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【完結】クリムゾン・コート・クルセイド Vol.Ⅱ ”平和たる軍靴"  作者: アイセル
第六章 St.Anger

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脱出―⑨―

当作品の無断転載、AIを含めたあらゆる二次利用を禁止します!!

Do not reupload / use my writing for any purposes, including for AI!!

「あらあら……"あ(・)の(・)子(・)"、雑(・)賀(・)さ(・)ん(・)と"お(・)腹(・)の(・)子(・)ど(・)も(・)"が気に入ったみたいね-」


 ロックは天から聞こえる声に、目を向けた。


 空中に純金の頭と銀の肩をした魔人に抱えられるピンクのパンツスーツの女――三条。


 対峙の時のポーカーフェイスと違い、彼女は愉悦に浸っている様だった。


 三条の眼下で、"金色の嬰児"――彼女が前に言っていた"チキンブロウ"――が鶏頭の右手をかざしている。


 その背後には、白い少女が浮いていた。


 金色の嬰児が、青白い炎の宿った右手の嘴を振り回す。


 腕から放たれた炎の雨が、ロックの周りにも降り注いだ。


 ロックは、ダグラスの右肩にめり込んだ翼剣を抜くために、蹴飛ばす。


 腕の長さほどの間合いが生じ、足元に落ちた青白い炎が立ち上がった。


 ロックに突き飛ばされた"スコット決死隊"のダグラスが黄金嬰児の炎に覆われる。


 ロックは、青白い炎の大元である巨大な嬰児に目を向けた。


 苔色の疾風となったブルースが二振りのショーテルの斬撃を、"金色の嬰児"の右脚に放った。


 "金色の嬰児"が前のめりに倒れると、砂塵を纏ったサミュエルの大鎌の一撃が左脚を捉える。


 両脚を失った嬰児の、雑賀を覆う肋骨の檻が地面に接触。


 "金色の嬰児"が鶏の頭の右手を上げ、上体を起こす。


 ロックは駆け、跳躍した。


 順手で"頂砕く一振り《クルーン・セーイディフ》"による地球上で硬い物質を再現した分子配列の刃の一撃を見舞うと、巨大な嬰児の後頭部を抉る。


 這いずる嬰児の額が、土瀝青(アスファルト)に叩きつけられた。


 巨大な嬰児が、強襲したロックを左手からの寝返りと共に振り払う。


 剛腕の風に吹かれ、ロックは吹っ飛んだ。


 彼の身体を運ぶ風に、熱(・)波(・)が(・)混(・)じ(・)る(・)。


 巨大な"黄金の嬰児"の顔と左腕に、爆炎が三発。


 一平の両手の拳に付けられた銃口から放たれた"爆轟咆破《ルガ・アン・スプレガイ》"による、炎の榴弾だ。


 ロック達の攻撃に煩わしさを覚えたのか、"黄金の嬰児"が両腕を上下させる。


 一平の炎の榴弾をかき消しながら、右の鶏頭から青白い炎の輝きが増した。


「させない!!」


 龍之助の矛槍が、"蒼海の翼《スキアハン・ナ・マラ・ゴラマ》"による"加圧水流(ウォータージェット)"の一撃で、青白い炎の宿る鶏頭の右手を貫いた。


 ロックが追い打ちを仕掛けようとすると、嬰児から溢れた炎に道を塞がれる。


 炎を避けて、回り道を取った。


 ロックの目の前の巨大な嬰児の金色の皮膚の表面に、それを見下ろす三条が映る。


 その三条を赤い炎が覆った。


 炎が薄い雄牛の口から吐き出される


 雄牛は、月夜を背にシャロンが駆る"滑輪板(スケートボード)"の下から出ていた。


「アレは何!? あの赤ん坊の化け物の"ウィッカー・マン"――」


 シャロンの三条への詰問が、彼女の守護者である純金頭の魔人の右腕に遮られた。


 右の剛腕からの一撃が炎をかき消し、薄い雄牛を貫く。


 シャロンの"滑輪板(スケートボード)"にぶつかる寸前、光弾が純金頭の放った銀色の拳激をかき消した。


「シャロン、離れて!!」


 サキの蒼色の片刃の付いた軽機関銃を構え、三条を狙う。


 蒼白い光の弾丸が、三条と純金頭の魔人へ放たれた。


「……それは、私でなく……原(・)田(・) 龍(・)之(・)助(・)に(・)聞(・)い(・)た(・)方(・)が(・)分かりやすいと思いますよ?」


 サキの攻撃を避けながらの三条の回答に、シャロンは困惑する。


 当の龍之助も眉を顰めた。


「さて……電(・)脳(・)右(・)翼(・)を(・)追(・)っ(・)払(・)う(・)兵(・)器(・)と(・)し(・)て(・)、"チ(・)キ(・)ン(・)ブ(・)ロ(・)ウ(・)"が(・)有(・)効(・)な(・)の(・)は(・)理(・)解(・)で(・)き(・)た(・)ので、後(・)始(・)末(・)は(・)頼(・)み(・)ま(・)し(・)た(・)よ(・)?」


 三条が目線を炎と瓦礫の向こう側に向けると、ロックの眼の前から常闇に姿を消した。


 困惑する龍之助の眼前で、"金色の嬰児"――"チキンブロウ"が両腕で上体を起こす。


『私の大切な人を……傷つけて、街にいられなくさせて……私たちが、何をしたのよ!?』


 雑賀の慟哭に呼応するように、左手と、手をなくした右腕で這いながら、龍之助に突進。


 眼鏡の奥の蒼い右眼で龍之助が凝視して、"金色の嬰児"と対峙した。


 彼の右眼に"チキンブロウ"、その背後に"白い少女"が映る。


 右手の鶏頭は龍之助の放った一撃で破壊されていたが、い(・)つ(・)の(・)間(・)に(・)か(・)元(・)に(・)戻(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。


 右腕の嘴の形をした槌が、龍之助に振り下ろされる。


「龍之助!!」


 一平が龍之助の前に出て、両手を交差させる。


 "磁向防《スキーアフ・ヴェイクター》"が、金色の鶏の鉄槌を受けた。


「何(・)も(・)し(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)だ(・)……深(・)く(・)考(・)え(・)ず(・)、た(・)だ(・)上(・)の(・)指(・)示(・)に(・)盲(・)従(・)し(・)た(・)か(・)ら(・)だ(・)!!」


 一平が"チキンブロウ"の鶏の頭を"爆衝烈拳《ドーン・ナ・セーイジェ》"の爆轟の衝撃波で跳ね返す。


 彼の膂力も合わさった衝撃が、一帯に突風として吹き荒れた。


 右拳を振りかざした"チキンブロウ"が、大きく仰け反る。


 サキの守護者である"命熱波(アナーシュト・ベハ)"が鶏冠(ガレア)を纏う"ヴァージニア"の弓から放たれた矢が、肋骨に覆われる雑賀の前に向かう。


 結晶の鏃が、"チキンブロウ"の前で炸裂。


 もう一人のサキの"命熱波(アナーシュト・ベハ)"の守護者――"ライラ"――が弾ける結晶から現れる。


 金色の嬰児の首を、右手の光の剣で切り裂いた。


 声にならない雑賀の叫び声が轟く。


 胸部に囚われる雑賀の眼に青白い炎が宿り、"チキンブロウ"はサキに鶏の拳を振り下ろした。


 サキが跳躍して雑賀の怒りの表れとも言える金色の鉄槌を躱す。


 ロックは、"チキンブロウ"の顔面に、"翼剣"ブラック・クイーン"を逆手に構えた。


 剣の切っ先から"迷える者の怒髪(ブイル・アブァラ)"による噴進(ジェット)火炎で斬り上げ、額を割る。


 "黄金の嬰児"がロックの斬撃の衝撃で、大きく後退。


 しかし、尚も上体を起こしながら、這い進む。


「私達は……生(・)活(・)を(・)し(・)て(・)い(・)た(・)だ(・)け(・)よ(・)。仕(・)事(・)を(・)し(・)た(・)だ(・)け(・)よ(・)――!!」


「それは『あ(・)な(・)た(・)た(・)ち(・)の(・)生(・)活(・)の(・)た(・)め(・)』でしょ!? 私(・)達(・)は(・)生(・)活(・)を(・)壊(・)さ(・)れ(・)た(・)。あ(・)な(・)た(・)達(・)は(・)そ(・)の(・)事(・)実(・)を(・)利(・)用(・)し(・)て(・)、私達に近づいて同(・)士(・)に(・)仕(・)立(・)て(・)よ(・)う(・)と(・)し(・)た(・)! "地自労(そっち側)"に引き込もうとした!! 結局、自(・)分(・)た(・)ち(・)の(・)優(・)位(・)な(・)立(・)場(・)か(・)ら(・)施(・)す(・)だ(・)け(・)で、私(・)た(・)ち(・)の(・)痛(・)み(・)に(・)寄(・)り(・)添(・)う(・)こ(・)と(・)を(・)考(・)え(・)て(・)い(・)な(・)い(・)か(・)ら(・)、『口(・)だ(・)け(・)』っ(・)て(・)批(・)判(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)の(・)よ(・)!!」


 雑賀の泣き言にサキが"命導巧(ウェイル・ベオ)":"フェイス"の断罪の刃を突き出した。


 サキの得物から放たれる蒼白い光が矢となり、金色の嬰児の顔と肩を貫く。


 "チキンブロウ"が崩れるが、倒れない。


 失(・)っ(・)た(・)両(・)脚(・)を(・)生(・)や(・)し(・)て(・)立ち上がる。


『なら、草(・)一(・)さ(・)ん(・)は(・)ど(・)う(・)な(・)る(・)の(・)よ(・)!! 彼だけじゃない、私(・)た(・)ち(・)の(・)職(・)場(・)の(・)仲(・)間(・)を(・)こ(・)と(・)ご(・)と(・)く(・)ひ(・)ど(・)い(・)目(・)に(・)遭(・)わ(・)せ(・)て(・)お(・)い(・)て(・)!!』


「喧しい!! お(・)前(・)の(・)同(・)僚(・)が(・)未(・)成(・)年(・)飲(・)酒(・)を(・)持(・)ち(・)掛(・)け(・)て(・)おいて、挙句に組(・)織(・)ぐ(・)る(・)み(・)で(・)隠(・)ぺ(・)い(・)し(・)て(・)い(・)た(・)汚(・)職(・)を棚に上げてんじゃねぇよ!!」


 "爆衝烈拳《ドーン・ナ・セーイジェ》"を手甲型"命導巧(ウェイル・ベオ)":"ライオンハート"による爆轟の拳を一平が突進する金色の嬰児の胴に叩き込んだ。


 "金色の嬰児"が両足を浮かせ、仰向けに大きく倒れる。


 "チキンブロウ"の右の鶏に宿る青白い炎の獰猛な煌きが消えなかった。

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© 2026 アイセル

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