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深海へ


途中で赤と黒の縞模様の貝や、青い巻貝を拾いながら歩く。食べられそうな海藻も見つけたので、食用なら地上に戻った時に自分で食べよう、と考えていた。


キノコに似た生物についた、サクランボのような実も採取する。そのまま味見が出来そうだが、塩の味しかしないだろうと思い、収納した。


小さな魚が海藻の隙間を移動している。


昆虫のような六本足の魔海獣も下に歩き回っている中、ルイは踏まないように歩き続けた。


岩を超えた先が、緩やかに下っている。


崖の一部が崩れた事により連鎖的に崩れたらしく、岩が無数に転がり、その間に砂が溜まっていた。


下に行けそうな場所を見つけ、ルイの気分は向上する。


「やった!」


機嫌良く飛び跳ねるようにして、目的の場所に向って走って行った。


坂になっているので、岩の上を踏んで跳ねて次の岩の上を跳ねてを繰り返せば早く下に辿り着くはずだ、と想像するルイだったが、何度も失敗している事を急に思い出し、速度が減速する。


普通に歩き出したルイは現実は厳しいと自分に言い聞かせていた。


「急がない。急がない」


呟きながら歩く。


ルイはスポーツをやるのも体を動かす事も基本嫌いだが、目的があれば苦痛ではなくなる。むしろ積極的にやろうさえ思える程、欲望に忠実だった。


海水に押し戻される事なくルイは進んで行く。目的地が近づくと進みが自然と早くなり、それに気づかない程、集中していた。


下へ・・下へ・・と進んで行く。

ルイの姿が見えなくなった。









ーーーー



さらに暗くなる。


ルイは無意識に周囲を明るくすると、辺りを見渡した。


大きな岩も沢山あるが、砂も多くなっている事に気づく。その砂は青や黄色などの色が混ざっていた。


珊瑚のような生物が数多く岩に張り付いている。


砂の間から、赤い枝のようなものが生えていて、海水の動きに合わせてユラユラ揺れていた。


そこに光る蛍のような生物も集まっていたので、ルイは手を伸ばし両手ですくう。


発光体が手の平に収まった。


「綺麗・・」


よく見ると、小さな星型のクラゲのような生物が光を発している。握手するように、ルイの指先に可愛い触手を伸ばしていた。


ルイは面白いものにでも出会ったかのような表情をすると、挨拶するように己に指を近づける。


指先と触手が接触した。


ぼんやりと青く光っており、しばらくすると星型クラゲは触手を放し、また元の状態に戻る。それをじっくりと観察した後、ルイは送り出すように手を押し出した。


ゆらゆら、ゆらゆら、と海の中を浮遊する星型クラゲは、その場に留まりながら揺れている。それを微笑ましく見守っていた。


それからルイは周囲を見渡して、採取出来そうなものがないか探す事にする。


すると、黒曜石のようなものが地面から突き出ている事に気づいた。


「これ、採取できそうね」


そこら辺に落ちている硬そうな岩を拾うとルイは近づき、飛び出た部分があるのを確認した後、軽く根本に打ち付ける。


音が響いた後、その黒い鉱石が弾けた。


黒い虫のような生物がルイの周りに勢い良く飛んで行く。あまりに突然だったので、腕を前にして回避するようにして目を瞑った。


自分の隣を何かが通過する気配を感じながら終わるのを待つ。一瞬の事だが意外と長く感じた。


少し経過してからルイはゆっくりと目を開けるが、前には何もなくなっている。


何が起こったのか確認する為に左右を見てみると、星型クラゲが何か捕まえているのが見えた。


それは先程、飛んで行った小さな黒い生物のようで触手に捕まっている。


触手は青い光を発し、生物を溶かしていた。


「・・・」


ルイは自分の指先と、その生物を交互に見る。


「ちょっと、握手じゃなくて私が食べれるか試したの?ねぇ?」


詰め寄るが、相手は気にせずに溶かしている。それを極力見ないように手で隠しながらルイは文句を言っていた。




言葉の通じない相手に何を言っても無意味なので、気が済んだルイは、また周辺の探索を始める。


擬態に騙されないように、と気合を入れて目を凝らした。


そうすると、岩と岩の隙間にエメラルドに似た宝石のようなものを発見する。斜めから見ると銀色にも見えるものだった。


「これは当たりでしょ」


ルイは指を差し込み、掴んで引く。初めは取れなかったが慎重に指に力を入れると、ポロッと外れた。


今度は生物ではなさそうで手の平の上でじっくりと観察したが、やはり宝石に見える。


指で掴んで目の前に持ってきて覗いて見ると、緑とも言えない不思議な色だった。


これは高く売れそうだ、とルイは嬉しく思う。収納すると採取できた場所の近くを重点的に探し始めた。


そうすると岩の隙間に隠れていた宝石を次々発見し、ある程度残しながら自分に必要な分だけ取る。


ルイの手の平には五つの宝石が集まった。


海の中で輝く宝石は美しく何度見ても飽きない。少し手の平の上で転がして、採取出来た事に幸せを感じていた。


「他にはないかしら」


空中に仕舞うと次に行く場所を考え、移動する。


岩を超えて巨大なイソギンチャクの隣を通り、魔海獣も色々な種類がいるのを確認しながら攻撃されないように注意した。




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