俺の危険が今始まった話
コツコツコツと梯子から誰かが降りてくる。
俺はとにかく一つの情報も漏らしてはならないと、全神経をその誰かに集中させた。
何だ、一体、何が起きる。
白いポロシャツの男が梯子を降りそっと振り返った。
それはナガタだった。
「ナガタ、お前どうして」
怒りもあったが、状況の飲み込めなさが勝り、戸惑いがサキに来た。
まずは怒鳴ったとしてもおかしくない場面のはずだ。
「悪かったな、そして、待たせたな」
ナガタは静かにそう言った。
とりあえず謝罪の言葉が聞けた事で少し安堵した。
もしここでお前を殺しに来ただとか、まんまと罠にかかったなとか言われていたらもう絶望だった。
「た、助けてくれえぇ」
俺は力なく、弱弱しく、餌をもらえないハムスターのような声でナガタに訴えた。
ナガタは俺の縄をほどき始めた。
何から質問していいか全く解らなかったが、
「一体なんだこれは」
最初に口から出たのはこれだった。
「とりあえず、俺は色々嘘をついた。そして結構解ってると思うが、お前を危険な目に合わせている」
確かに解っていた。
「だが、最初に言っておくが、お前の想像している危険な目より、後3倍ぐらい危険だと自分で思っていといてほしい」
「さん、三倍だと!?」
何が起こっていると言うのだ。
「ナガタが来て、助けてくれたらもうおしまいじゃないのか?」
「ああ、残念ながら、まだおしまいじゃない、というよりこれからスタートと言っても過言ではない」
マジかよ。




