表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

シュラドまでの道7


深い海の底。



光の無い暗闇が続く事もあれば、明るく照らされる場所もある。夜の世界の中に光が飲み込まれているような場所が深海だった。


ルイは自分の周りを弱い光で照らしながら歩いている。その間にも色んな生物が横を泳いでいった。


長い尾びれで三本の角の先が光っている巨大魚や、昆虫の足のようなもので移動する貝。

ダイヤモンドに似た体を光らせ、ゆらゆら揺らしながら細長い触手を出しているクラゲのような生物や、エメラルドグリーン色の発光する玉を出している海草のようなもの。


そんな中、ある魔海獣が自分のハサミを使って何かを作っていた。


ぼんやりと光る真っ赤な鉱石を挟んで、ハサミで削ったり、岩に何度も擦らせ、鉱石はどんどん形を変える。


蟹と昆虫を合体させたような姿の魔海獣の下には、作るのに失敗した色々な鉱石が散らばっていたので、この魔海獣がどれだけ丁寧に作っているのかが分かった。


ルイはそれを興味深々で見ており、その瞳は輝いている。


「こんな所にも素晴らしい職人がいるのね」


蟹似の魔海獣は満足のいくものが出来たのか、自分の持っている品を色々な角度から確認していた。

そしてその魔海獣は出来上がった鉱石を掲げて、左右に振りだす。

すると遠くから同じ種類の蟹似の魔海獣がやってきて、鉱石を振っている魔海獣に合わせて左右に動く。それをしばらく二匹で続けて、最後にその鉱石を後に来た魔海獣が受けとると二匹でどこかに移動していった。


「鉱石を振るのは求愛行動のようね。だから何度失敗してもあんなに真剣に作ってたのかなぁ」


ルイは考えてから魔海獣が残していった鉱石を見る。そこには、ぼんやりと光る黄色い鉱石と、茶色からオレンジ色に色を変化させる鉱石がいくつか転がっていた。


「うっわ!素晴らしい」


ルイは魔海獣が作った品が芸術品に見え、欲しくなる。

所有者はもう行ってしまったので、これは持ち主がいない品なのだとルイは心の中で断定した。


「わー蟹似さん、ありがとう。今度何かあったら助けるわね」


そう言ってルイは魔海獣が作った鉱石を収納する。

海の底で作られた品物を手に入れる事が出来るとは思っていなかったルイは大変満足した。


「さぁて、他の場所も行ってみよう」


ルイは歩いて回り、他の場所も見ていく。


岩に花のようなものが生えている場所や、魚が隙間なく詰まった穴などがある。


そして十分ほど経った頃、砂と激しい海水の流れがルイの方に押し寄せて来た。

海水の流れに乗って魚や海蛇、小さな魔海獣達が流されて行く。助ける事が出来なかったので、直ぐに見えなくなった。


「え?何なの」


驚いたルイは急いでその方向に向かう。

そこで見たのは、四本足の魔海獣と蟹似の魔海獣が争う姿だった。


四本足の魔海獣は部分的には昆虫のような形をしているが、その半分以上は触手のようなもので覆われ、先には目玉のようなモノが付いている。


「うわぁ・・・」


四本足の魔海獣が怖い姿をしていたのでルイは立ち止まるが、その時、蟹似の魔海獣から手に入れた品を思い出した。


とても芸術的な素晴らしい品なので手放したくはない。


物欲の方が強くなったルイは、笑顔で二匹を引き剥がす。

それほど怖いと思わなかった。


二匹は威嚇しあっているが、ルイが間にいるので衝突はしない。


四本足の魔海獣は一生懸命目玉の付いた触手を、蟹似の魔海獣が持っている赤い鉱石に向かって伸ばしていた。

届かずにプルプルと震えている。


ルイはそれを見て、収納から自分が買った赤い大きな石の付いた首飾りを一つ取り出し、掲げて見せた。


「ほら、これをあげるから。この子の作ったものは諦めて、お家にお帰り」


自分の事は棚に上げて、ルイは四本足の魔海獣を説得する。


ルイの差し出した首飾りを、触手の付いた目玉が集まってジッと見ていた。

三百六十度しっかりと確認した後、そっと首飾りを受けとる。


そして、ブチッ、と目玉を一つ取ってルイの手に乗せると、満足したように去って行った。


「ヒョエェェ!!」


ルイは目玉を放り出す事も出来ず、全身に鳥肌を立てて右往左往している。

いつの間にか蟹似の魔海獣もいなくなっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ