星の願に
サブタイトルの読みは『星の随に』と言う。理解されたし、
それと作中造語の括りにされそうな曖昧な語と漢字表記の意味を削り
音はそのままに漢字の意味のみを貰った語がある。読後、詳細表記。
夜景。偏にそれは世界の映し鏡である、文明程度の発達が明暗に両断されるのだから。とても判りやすい事例だ。今、少年は満天の星々を眺めて自問する『何時 星々《あれら》は潰えるのだ』と。瞬きの刹那を生きる己には眩しかった、手で隠した目元から一粒の雫が散った。
少年の心神は他の凡雑さと懸け離れていたようだ、何かと思えば空を飽くことなく見上げて―今日の空は面白い、美しいだの、いつの日か空を描きたい―よくはしゃいだ。『ああ、空なんて一々見上げないから…』と相手は確かに如何でも良かったのだろう。単純に少年は落胆し憤りも涌いたが、その諦観を見て頷く他無かった。
放たれた当初の記号は「16」だったのに、もう二年の月日が経過している。実の齢より老けて見える手は道中の苦節を語った。吹き荒ぶ風塵に苛まれた髪に艶やかさの色は欠片も無い。羽織る煤けた外套も主と供に時を経て静かに風に靡いていた。
一昼夜何もない砂漠を彷徨歩いてやっと、目指していた街に行き着いたのだ。行軍日程よりも大幅な時間消費であった…
手持ちの地図には記載の無い、人伝に聞いて訪ねた新たな場所である。眼下に見下ろせる小さな村には―いそいそと書き込むと、少年は砂山を下った―門と呼べる囲いも無い。埃避けの複覆眼を外すと風土に覆われた地形が一望できた。
びゅうびゅうと凄む風が鼓膜の音を浚ってゆく、奥の大地にぱっくりと口を開けた暗闇が待ち構えていた。きっと久しく出入りの無い閑散としていただろう街というより、村と言ったほうが似合う風情の村民たちは物珍しげに少年を迎えた。纏わりつく幼少の子等よりも年配の者共と交流を図りたいのだが、言葉での抵抗空しく遊びに借り出された。
日も天高く昇り、わらわらと騒々しい集団が各家に帰ってゆく、木陰で汗を拭った。「外から来たって」子等の一人と迎の親では無さそうな青年が声を掛ける。
世話の御礼だ、と茫洋とした家庭に招かれた。親二人に先の子とその兄らしい青年の家に、である。子はまた煩く少年のこと気に掛けていたが食事を取った後、直ぐ寝てしまった。余程遊びつかれたのだろうか?「丁度、昼寝の時間なんだ」と兄は言う。
数刻大人と有意義に話し合って、今晩泊めて貰らえるという言葉に乗った。
部屋は兄の部屋に決まったが、夕刻に起きた子は不服そうだった。
何故かと問えば、「もっと遊んで欲しかった」そうな。夜、寝入るまで兄の部屋で少年の膝を占拠し読み物をせがんだ。兄弟のいないようだった少年は弟が出来たように錯覚し、実は少し愉しさを覚えていたのだ。だから、少しだけ宿泊を延ばそうかと本気で悩んだ。
風土=今期作中ではただ風と土に覆われただけの意を採用
複覆眼、適当な語を探し風防眼鏡と検索され何故か落胆
よって勝手ながらに命名ではなく漢字に副わない程度 複合。




