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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第二章 動乱編

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群雄現る、海賊暴れる

 ネメシス光星帝国に、一つの辺境惑星があった。その名はレガリア。


 数多ある属星の一つで本星との関わりは薄く、統治は地方領主が行っていた。

 ただ共和国宙域との境界に近いので、帝国軍の前線基地があり、毎日のように艦隊が出撃していた。


 しかし、時空歪曲事変スペース・ディストーションにより、帝国との航路が絶たれてしまう。

 統治惑星に被害はなかったものの、空間断裂現象により時空転移装置(ハイパー・ドライブ)での、星間移動が困難になった。


 ただ遠回りすれば帝国領へ行けるが、航海に1年以上もかかってしまう。

 レガリアは孤立無援となる。


 大国との繋がりが断たれれば、誰しも不安を覚えるものだが、当代の若い領主は、むしろ喜んでいた。

 中央から干渉されないということは、好き勝手に振る舞えるということだ。


 本星の目が届かぬ今こそ好機、領主に野心が芽生える。



「かつて帝国は一代の英雄によって、築き上げられた。無数の国々が争っていた時代、先祖は戦と策をもって群雄をねじ伏せ、一つの旗のもとにまとめ上げた。何度も戦記を読み、胸を熱くしたものだ。このレグナス・レギオンも、末端ではあるが英雄の末裔だ。今は乱世、再び覇を唱えてこの宇宙を手に入れてみせる!」


「閣下ならやれるでしょう。共和国領への道は開いており、しかも敵軍は軍閥化してバラバラの状態。いつ攻めるの⁈ 今でしょ‼」


「まったくだ、我が友よ。失敗して愚者の烙印を押されたとしても、挑まずに無為な生を送るくらいなら、死を選ぶほうがましだ。何もせぬのは、俺自身が我慢ならない」


「不肖、真田真之さなだまさゆき、閣下のために尽力いたします。この命に代えましても、覇道を支えお守りいたします」


「頼むぞ、軍師。そして我が将軍達よ!」


「お任せあれ!」「勝利を我らに!」「この命、閣下に捧げる!」

「全ての敵を討ち滅ぼしてみせましょうぞ!」


 レグナスは知力・体力・武力・統治力・魅力の全てに優れていた。


 ゲームであれば、ステータスMAXのチート君主キャラ。


 部下にも恵まれており、号令一つで国を落としてくるだろう。忠誠心と兵達の士気も高く、非の打ち所がない。

 彼の覇道は誰にも止められぬかに見えた。しかし、後で足りないものに気づくことになる……。

 そしてレグナス以外にも、名をあげようと、数多の勢力が蠢き始めていた。


 ――果たして、頂点に立つのは誰ぞ。


 ◇◇◇


「ああ、畜生! イライラする」

「また、逃げられたわ。悔しい!」

「これでは、どうしようもないわね……」


 天馬団のイシュタール三姉妹はイラついていた。

 軍閥軍への攻撃が、うまくいかなくなったためだ。


 敵艦隊はレジスタンスの攻撃に耐えきれず、また天馬団を恐れて、支配惑星から撤退してしまう。

 惑星が解放されたことは喜ばしいが、軍閥軍は連携して、宇宙海賊になってしまった。


 これが厄介な存在となる。


 惑星やコロニー・商船など手当たり次第に襲い、奪っては短期間で去っていく。

 天女団が駆けつけた時にはすでに影も形もなく、運よく発見しても、蜘蛛の子を散らすように逃げ去ってしまう。


 ルナの力も届かず、遅い輸送艦のファミリー号では追いつけなかった。

 アジトを探そうにも、拠点を転々としているらしく、秘密基地は宇宙に点在していた。


 これに長女のサラは頭を抱える。


「一、二隻潰したところで、親玉が健在では意味がないわね……」


「密輸にも手を広げ、資金源を増やしてるわ、お姉ちゃん」


「くそったれ! もうマフィアじゃねえか‼」


 正義感の強いリジーはいきり立つ。

 本当ならクラリスと一緒に、アラシの捜索をしたいとこだが、それどころではなくなった。

 仕事内容が変わって、輸送艦の護衛で忙しい日々だ。


 彼女達がいるだけで海賊軍は寄りつかず、依頼者は助かっている。

 軍を駆除したい姉妹達にとっては気が進まないが、懇願されては引き受けざるを得なかった。


 物資の流通は生活の根幹に関わるし、援助物資が届かなければ、多くの人が飢えに苦しむことになる。

 しばらく考え込んで、


「……じゃあ、こうしましょうか」

「流石だぜ姉貴!」

「うんうん!」


 サラは一計を案じた。



 それからしばらくして、天女団は依頼を受けて輸送団を護衛することになった。

 多数の船団で行けば被害は抑えられる。なので護衛はファミリー号だけで十分。


 しかし、なぜか艦影が見当たらない。これを察知した海賊軍は多数の艦が集まって、船団を包囲してきた。


「ヒャッハー! 女どもがいなきゃ、奪い放題だぜ!」

「お宝は全部いただきだ!」

「おらっ! 命がおしかったら止まりやがれ! ぶっといミサイルを喰らいてぇか⁈」


 脅しに屈したのか輸送船団は動きを止め、海賊達は乗り込もうと艦を接近させていく。

 しかし、


電脳支配サイバー・ドミネーション!」


 ルナの超能力が発動し、ハッキングされた海賊艦は動きが止まって無力化される。

 ここでファミリー号が姿を現した。光学迷彩とステルス装置で隠れていたのである。

 これは、海賊達をはめる罠だったのだ。


 船団からは戦闘艇や揚陸艇が発進し、レジスタンス部隊が海賊艦へ乗り込んでいく。

 各惑星の解放軍(パルチザン)に協力を仰ぎ、この作戦に参加してもらったのだ。

 軍閥軍に対する恨みも深く、彼らは喜んで戦ってくれた。


「やったわね、お姉ちゃん。作戦は大成功よ!」


「ルナが嘘情報を上手く流したからな。連中は見事に引っかかりやがった。ざまぁ!」


「ええ、みんなのお陰よ。これで奴らも襲いにくくなるでしょう」


 やってきた海賊達は制圧され、輸送船団は無事に目的地に到着して人々は救われた。

 


 ――その後。


 ファミリー号にそっくりの偽装艦が造られ、どの輸送船団にも、その姿が見られるようになってしまう。

 

「くそっ! 本物かどうかわかりゃしねえ。もし魔女どもがいたら、こっちがやられちまうぞ」


「それに艦影が見えなくても、また光学迷彩で隠れていたらヤバい。どうすりゃいいんだ!」


 海賊軍は姉妹を恐れて二の足を踏み、民間船の被害は少なくなったが、軍人崩れの海賊は多く、襲撃が止むことはなかった。


 天馬団の戦いは、まだ終わらない。

この作品がお気に召しましたら、ご感想などお寄せいただけましたら幸いです。

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