新生 栄華の終わり、
miss
「代役、御苦労様...もう休んで良いよ?」人垣から這い出で、厚顔にも言い放つ奴に驚愕した。黒髪黒目、もう一人の台等に会場は割れに割れ喧々囂々の嵐。『もし今し方現れた彼が、本来の御人ならば段上に居るの者は?』猜疑の目、目、目、目。恐ろしい数が私を眇め執拗に見定めようとする。顔色が青く失せたのは幾人も無い、「虚偽を申すな無知な者よ。私が、偽者な筈が有るまい。だろう祭司」高齢の年寄りは忙しく首を振った。(無論、縦に)同席していた彼等にも水を向ける。
「同胞も証言するだろう、私こそが相応しいと!」顔を青くしていた三人が追随したが、他の幾名かは黙し唯一人だけが憎悪の眼差しを此方に向けた。まあ、彼に到っては仕方が無い。候補者の内の一人で有りながら亡くなった兄を身内に持つ事で、私に蟠りを擁いているのだろうから。
終わった事を悠長に構えて見過ごせるほど、私は厳しくない。寧ろ、優しいだろう。
だって、己の立場を逸早く理解させて遣るのだから。「兵よ、妄言を言った若者を連れ出せ。あの御方を待たせては為るまい、」控えていた部下が接近する手前で「待て!」美しき女が立ち上がった。凛々しく堂々たる様は、初めの印象を裏切り親戚のメルシュ様を想わせた。彼も快活でありとても聡明だ、この国の将来を案じて旅立たれたのだから。一つ、欠点を挙げるなら。下界の人間一人を贔屓にして、姫の婚約者に据えたと言う事実。紛れも無い逆徒の所業。だから、メルセは野に放逐され…
「代理、誠に御苦労であったソレビトよ。下がって良いぞ...(小声で嬉しそうに)、参れ童を俟たせるとは贖うべき罪よ。」艶やかに哂う妖艶な女は酷にも(数瞬の間だけ)煌びやかな美貌を魅せつけた。目に焼きついて消えない烈火の如き華々しさは。あの男に、否、あの男だけに。
後に、私は語る「グリカラは恐ろしき都。美貌の女帝が君臨する悪魔為る都市だ」と。




