自室での特訓
「宜しくお願いします!」
「ふむ、ではやってみるがいい。」
「はい!」
アルスは魔力を集約し、魔法陣を展開させた。
起動するのは、第1位階魔術のシールドだ。
この魔術は、数ある魔術の中でも1番簡単であり初歩魔術と言われている。
魔術を与えた対象の防御力を向上させるこの魔術は、利用価値としても非常に有用であり最もポピュラーな魔術の1つだ。
じゃあ何故今アルスがそんな基本的な魔術を行使しているのかというと、それは以前アスタロトさんにお願いしていた魔術稽古の真っ最中だからである。
今日は授業ではアスタロトさんに驚かされ続け、その上王様と話したり握手したりと色々ありすぎて正直クタクタだったけど、今日の授業でアスタロトさんが言っていた「魔術は暗記ではなくイメージ」っていうのをどうしても実践したくなったから、こうして稽古をつけて貰えるようにお願いしたのだ。
だって、魔術はイメージというこれまでの常識を覆すような話をそのままにして、眠りにつく事なんてできないから。
「ふむ、まぁ普通に起動しておるな。では、次は暗記ではなくイメージでやってみよう。そうだな、この魔術の場合、自分の周りに防壁を張るイメージで魔力を集約しながら詠唱を行ってみよ。」
そう言うと、アスタロトさんもシールドを展開した。
……うん、やっぱり同じシールドなんだろうけど、もはや別の魔術ですよね、それ。
アスタロトさんの全身が白く輝き、更には電気を帯びているかのようにバチバチと音を立て触れる事すら許されないというのが一目で分かるシールドが展開された。
まさに絶対防御。
これが本当のシールドか。。
なんだか、いきなり難しい要求をされた気がするけど、とりあえず言われた通りやってみよう。
まずはそれからだ。
えっと、自分の魔力を利用して、自分の周りに防壁を張るのをイメージか……こんな感じかな……よし!
「第1位階魔術!シールド!」
こうして魔術を詠唱すると、ちゃんと魔法陣が浮かび上がった。
よし、成功だ!と思ったのも束の間、起動した魔術は先程アルスが展開したシールドに比べて強度が半分以下に落ちているのが分かった。
正直、これでは飛んで来る虫を弾き返すのがやっとなレベルだ。
「起動はできたようだが、まだまだ威力が薄いな。」
「やっぱり難しいですね。」
「なに、いきなり起動に成功したのだ。大したものではないか。あとは反復する事で精度を上げていくしかなかろう。」
「分かりました!もう一度やってみます!」
こうして、アルスは自分の魔力が尽きるまで初歩魔術の特訓を続けた。
本当の意味での、魔術の基礎を身に付けるために。




