強大な勢力
別サイトでひっそりと連載していたサブ創作小説ですが、こちらでも連載することにしました。ロールプレイングハントとは違い1話1話が短いのであまり考えずに読めると思います。こちらは思いきりファンタジー要素満載です!
「そっちの手配は済んだか!」
王のランス・カークローが叫ぶ。
「とても手が回りません!」
しかし、召使いからはそう返ってきた。
今、カークロー城の城内は、天井からどんどんとレンガが崩れ落ちてきている。城内の人々は、あちらこちら慌ただしく走っている。ある者は城の修繕を試み、ある者は生存者の確認を行っている。
しかし、とても人手が足りる状況ではなかった。
「参ったな…これでは城は倒壊してしまう…」
ランスがそう呟いた矢先。
「ランスさまっ!」
一人の召使いがランスの者へと走り寄ってきた。ランスのいちばん信頼のおける女性の召使い、ルノだった。腕に何か抱えているようだった。
「ランスさまっ!お城の倒壊はもう時間の問題です!早く、こちらのロレス王子を連れてお逃げください!」
そう、腕に抱えていたのは、カークロー家の次期王子、ロレス・カークローだった。
しかし、ランスは首を縦には振らなかった。
「いや、私は城の主だ。城や城内の人々を見捨てて、一人のこのこのと城を出るわけにはいかん。ルノよ、お前がロレスとともに逃げろ!」
「いけませんランス様!国を統治するお方がもし命を落としたら、世界に大打撃を与えてしまいます!それに、ロレス王子が悲しみます」
しばし無言の沈黙があり、ランスが口を開きかけた時…
轟音とともに、二人は後方へと吹き飛ばされた。そのため二人は、はなればなれになる状態だった。
ロレスはというと、ルノの守護魔法に守られ無事だった。
「おやまぁ、こんな緊急事態にいがみ合ってるとは…呆れますよ」
声のする方を向くと、二人の影が見えた。煙がひどいため、シルエットでしか確認できない。一人は長身で、髪の毛が少しツンツンしている。もう一人は、長髪でツノが生えていた。声の主は長身の方だろう。やがて煙が晴れると、二人の全身があらわになった。
長身の方は男で、薄い青色のような肌をしており、目の色はほとんど黒に染まっていた。さらに、黒い尻尾が生えていた。さらに、髪の毛がツンツンしていただけと思われたが、こちらも黒いツノが生えていた。長髪の方は、女だった。紫の髪に黒いツノ、翼を生やしていた。どう見ても、カークロー城を攻撃してきた張本人にしか見えなかった。
「おっと、申し遅れました。私、今回この城にお邪魔させていただいてます。アモルと申します」
「私はアミーリ!よろしくねーっ!」
ランスとルノはただ呆然としているだけだった。
「それと、我々は悪魔の子です。今回は、ランス様、貴方に用があります」
そういって、悪魔の子二人は、ランスの元へと歩み寄ってきた。
「何の用だ…!何故こんなことをしにきた!」
ランスは強い憤りを覚え、相手に疑問をぶつけた。
「そうですねぇ…」
アモルは答えを言いかけたが、いきなりランスに指を向け、指からなにか光る光線をランスに浴びせた。途端に、ランスは身動きが取れなくなってしまった。意識はあるらしい。どうやら、麻痺攻撃のようだ。
「では、お答えしましょう。私達二人は、竜王子様の使いです。いずれこの城にも、跡形もなく消滅させるために来るでしょうから、名前だけは教えますよ。サマルドロス様です。」
アモルは、大袈裟な身振り手振りで話し始めた。
「なぜ…我々に…恨みが…あるのか…?」
ランスは麻痺しながらも途切れ途切れ問いかけた。
「それはもちろん、サマルドロス様の世界征服のお手伝いですよ。貴方みたいな権力者からまず攻撃しろと言われましたので」
アモルは曖昧な答え方をした。
「この…っ…!」
ランスは麻痺する中、アモル攻撃しようと動き始めた。しかし…
「はぁーい、これでお話はおしまいねー!おやすみなさーいっ!」
アミーリがそういいながら、指からランスに禍々しいビームを浴びせた。途端に、ランスは糸の切れた操り人形のように動かなくなった。
「あなたは私たちに従えばいいのよねー!だから、この話はおしまい!それじゃあ次は後ろの小娘ちゃんを…!」
そういって二人はルノの方を向いた。しかし、そこには影も形もなかった。どうやら、ランスとのやり取りの最中に逃げ出したらしい。
「あーもうっ!なんで逃げるのよっ!」
「少し失敗してしまいましたね。でもいいでしょう、王は捕らえました。王を連れてサマルドロス様のところに帰りましょう」
「しょうがないわね。そうね、帰りましょ!」
そういって二人は空へと飛び立った。
悪魔の子が去った城内は、まるで廃墟のような静けさがあり、今までの城としての威厳も何もない状態だった。
人気のない草原を、ルノは夢中で走っていた。ランスを見捨ててきたのには理由があった。実は、ルノの上着の内ポケットに、ランスの手紙と重要な資料が全て入っていた。実は、緊急事態時、ルノしばらくは上着は着ていなかった。そのため、その際ランスがもしものことを考えて、上着に入れたのだろうと推測した。
手紙には、[もし万が一のことがあったり、自分の命を落としそうならロレスを探して連れて逃げてくれ。私より子孫の命をつないでほしい。重要な資料や、ロレスが生きていくために必要な資料は全部ここにある]と書いてあった。そのため、アモルとアミーリがランスと対峙してる際、そっと逃げたのだ。もちろん、逃げたのは、ランスが目配せをしたからだ。
しばらく草原を走っていると、小さな村が見えた。そのため、ルノは村に駆け込み、宿屋に入った。
「いらっしゃい、どうしたのそんなに慌てて?
宿主のおばさんが驚いた表情でルノを見た。
「しばらく…ここに泊めてもらえませんか…?お金は…ありますから」
ルノは息切れしながら答えた。
「いやぁ、お金はいらないよ。ただ、あんた、何かに追われてるっぽいけど大丈夫かい?何なら話してごらんよ?あたしは口がかたいんで有名だからね!」
やはり宿主というだけあるか、おばさんは瞬時にルノ達が普通ではない事を悟った。ここは藁にもすがる思い、ルノはおばさんに耳打ちした。
「実は…カークロー家の者なんです…」
その途端、おばさんの表情が変わった。
「ちょっとこの部屋に入って。この部屋なら話し声はほとんど聞こえないし、鍵もかかるからね」
ルノはありがたく思いその部屋に入り、事の経緯を全ておばさんに話した。
「はぁ〜…あんたも大変だったねぇ…しかもこの子が王子様と!それなら、この部屋自由に使ってもらって構わないよ!ここなら鍵もかかるしバレないし、一石二鳥ってやつだね」
おばさんはルノたちを快く受け入れてくれた。
「あ…ありがとうございます…!」
ルノは涙ながらにおばさんに頭を下げた。
「いいんだよいいんだよ!
おばさんは笑って答えた。
それからルノは宿を借り、ロレスを育てた。ロレスはすくすくと成長し、おばさんも我が子のように喜んでいた。
そんな中、ルノに怪しい影が忍び寄っていることは誰も気がつかなかった…




