プロローグ 後編
奴らも俺に気づいて、対艦ビームとミサイルをぶっ放してきた。もの凄い量だ。
こんなもん人に使うもんじゃねえだろ、当たれば一瞬で死ぬぞ……普通の人間ならな。
俺は体に障壁を張って、完全に攻撃を防いでいた。
最強エスパーの俺を、止められるもんなら止めてみやがれ!
ただ攻撃するには、ある程度接近しないと力は使えないので俺は艦に肉薄する。
「くらえ! 折神!」
俺が手をかざして念じると、駆逐艦が紙のにように折れ曲がり、爆発して炎上する。
まずは一隻沈めた。
残った艦は近寄らせまいと、近距離レーザーの速射砲で弾幕を張るが何の意味もない。
俺は手前から順番に、容赦なく戦艦を破壊していく。
自律型AI艦に人は乗ってないから、気に病むこともなく鉄くずにしてやった。
ただ損害額は桁違いになるだろう。これぞ税金の無駄。
敵艦がいなくなり、俺はヘルメットの中でつぶやく。
「……少なすぎる。たった五隻じゃ偵察艦にすぎん。俺は帝国艦を百隻沈めたこともあるんだぞ」
手ごたえのなさを感じてると、遠くに動く光が見えた。ヘルメットの遠視装置で確認すると大艦隊が接近していた。
約四百隻、こっちが本隊のようで四方から包囲しようと迫ってきている。
「まあ妥当な戦力だな、戦術的にも理にかなっている。艦隊司令官はそこそこ有能と見える。ただ唯一の計算ミスは、俺が相手だということだー!」
囲まれる前に俺は体を加速させて、一つの艦隊へと向かう。各個撃破を狙う。
またもやミサイルとビームの雨にさらされるかと思いきや、飛んできたのは巨大なミサイルが一発のみ。
少し警戒するが途中でミサイルはバラバラになり、小型ユニットが俺の周りにばらまかれる。
「うおっ! 飛べなくなった。ESPジャマーか⁉」
超能力を阻害する装置だ。
戦艦が星間移動に使っている時空転移装置の応用で、次元波を発生させて、エスパーが力場を作れないように妨害してくる。
これで超能力者もタダの人。
「わー大変だー、どうしよう! ……なーんてな。こんなもん避けるか、叩き壊せばいいんだよ!」
力場を強化してやれば何の障害にもならない。並のエスパーならともかく、俺には効かんぞ! まあ疲れるけどな。
帝国の対エスパー用に連合の技術部が作ったようだが、耐久性がない上に動作してないのも多い。不良品だ。
これは予算をケチってるな。どうせ政府と軍部が中抜きしてるのだろう。
やはり連合のやつらは腐ったクソしかいない。
戦わされてる兵が哀れだと思うものの、手加減する気は更々ない。
戦場で情けは無用、殺し合いだからな。
ESPジャマーで俺の動きが鈍くなったところに、次々と戦艦が突っ込んでくる。特攻だ!
「やるなー、いい戦法だ」
やはり艦隊司令官は優秀なようだ。ミサイルとビームを撃ちながらAI艦が順に迫ってくる。
一見ヤケクソにも見えるが、俺は破壊せずに防御と回避をするしかなかった。
なぜなら、
ドガーーーーーン、と宇宙で音はしないが戦艦が爆発したのだ。自爆である。
思った通り中に大量の爆薬がしこんであり、爆風で俺を仕留めようとしてきた。
また戦艦の破片と残骸が、高速で飛んでくるので厄介。単発ならともかく連続で自爆されるとかなりきつい。大赤字覚悟の攻撃で巨大な花火が打ち上がる。
「くそっ!」
俺は必死で逃げるも、広範囲の爆発からは脱出できなかった。
全包囲に障壁を張って耐えるしかないが、力を長時間使うのは無理だった。
誘爆による大爆発が起きて、俺の体が光に飲まれていく…………やがて爆発は収まり宇宙に静寂が戻る。
「やったか⁉」
「やってねーぞ! それはフラグだ!」
別に司令官と会話したわけではない。たぶん言ってるな、と思っただけだ。
突然目の前に現れた俺を見て、旗艦は驚いて固まっていた。怪我はなくダメージも0。
「ふう、空間跳躍しなきゃ死んでたぞ」
原理は俺にもよう分からん。危ないときに使えるだけで制御はできないのだ。
超能力は不明な部分が多い。
どっちにしろ旗艦の近くまで来たので、これで終わりだ。もう自爆はできまい。
「くらえ! 折――――なにっ⁉」
やや離れた宙域から、巨大ミサイルがいきなり飛んできた。
旗艦と僚艦が大慌てで逃げだしたので、これは司令官も知らなかったようだ。
狙撃兵ならぬスナイパーシップだ。恐らく味方諸共、俺を消す気だったらしい。
ゲスが‼
俺はムカつく。昔から連合は人命を軽視するような作戦を立てては、俺にも参加要請してくることがあった。
もちろん秒で断っている。つきあってられん。
正式の命令書は絶対に出さないし、俺達は正規軍ではないので断る権利があった。
脅してくるようなら傭兵契約を破棄するだけだった。
請け負った仕事は民間人の保護と街の防衛だけ。
それでも俺達に頼らざるを得なかったので、連合の将官は苦々しく思っていただろう。
外道の言うことなど聞く気はない。
そんな奴らのことだから、タダのミサイルではないな。俺もこの場から急いで逃げることにした。
……だが遅かった……遅すぎた。
「爆発しない? 視界がゆがむ。こ、これはまさか⁉」
これはヤバい武器だと気づく。俺は冷や汗を流し、もう余裕がなくなっていた。
……噂で聞いたことがある。時空を歪めて空間ごと破壊する兵器のことを。
その名は、次元破壊弾。
「くそがっ! ふざけんな!」
最悪にして最狂の兵器の影響は戦場宙域全体に及ぶ。残存艦隊は次々とねじ曲がって壊れていく。
みんな犬死にじゃねえか! 俺一人を始末するのにココまでするか⁈
宇宙がズタズタになるぞ!
ああ……もともと頭が狂ってるから、危ない武器の使用をためらわないのだろう。
人間こそが一番の凶器だ。
「くっ…………」
俺は障壁を張って耐えていたが、時空の裂け目に飲み込まれてしまう……。
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次話から場面が変わります。




