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「お前は戦力外だ」と追放されたカードゲーマー、伝説級レアカードで無双する ~元クラスメイトたちは没落したけど、俺は美少女パーティーとダンジョン配信で大成功しました~  作者: どすこい。お嬢様
第六章

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第12話 そして、パーティーは新たなダンジョンへ

「おはよう、悠真くん。寝癖、直してないの?」


 長く細い耳を揺らしながら、シャルルが翠色の瞳を細めて笑う。


「まあ……直らなかったとでも言っておこう」

「直してあげましょうか?」

「……必要ない」


 他愛もないやり取りをする二人。


「悠真、もう朝食は頼んである。早く座れ」


 猫耳を立てながらアウラが、テーブルの椅子を顎で示した。

 銀灰色の長髪が揺れ、青灰色の瞳が規律正しく悠真を見ている。


「ありがとうな、アウラ」

「当然のことをしたまでだ」


 わずかに猫耳が伏せられ、彼女の頬が微かに赤くなった。


「悠真、今日のダンジョン攻略、楽しみですわ」


 金色の狐耳を立てながら、アイリスが蒼い瞳を輝かせる。

 腰まで届く金髪が朝の光に照らされ、金色に輝いていた。


「シュンリンは?」


 悠真が首を傾げると、宿屋の扉が勢いよく開かれる。


「アタシが――!いまきた――ッ!」


 燃えるような赤いツインテールが揺れ、シュンリンが息を切らして飛び込む。

 赤金色の大きな瞳が輝き、額の両側の龍角が僅かに赤みを帯びていた。


「龍化して空を飛んでたら、いい感じのダンジョン見つけたぞ! やっぱり空から見ると全然違うな!」

「……それで遅れたのか」

「うるさいな!すぐ座るからガタガタ言うな!」


 豪快に椅子を引いて、彼女が大柄に座り込む。

 やがて、そこに六人分の朝食が運ばれてきた。

 焼いた肉と野菜、温かいスープ、黒パン。簡素だが、十分な量である。


 食事を終えると、一行は街の市場へと向かう。

 消耗品の補充が目的だった。


 回復ポーション、魔力回復薬、水と携帯食料。

 アウラが手際よくリストを確認しながら必要なものを選び、ホウキが丁寧に値段を交渉し、シャルルが荷物の重量バランスを考えながら分配した。


 アイリスは僅かな時間を使い街で情報を集め、シュンリンは市場の食べ物を端から端まで食してゆく。


「おいおい、シュンリン。それだと、ただの食べ歩き観光だぞ」

「いいじゃねぇか、別に。腹が減ったら動けないんだから」


 悠真の指摘に対し、彼女は肩を竦めながら返した。

 そして全ての準備が整えられたのは昼前である。


 六人は街の門を抜け、外の道へと踏み出した。

 シュンリンが龍化して発見した霧幻のダンジョンは、街から数時間ほど歩いた先にあるという。


 緑の丘を越え、石造りの古い橋を渡り、鬱蒼とした森の中を抜けていく。

 その道中、シャルルが鼻歌を歌い、ホウキが周囲の警戒を続け、アウラが地図を確認し、アイリスが道端の花を観察し、シュンリンが先頭を走り回っていた。


 そして、日が傾き始めた頃。


「おっ、見えた!」


 シュンリンが立ち止まり指差した。

 丘の向こうに、巨大な岩壁が広がる。


 その中央に、深い霧に覆われた大きな口が開いていた。

 霧が内側から湧き出し、周囲の空気を白く染めている。


 岩壁の表面には古代の文字が刻まれており、その場に立つだけで、何か得体の知れない力を感じさせた。


 霧幻のダンジョン。六人は、その入口の前に立つ。

 悠真は深く息を吸う。霧の匂いがした。


 湿った土と、古い石の匂いが混じる。

 そして悠真は前を向く。仲間たちの顔を順番に見渡す。


 ホウキの凛とした横顔。シャルルの穏やかな笑顔。アウラの真剣な表情。

 アイリスの誇り高い眼差し。シュンリンの猛々しい笑み。

 全員が、前を見ていた。


「さて、新たなダンジョンだな。へっ……お前達、今回もよろしく頼むぜ!」


 静かに口を開き悠真は、意気揚々とした言葉を吐く。

 その言葉が、霧の中に響く。

 仲間たちの顔が、一斉に綻んだ。


「もちろんにございます、悠真様」


 ホウキが静かに、しかし確かな力を込めて言う。


「任せといて。悠真くんの隣で、最後まで戦うよ」


 長く細い耳を立て、シャルルが翠色の瞳を輝かせる。


「今回も完璧な援護を、お見せしますわ」


 金色の狐耳を凛と立て、アイリスが蒼い瞳に炎を灯した。


「前回の経験を活かす。死角は作らない」


 短く言い切り、アウラが猫耳を立てる。


「今度こそ、アタシが一番活躍するからな!」


 燃えるような赤いツインテールを揺らし、シュンリンが硬質な爪の拳を天に向けて突き上げた。

 仲間達の返事を聞いて悠真は笑みを零す。

 それは心の底から、自然と湧き出るような笑いだ。


「よし、やるか! ……えー、久しぶりの配信になるな。まあ、あれだ。しばらく休んでてすまなかったな、視聴者のみんな!」


 配信魔導端末を取り出して配信を開始すると、それだけ彼は口にした両手を申し訳なさそうに合わせる。


『待ってたああああ!』

『やっと来た悠真くん……!』

『二ヶ月ぶりだよ……泣いてる』

『ずっと待ってました古参より』

『悠真くん大好き!』

『私は王女です。結婚してください』

『後ろの子たちも久しぶり~!』

『シュンリンさんの龍化また見たい』

『ホウキさんの太刀さばき最高だった』

『アウラさん猫耳たまらん』

『アイリスさんの幻影もっと見たい』

『シャルルさんの笑顔で今日も生きていける』

『全員好きすぎる』

『次のダンジョンどこ!?』


 ダムが決壊したように、コメントが一気に流れ始めた。


「まぁ、そう慌てるな。視聴者諸君。今日から、新しいダンジョンに挑む」


 そう言うと悠真は、霧幻のダンジョンの入口へとカメラを向ける。


「霧幻のダンジョンだ。どんな奴が待ち構えてるか知らないが……まあ、仲間達が一緒なら、何とかなるだろ」


 ゆっくりと彼は仲間たちの顔を見渡す。


『最高すぎる』

『このパーティーなら絶対大丈夫』

『一生ついていく』

『伝説の続きが始まる』

『ずっと応援してる』


 コメントが穏やかに流れてゆく。


「うっし、行くぞ!」


 両手を叩いて気合を入れると、悠真は端末をしまい、デッキケースの表面を指でなぞる。

 そして六人の足が、霧の中へと踏み出した。

 白い霧が、その姿を静かに包んでゆく。


 彼らの冒険は、まだ終わらない。

 この異世界のどこかに、次のダンジョンが待っている。

 そしてその先にも、また次が。

 

 だが今この瞬間、悠真の胸にあるのは、恐れでも焦りでもなかった。

 頼れる仲間がいる。信じられる絆がある。

 それだけで、どこへでも行けると思えた。


 霧の中に、六つの影が消えていく。

 やがて入口だけが残り、そこから流れ出す霧が、静かに風に溶けていった。

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