28 魔族への生贄 2
私達と吹雪裕也達は向き合った。
吹雪裕也達は、戦闘態勢を崩してはおらず、こちらを睨んでいるわ。
「俺はテツ、こっちは俺の女だ。町長の依頼でそこに転がっている魔族の討伐をしに来た者だ。敵対する気はない。」
「町長から依頼か、証拠は?」
やだ、テツさん、俺の女だって。それより証拠なんてないわよ。
「証拠はないが、その魔族の首を町長に持っていけば、報酬が出るぞ。」
さすがテツさん。
「そうか。そうすると、この魔族の首が欲しいのか?」
「まあ、欲しいけど、あんた等が、町長に届けて倒したことが分かればいい。こっちはただ、今回の生贄を助けたかっただけだ。」
とテツさんが吹雪裕也と話していると、横の男が話に割って話してきたの。サライトという男だわ。
「おい、テツさんだっけ?本当に今回の生贄を助けるため魔族討伐の依頼を受けたのか?」
「ああ、そうだ、だからその殺気を向けるのを止めてくれないか?」
そうよ。
「ところで今回は、サラという町娘が生贄だったはずだが、あんたサラと知り合いなのか?」
「町娘?いや、今回は、万引きで捕まった余所者のカテーサが5日前から生贄に選ばれたんだが?」
あれ、テツさんあの子の名前チェックしてたの?私名前すら知らなかったわよ。
「え、サラは、今回生贄から外されたのか!」
「サラって子と知り合いか?」
「ああ、オレは、サラの恋人だ。あのくされ町長がサラを生贄から外せないと言うから、有り金叩いて裕也さんに、魔族討伐の手伝いを依頼したんだ。」
へえ、立派じゃない。彼女を助けにそこまでしたのね。サラさんって方、羨ましいわ。
「そうか、それじゃ、町長の所に行って、その魔族の首で報酬を受け取れ。」
「なんだ?、あんたは報酬要らないのか?」
「ああ、さっきから行ってる通り、万引きで捕まったカテーサを開放できれば、俺はそれでいい。」
「なるほど、女目当てか。分かった。」
え、女目当てという事で納得しちゃったわよ。吹雪裕也もそれを聞いて殺気が消えたわ。
もしかしてテツさん女好きだからとか思ってるの?
でも、ここで話をこじらせるわけにもいかないわ。黙っていましょう。
話が終わると、吹雪裕也とゴロガは魔族討伐の依頼が終わったとの事で、その場で帰ってしまったわ。
私達はサライトと町まで帰り、町長の所へ向かったのよ。
もちろん認識阻害のアイテムのおかげで吹雪裕也には私が勇者ってことはバレなかったわ。あと、吹雪裕也は不登校だったから私の顔も覚えてないみたいね。
だけど、吹雪裕也は、結構な高レベルだったわ。ずっとレベル上げとかしてたのかしら?
◇
町へ戻り、町長に魔族の首を見せて、サライトは報酬を受け取った。
サライトは、有り金がなかったからとても喜んだわ。そして、その報酬をもって何処かへ行ってしまったの。たぶんサラさんの所ね。今日の2人の夜は大変よ。たぶん眠れないほどのって何考えてるの私、はしたない。
その後、私とテツさんは、カテーサを引き取りに牢屋へ向かったの。
牢屋では、カテーサは手を鎖でつながれていたの。服は魔族に生贄として差し出すためか、綺麗なドレスを身にまとっていたわ。
カテーサは目に熊が出来ていて、表情も硬かったのよ。それでもカテーサは白い肌で、金髪が光りに照らされて、可愛らしさは失われてなかったわ。
「カテーサさん、さあ、釈放よ。」
と私は牢屋の鉄格子を開けて近寄ったわ。
「え、貴女は?わたし助かるの?」
「私は真美子。助かるのよ。安心して。」
私は、カテーサの手かせを外してあげたの。
そしたら、カテーサは私に抱き付いて来たわ。
「わああああああんんんん!」
仕方ないので私はしばらくカテーサを抱きしめてあげたわ。
カテーサは泣き止むと、今度は質問を投げかけてきた。
「どうして助けてくれたの?」
「それは、町の入り口でカテーサさんが籠で連れて行かれる時、私達に「助けて」と言ったじゃない。だからいろいろ調べたら、貴女が生贄になるって聞いたものだから。」
「あの時の人だったんだ。でも、普通そこまで他人を助けるなんてしないわ。」
「そうね。でも万引きで生贄なんてかわいそうだったからよ。」
その言葉を言ったら、カテーサは嬉しそうな顔をしたが、すぐにきつい顔になった。
「貴女は、私をどこかに売ってお金にするつもり?それとも、後ろの男の趣味でわたしはエッチな事でもされるの?」
何かこの子、不幸な方向に考えをめぐらし始めちゃったわ。
「そんなことしないわよ。私は勇者なの。」
そう、私が男の勇者だったら、そのままこの子はハーレム要員になったのだけど、私、女勇者だから。
勇者の名称を聞いたカテーサは、目を見開いて興奮した顔になった。
「本当に勇者様?」
「ええそうよ。だから恩も売ったりしないから安心して。」
「でも、勇者って言ったら、少女は勇者の女になってお供をするって聞いたわ。」
それはスケベな男勇者でしょ。
「女勇者はそんなことはしないのよ。」
「後の男の人も勇者?」
「いいえ、この人は私のダーリン。勇者じゃないわ。」
「そうなの。」
「この後は自由に生きなさい。私達はもう行くわ。」
カテーサは不安そうになったけど、私はニコッと笑ってあげた。
そして、立ち上がって出て行こうとした。
「まって、勇者のお姉ちゃん!」
足元を見ると必死に私のズボンのすそを引ぱっているカテーサがいた。
「わたし行くところが無いんです。何でもしますから、連れて行って下さい。」
「連れて行けないわ。」
「連れて行って下さい。実は、わたし、もう家族も居なくて・・・・・・」
とカテーサは話し始めた。
カテーサは、隣の村に住んでいたんだけど。2週間前、野党に襲われ一家全員殺されたの。
カテーサだけ地下の隠れていて助かったのよ。
私の真偽眼を使ったから本当よ。
その後は身寄りがなく、町の外れに隠れ住み、町で食料を盗んで生活していたみたい。
後、勇者にお供をして付いていく事は、昔からの憧れだったみたい。
その話を聞いて、テツさんは引き取るって言い始めたのだけど、私は反対したわ。これ以上テツさんの周りに女性を増やしたくないもの。
それで、”次の町まで連れて行って、カテーサに住み込みの仕事を探してあげる。”それで別れるということになったわ。
◇
そして私達は町を出て、山道を歩いているの。
「真美子お姉さま。待ってください。ちょっと疲れました。」
とカテーサが私の後を付いてくる。
「ねえ、真美子お姉さま。無視しないでください。」
「カテーサちゃん。俺がおぶってあげようか?」
「いやよ、テツさん変な目をしてるんだもん。」
そうよ、テツさん変な目だわ。いやらしくないんだけど、何かこう可愛い生き物を弄びたいような。結構幼い少女も好みなのかしら?
「ちょっと、テツさん甘やかしちゃダメよ、それにおぶってくれるんなら私にしなさいよ。」
「いや、その俺は甘やかしてるんじゃなくって、」
「じゃあ、テツさん、スケベ心かしら?」
「俺は真美子一筋だって。」
・・・・・・
と私達は山道を進んで行った。
昼食を食べた後、次の町の近くまでテツさんに乗って、飛んでいくことになったわ。
だって、この子と一緒じゃ夜の野営は出来ないもの。
テツさんは、私をおんぶして、カテーサをお姫様抱っこして行くと言い出したの。
私は怒って、逆にしてもらったわ。カテーサをおんぶして、私をお姫様抱っこして行くようにね。
おかげで、久しぶりにお姫様抱っこされちゃった。
◇
次の町に着いたわ。
もう夕方になっていたので、近くの定食屋で食事を取り、宿屋に泊まったわ。
部屋がツインの1部屋しかなかったので3人で泊まることになったの。
明日はカテーサの職探しね。
もちろん私が、テツさんからカテーサの純潔を一晩守りきったのは言うまでもないわ。
・・・・・・
一晩経ってから、3人でカテーサの職を探し回ったわ。
でも、町は不景気で、酷い条件の住み込みの仕事しかなかったの。
結局、魔法通信機で愛美に相談したら、愛美のお屋敷で働くことになったわ。
テツさんが転移ゲート魔法陣を作成して、カテーサをの愛美のお屋敷に送って行ったの。
私にとってはこれで良かったわ。そうよ、この世界でテツさんの隣にいる女性は私だけでいいのよ。




