↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】クリムゾン・コート・クルセイド Vol.Ⅱ ”平和たる軍靴"  作者: アイセル
第八章 Reckoning

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/175

落とし前―③―

当作品の無断転載、AIを含めたあらゆる二次利用を禁止します!!

Do not reupload / use my writing for any purposes, including for AI!!

 ロックの右手から放り投げられる、黒縁眼鏡の巨漢――カンタ。


 その先には、黒いスーツを着た若い男が三人いた。


 いずれも、羊の頭蓋型"命導巧(ウェイル・ベオ)"を両腕に装着している。


 突っ込んでくる半裸のカンタに、その内の一人が青白い弾丸を発射した。


 宙に浮かぶ巨漢の背に当たった指向性熱力(エネルギー)弾が爆発し、青白い光が商店街の路地を照らす。


 ロックはカンタを盾に、"政市会"会員へ距離を詰めた。


 意識を失っていたカンタの眼の色に輝きが戻り、全身から紫電を発する。


 雷の"物の怪"と化したカンタが、ロックと"政市会"会員の間で更に雷鳴を轟かせた。


 ロックの目の前で、土瀝青(アスファルト)の擂鉢とイオン臭を残して消える。


 カンタの巨体で視界を塞がれた"政市会"会員が、ロックの攻撃に出遅れた。


 二弾目の青白い弾丸が放たれる前に、ロックの右直拳撃(ストレート)が素早く男の左顎を抉っていた。


 顎への衝撃で意識を失う男の両眼に、ロックが映る。


 カ(・)ン(・)タ(・)へ(・)の(・)攻(・)撃(・)で(・)発(・)生(・)し(・)た(・)青(・)白(・)い(・)爆(・)発(・)の(・)煙(・)幕(・)で(・)逃(・)れ(・)た(・)"政(・)市(・)会(・)"会(・)員(・)の(・)二(・)人(・)がロックに迫る。


 ロックの右肩を狙う"政市会"の男に向け、右後ろ回し蹴りで応戦。


 だが、男の右(・)手(・)の(・)得(・)物(・)に気を取られる。


 ロックに襲い掛かる男たちの両手の"スウィート・サクリファイス"とは別に、右手に黒い警棒が握られていた。


 把手に、引き金が付いている。


――電磁警棒!?


 そう考えた時には、男の持つ警棒状の得物がロックの右の靴底に触れていた。


「弟弟子!! 離れろ!!」


 姉弟子のリンカの声と同時に、ロックは異(・)変(・)を(・)感(・)じ(・)取(・)っ(・)た(・)。


 右足から静電気が、全身を駆け巡る。


――そ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)か!?


 痺れて動作が遅れたロックに、警棒を持つ三人目の"政市会"会員の男が迫る。


 視(・)認(・)は出来た。


 考(・)え(・)て(・)も(・)、攻(・)撃(・)に(・)移(・)せ(・)な(・)い(・)。


 ロックは咄嗟に後退を選択する。


 しかし、二人目の警棒の男の踏み込みが速い。


 男の両眼が、紅い外套(コート)を纏うロックの脳天を見据えた。


 ロックの右後ろ回し蹴りを逃れた男も、右手の警棒で追い打ちを仕掛ける。


――……"力(・)"が入らない!?


 右拳に力が籠められないことに内心戸惑うロックに、一対の警棒が同時に振り下ろされた。


 しかし、二振りの棒から放たれる害意の風が唐突に消える。


「考えもなく走り過ぎ、弟(・)弟(・)子(・)よ……?」


 ロックを背にして諭す口調の姉弟子――リンカ。


 両目元に施された星屑色の煌めく風が、ロックに吹いた。


 対峙する二人の男に一筋、凛華の大太刀の一閃が疾走(はし)る。


 凜華の一振りが、男たちの警棒を真(・)っ(・)二(・)つ(・)にしていた。


「さて、"大和保存会"か"ホステル"のどちらにしても……嫌(・)な(・)も(・)の(・)持(・)ち(・)出(・)し(・)た(・)ね(・)……」


 凜華が、舗装された道路上に散らばった警棒状のものを目に、溜息を吐く。


 その眼は、眼光の鋭さと内の忌々しさを隠そうとしない。


 "政市会"会員の二人も同じような目線を凜華に向けた。


 彼女の持つ"二(・)尾(・)の(・)魚(・)と(・)一(・)羽(・)の(・)鳥(・)"が(・)刻(・)ま(・)れ(・)た(・)柄(・)の(・)大(・)太(・)刀(・)に"政市会"会員達の視線が注がれる。


「そちら程じゃない……"イペタム"を手にした者がいるとは聞いていたが……まさか、"望楼(ヴェルヴェデーレ)"にいるとは……」


 二人の男の片割れが、凜華に答える。


「他の"政(・)市(・)会(・)"会(・)員(・)に(・)比(・)べ(・)る(・)と(・)、話が分かりそうだね……」


「なら、じっくり話と行きたいところですが……?」


 二人の"政市会"会員の男の背後から集まる人影が、ロックと凜華の周囲を囲んだ


 服装は背広もいれば、カジュアルもいる。


 男もいれば女もいて、世代を問わなかった。


「……無論、こちら側に来ていただければ……だが?」


「一(・)人(・)の(・)女(・)に(・)大(・)勢(・)を(・)嗾(・)け(・)る(・)よ(・)う(・)な(・)奴(・)からのデ(・)ー(・)ト(・)の(・)誘(・)い(・)は、ゴ(・)メ(・)ン(・)被(・)る(・)!!」


 ロックを守る様に、凜華が前に出る。


 ロックに峰を見せ、凛華の刃が彼を覆う肩越しの構え。


 彼女の剣気が牽制をしつつ、


「……ついでに言うと、先(・)約(・)が(・)あ(・)る(・)か(・)ら(・)、どっちにしろ断る」


「……デ(・)ー(・)ト(・)だ(・)ろ(・)う(・)が(・)何(・)だ(・)ろ(・)う(・)が(・)、テ(・)メ(・)ェ(・)と(・)一(・)緒(・)はお断りだ!!」


 凜華の言葉にロックは、辟易して言った。


「それは置いといて、身(・)体(・)の(・)方(・)は(・)?」


 凛華に気遣われ、ロックは考えながら右手に集中する。


 力(・)が(・)入(・)っ(・)て(・)き(・)て(・)い(・)る(・)感(・)覚(・)を覚えながら、"政(・)市(・)会(・)"会(・)員(・)達(・)の(・)持(・)つ(・)警(・)棒(・)に目を向けた。


「……"超微細機械(ナノマシン)"との繋がりが回復してきているが……」


「"芝打(しばうち)"……名前は修験道の剣を使った呪術から取られているけど、れっきとした……"UNTOLD(アントールド)"による武器。"リア・ファイル"の機能を一(・)時(・)的(・)に(・)停(・)止(・)で(・)き(・)る(・)」


 "イペタム"という名の大太刀の刃の輝きで、凜華が牽制する。


「……どういうことって面だな、"弟弟子"?」


「アイツらの持っている得物までは知らなかった……だが、こ(・)の(・)状(・)況(・)の(・)見(・)当(・)は(・)つ(・)く(・)……」


 どこか勝ち誇った顔の姉弟子に、ロックは眼(・)の(・)前(・)の(・)状(・)況(・)に(・)被りを振りたかった。


 意味はないと判断し、現実へ向き合うことを選ぶ。


「"UNTOLD(アントールド)"に関連する"遺跡"……それを手にしたのは、"ワールド・シェパード社"や"政声隊"ばかりじゃなく……"政市会"――というよりは、"大(・)和(・)保(・)存(・)会(・)"も(・)含(・)ま(・)れ(・)る(・)」


 "遺跡"という施設が世界中にあるのなら、日本にもある。


 それに"大(・)和(・)保(・)存(・)会(・)"が(・)目(・)を(・)付(・)け(・)な(・)い(・)理(・)由(・)が(・)な(・)い(・)。


 まして、菅原の狙いが"真(・)の(・)民(・)主(・)主(・)義(・)"と"秩(・)序(・)"――それらをもたらす"天之御中主神《アメノミナカヌシノカミ》"の復活なら、"UNTOLD(アントールド)"に関する技術への造詣は――浅さや深さを問わず――当然ある。


「……しかも、機(・)能(・)を(・)止(・)め(・)る(・)も(・)の(・)を真っ先に発掘して、隠し持っているとは、涙が出てくる……」


「私の胸で泣くか、弟弟子?」


 凜華が、タ(・)ン(・)ク(・)ト(・)ッ(・)プ(・)越(・)し(・)の(・)出(・)る(・)と(・)こ(・)ま(・)で(・)出(・)て(・)い(・)る(・)双(・)丘(・)で胸を張ると、


「誰(・)が(・)お(・)前(・)な(・)ん(・)か(・)に(・)……というのもあるけど、そ(・)ろ(・)そ(・)ろ(・)大丈夫だ」


 振り向いた凜華の眼が、呆れるロックを見据える。


 勝ち誇り、炎の様なロックの眼の煌きを凜華が認め、


「じゃあ……時(・)間(・)稼(・)ぎ(・)だね!!」


「頼むぜ、姉(・)弟(・)子(・)さ(・)ん(・)よ!!」


 ロックの声と共に、上空で爆音が響いた。

面白いと思ったら、リアクション、評価にブックマーク、よろしくお願いいたします!!


© 2026 アイセル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。