ。全知全能を司りし女神の一人だ。……まあ、お前たちが言うところの”神本人”じゃな」


 彼女の語る声は、まるで異世界の神話が語られるかのような響きを持っていた。


「そして、ここは女神の世界――所謂”神域”じゃ。それとお前達を、ここに呼んだ張本人も我だ」


 フォルトゥナが発する言葉の重みが、その場の空気を一層張り詰めたものへと変えていく。


「とはいえ、意図的に召喚したわけではない。……我が適当にゲートを開いたところ、偶然にもお前達の空間と繋がってしまっただけに過ぎぬ」


 自身の頬に指を当て、考える仕草を見せながら、フォルトゥナは話を続けた。


「それはもう、お前達の世界で例えるなら、宝くじの一等が当たる程の確率じゃ。……運が良かったのか、悪かったのか、それはお前たち次第じゃな」


 彼女は視線を鋭くさせていたが、その話の途中で愉しげに細める。


「さて、ここからが本題。……我の目的、じゃが。簡単に言えば……暇つぶしだ。我は、お前たちを使って遊びたいだけなのじゃ」


 その声は何処か甘いものだが、それと同時に狂気を帯びていた。

 しかしフォルトゥナが、それを発言した瞬間に空間全体が、栗立つような緊張に包まれる。


 恐怖と理解の狭間で誰もが言葉を失い、ただ女神の不敵な笑みを見上げるしかなかった。

 そして一瞬の静寂の後、突如として湧き上がるのは怒号と叫喚である。


「はぁ!? 暇つぶしだと!? ふざけんな! こっちは楽しい修学旅行中だったんだぞ!」


 怒りに顔を赤く染め上げたのは樟葉であり、普段の浮ついた笑みは完全に消え去り、憤怒の色を全身から滲ませていた。

 だが彼の声は空虚な異空間に反響し、さらに他の者たちの感情を刺激する。


「ほんっとふざけんなし! お前が女神とかマジありえないんだけど! きのきっしょい、おばさんがよ!」


 そう言い放つのは鈴音であり、制服のスカートを揺らしながら、フォルトゥナを睨みつける目には、侮蔑と怒りの色が滲んでいた。


「おい、冗談にしても度が過ぎてるぞ……! 早く俺たちを元の世界に戻せよ! こんな悪趣味な空間でふざけるなよ!」


 彼女の言葉に同調するように、また奏恵も声を荒げた。

 いつもはクールな微笑を絶やさない彼でさえ、今は苛立ちを隠せず感情が言葉の端々に露出している。


「そうだそうだ! こんな変な世界に勝手に呼んでおいて、なんでそんな上から目線なの!? てか、あんた全然女神っぽくないし! つーか、服着てんの?ほぼ裸じゃん! 変態じゃん!」


 二人の言葉に便乗する形で麗華も叫ぶ。

 アイドルのような立ち姿で女神を睨みつけるだけでなく、両腕を組むことでプライドが高い事を主張する。


「なんでもいいですけど、はやく私たちを元の世界に戻して下さいまし。……まあ、こんなこと自分で言ってて意味不明ですけども。……まったく」


 最後に口を開いたのは姫香であり、彼女は優雅に手を自身の口元に当て眉を顰める。

 普段の冷酷さと見下すような視線は変わらず、目の前の異形の存在でさえも自分より下に見ているようだ。


 そんな怒号の嵐の中でも、女神フォルトゥナは悠然と微笑を崩さない。


「ふふ、良い反応じゃ。実に人間らしくて面白い。じゃが――――」


 艶やかな唇の端を僅かに上げながら、女神は右手を持ち上げた。

 その動きは蛇のように滑らかで官能的ですらある。


 そして彼女は自身の長くしなやかな指を、濡れた舌で一度ゆっくりと舐めると、それから指先で宙を優雅になぞる仕草を見せた。


 するとフォルトゥナの周囲に、突如として蒼白い光の魔法陣が展開される。

 その紋様は幾何学的で、見る者の意識を吸い込むかのような、深さと複雑さを兼ね備えていた。

 まるで宇宙の真理そのものを象徴するかのように。


「ん~……そう喚くな、人の子よ。まずは神の話を有難く聞くのじゃ」


 その声が響いた瞬間、魔法陣から淡い光が放たれ、クラス全員の口元に透明な紋様が浮かび上がる。

 何かが咽喉を掴むような感覚、筋肉が凍り付いたような強制的な制圧感が喉元に走り、全員が一斉に声を喪失した。


「んむっ……!?」

「んーっ、うー……」


 唸る事しか出来ない。

 口を動かしても言葉にならず、声は声帯を通る事なく喉で掻き消える。

 だが、それは悠真とて例外ではない。


 彼は今の状況の混乱に、ただ呆然とし視線を宙に泳がせるしかなかった。

 口元に手を当てるも、まるで見えない鎖が唇を縛り付けているかのようで、思うように喋る事が出来ない。


 悠真の視線の端には、他の生徒たちの困惑と恐怖が入り混じる歪んだ形相が映り込む。


「よい、よい、ようやく静かになったな。さて、ここからが本題じゃ」


 その金色の瞳が確かに、悠真を含む全員を捉えていた。

 怒りも悲しみも、全て見透かされているような感覚に、生徒達は背筋を震わせる。


「お前達、元の世界に戻りたいんじゃろ? それならば、我の”暇つぶし”に付き合うしか道は残されておらん。とはいえ、我とて理不尽な神ではない。そう難しいことを頼む訳ではない」


 腰を少しだけくねらせながら、フォルトゥナは艶のある唇で艶やかに笑う。


「お前達が元の世界に戻る手段、それはすなわち、異世界”ユグ=リオニア”に存在する”大迷宮”の攻略にある」


 その名を彼女が呟いた瞬間、漆黒の空間の一部が割れるように開き、広大な異世界の景観が一瞬だけ浮かび上がる。


 緑豊かな森、黒曜石で築かれたような塔、そしてその地下に蠢く無数の魔物たちの影が、ほんの一刹那だけ全員の脳裏に焼きつけられた。


「ユグ=リオニア……その世界では、ダンジョンの最下層を制した者に”極大魔法””――すなわち”神魔法”が授けられるのじゃ。まあ、人ならざる力を手に入れる事が出来ると考えればよい。そしてそのために無数の者たちがダンジョンに挑み、命を落とし、伝説となってい消えていった」


 淡々と異世界の事をフォルトゥナは話すが、それを聞く大半の者の顔には驚愕と不安が色濃く滲む。

 しかし一部の者は、その話を聞いて微かに興味を惹かれたのか表情が緩んでいる。


「そして……この世界には、お主らの世界にもあった”配信”という文化がある。特に”ダンジョン配信”は人々の熱狂を集め、多くの視聴者が冒険者たちに支援を送る文化となっておる。お前達も、それを利用するがよい。なぁ~に、慣れているだろ?そういうことには。それにファンが付けば、装備も資金も情報も、何かもが手に入る事じゃろう」


 徐に右手を全員の前に差し出すとフォルトゥナは、掌に光の球体を具現化させ、それを浮かび上がらせる。

 すると、その球体には現代のSNS文化を思わせる画面が浮かび、チャット欄には様々なコメントが流れていた。


「……おっと、我とした事が大事なことを忘れておったわ」


 光の球体を消滅させると彼女は、何かを思い出したように両手を叩いた。

 彼女の声は空間全体に澄んだ鐘の音のように響き、手を叩く動作は一瞬の暴風を巻き起こすほど。

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