表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第二章 動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/71

亜人との遭遇

 次の日、俺は言った。


「思ったより南部の密林は険しいから、本部からもっと人員を回すべきだな。あと冷凍庫とドライアイスをコッチに送ってもらおう。果実の低温輸送だ」


「はい司令、無線で本部に増員要請を伝えます。すでに天然ガスの利用を始めてますので、供給に問題はありません。移動中に腐らせるのは勿体ないですからね」


 早朝に兵士達の何名かを、採集した果実と列車に乗せて本部へ帰還させる。

 みんなに早く食わせたい。俺達だけが食ってるのはズルいからな。

 しばらくは列車の往復が続くだろう。


「おいしいいいいい!」

「これが毎日食べられるのなら、私は南基地へ行くぞ!」


 案の定、果実を口にした全員が転属願いを出してくるが、他の仕事が止まるので、部隊を半月交替することで折り合いをつけた。

 鉄道が複線になり南部の開発が進めば、移動争いもなくなるだろう。



 俺達は開拓をしながら密林の奥へと進み、調査隊が襲撃された場所に近づいていた。


神聴耳デウス・イヤー…………駄目だな、密林ジャングルは雑音が多すぎる」


 超能力で、敵の気配を探ってみようとしたが無理だった。

 視界も悪いので警戒しながら進むしかない。


 ちなみに俺は機甲羽衣は使っておらず、防具プロテクターを装着した戦闘服を着ていた。足にはブーツ。

 本部で自作したもので、この方が俺としては動きやすい。体はまだ子供だしな。

 護衛は不要なのだが、静香と志乃が絶対に許さず、弥生部隊と他の小隊が俺の周りを固めていた。

 側にいる紅美は軽口を叩く。


「敵がいるって聞いてたのによう、さっぱり出てこねえじゃねえか? ああ暴れ足りねえぜ」

「……蛇でも潰してろ」


 弥生とのどつき漫才を聞きながら、更に進むと遠くに何かが見えた。

 開かれた場所に黄金色の穂が揺れている。稲に間違いない。

 ただ野生の草にしては高さが均一で、一定の間隔で生え揃っているので、これは明らかに人が育てている。

 俺達が立ち止まってると、ガサッという音がした。そして何かが襲ってくる。


「敵襲!」


 と誰かが叫ぶも、相手は物陰に身を隠しながら動き、素早くて姿が捉えられない。

 そして不意打ちをくらう。


「くそ、この野郎!」


 紅美が殴って反撃するも当たらず、直ぐに隠れてしまう。

 攻撃自体は大したことはなかったが、不利な状況なので俺は指示を出す。


「全隊密集隊形、円周防御で互いの背中を守れ!」

「了解!」


 俺を中心に陣形が組まれると、敵は警戒して近寄らなくなり、グルグル走り回りながら様子を伺っていた。

 数は三人? いや三匹といったところか。

 そう思ったのは、敵は人の動きではなく獣に近かったからだ。


 俺は短気なので睨みあいを続ける気はなく、次の指示を出す。


「威嚇射撃開始!」


「了解しました。撃てえ!」


 全方位に短機関銃が放たれ、けたたましい連射音が密林に鳴り響く。

 弾丸が幹を抉り、樹皮が弾け飛ぶ。そして見えないどこかで、草が揺れ声が聞こえた。


「ニャッ⁈」


「そこか! 射撃停止、神影走デウス・スプリント!」 


 弾を当てる気はなく、敵の居場所を探るのが狙いだった。

 見つけた! もう逃がさない。


 迫る俺の気配を察したのか、そいつは慌てて逃げ出し、猿のように木から木へと飛び移っていった。

 俺は神風船も使いながら、木々を蹴って追いかけていく。残念だったな俺の方が早い。

 接近して見ると、その姿に驚く。


 ふわりとしたケモ耳の少女で、獣の毛皮を肩から羽織って、四つ足で走っていたのだ。

 頭が混乱したが、とにかく捕らえることにした。むろん殺しはしない。

 後ろから一気に近づいて、羽交い締めにする。まるで猫のようだった。


「ウニャアアアアア!」


「こら暴れるな! と言っても無理だな。神影縛デウス・バインド


 無理矢理、念力で体の自由を奪う。さてどうしたものか? と思っていると、いきなり強風が吹き付けてきた。

 体が吹き飛ばされそうになるほどの威力で、並の人間ならとっくに倒れてるだろう。


 俺は咄嗟に障壁シールドを張って防ぐ。これは超能力か⁈


 なぜなら俺だけに風が吹き付けられていたからだ。周りにある稲穂は動いていない。

 エスパーが相手となれば本気で闘うしかないな。


 さて、今の俺にどこまでやれるか……と意気込んでいたら風はピタリと止んで、声がかけられる。


「その子を放していただけませんか?」


 目を向けると、立っていたのは長身の女で、金髪をなびかせ毛皮をまとっていた。

 鋭い眼差しで俺を見ている。


 問題なのはその耳だ。人より長く先が鋭く尖った耳……もしかしてエルフ?


 ケモ耳少女といい、やはり俺は幻想世界(ファンタジーワールド)に転生したのだろうか……? 


 んなわけあるかい! 小説ジャンルが変わるだろうが‼


 俺がケモ耳少女を放してやると、すぐに女エルフの後ろに隠れて威嚇してくる。


「シャアー!」


 俺は赤い○星ではないぞ、と意味不明な突っ込みを入れてると、


「アラシー!」

「司令ご無事ですか⁈」


 静香と志乃の声が聞こえてくる。二人は後続部隊を率いて、慌ててやってきたようだ。

 俺は腕を上げて命令する。


「ああ問題ない。全隊停止、絶対に撃つな!」


「分かりました。全軍待機!」


 エルフ女はホッとした表情になる。俺としても争いたくはないからな。

 もし原住民で超能力も使うとなれば、敵に回すと厄介だ。


「武器を収めていただき、ありがとうございます。何もございませんが、こちらへどうぞ。お話をいたしましょう」

「ああ」


 敵意はないようなので、俺と静香と志乃だけが女の後についていく。

 もし、何かあれば無線で連絡するだけだ。

 稲作地を抜けると、そこにあったのは集落。


 藁と木で組まれた家がまばらに立っていて、焚き火のそばでは土器があり、煮炊きをしていた。

 米を炊いてるのだろう。


「なっ…………!」


 あまりにも原始的な生活を見て二人は絶句していた。ただボロボロになった鍋釜や、皿もあって使っている。

 住人達は不安そうに俺達をジッと見ていた。エルフやケモ耳の他に小柄な少女もいる。

 見た感じココも女だらけなので、俺は嫌な予感がしてならない。


 集落の中心にくると、そこにあったのは折りたたみテーブルと錆びたパイプ椅子。

 見慣れた物があり、明らかに異なる文化が入り混じっていた。

 俺達は椅子に座って向かい合う。エルフの隣には、さっきのケモ耳と小さい少女がいて、俺をにらんでいる。


 エルフ女の顔をよく見てみると、静香達に引けを取らないほどの美人だった。


 ああこれはやはり……


「初めまして、私はE510と申します。ここの代表です。この子らはB723とG375です。私達は人に造られ、人に捨てられし者です。あなた達は何者ですか?」


 名前とは言えない番号を彼女は言った。


「ッ…………!」


 静香と志乃も、何者か分かったようだ。自分達と同じだからな。

 言いたいことはあるだろうが、俺を差し置いての発言はしなかった。


 俺は彼女に名乗る。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召しましたら

応援・評価をいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ