29 ダンジョンでレベル上げ 2
私とテツさんは、中央国家に到着した。
長期で格安契約できる宿屋を借りたわ。
本当はテツさんと2人で街中を見て回りたかったんだけど、愛美達のレベル上げの約束があったので、テツさんは転移ゲート魔法陣を部屋に設置し始めたの。
私は、その間に日用品の買い出しに行ったのよ。
町には色々なものが売っていたわ。可愛いアクセサリーや素敵な服まで。まだ夕食まで時間があるから、テツさんを連れて来て買ってもらおうっと。
部屋に戻るとテツさんが暇そうに待っていた。
「真美子、ちょっと”勇者試練のダンジョン”に行ってきたい。」
なんでよ、もう、せっかくアクセサリー買ってもらおうと思ってたのに。
「だって町に着いたばかりじゃない。」
「いや、最近体がなまってるんで動かしたいんだよ。」
なんかソワソワしてない?あ、そうよ、私がいない間に、愛美達とダンジョンに行くとか話したんじゃないの?
「誰と行くの?」
「何を言ってるんだよ?1人だよ。」
「それじゃ、私も行くわ。」
テツさんを信用していなかった私がいけなかったわ。
私は”勇者試練のダンジョン”に久しぶりに連れて行かれ、あの回復魔法を掛けられながら、敵に向かっていくレベル上げをさせられたのよ。
今日は、テツさんがハッスルしちゃってハイペースだったの。もう体中痛いわ、精神的にまいるわで疲れちゃったわ。
でも、テツさんは、私がついて行ったから物足りなかったみたい。夕食後に1人で”勇者試練のダンジョン”に出かけたのよ。
今度は信じてあげて1人で行かせましょうと、しみじみ私は思ったの。
と思って部屋で休んでいたら、魔法通信機が鳴ったわ。
「はい。真美子です。」
「愛美です。テツ様はいらっしゃらないかしら?」
「今、出かけています。」
「本当に?こんな夜遅くなのにいらっしゃらないのですか?」
なんか、私がテツさんを隠してるみたいなこと言い始めてるわよ。
「本当です。用が無いのなら切りますよ。」
「あ、待って下さらない。」
「何でしょうか?」
「実は、わたくし達のレベル上げを早くしてほしいのよ。まだ日程も分からないのですよ。」
あれ?テツさん愛美と昼間連絡してなかったの?
「テツさんから連絡で日にちを決めなかったんですか?」
「ええ、テツ様は、ほとんど連絡してくださらないのよ。」
まあ、私がいつもベッタリだから、愛美にかける時間なんて無いわよね。
「それでは、愛美さん達のレベル上げはいつがいいですか?」
「はい。できましたら、明日から毎日でも。」
毎日って、やっぱり愛美はテツさん狙いなの?
「毎日はちょっとどうかと思うのですが。」
「そうね。でも、早くレベル上げをしておかないと。前回の様な魔族が襲撃に来た場合対処できないから。」
確かにそうよね。あの中級魔族クラスが来たら小国なんて壊滅よ。
「わかったわ。でも毎日は無理よ。」
「ええ、そうよね。あと、真美子さんのやっている急激なレベル上げの方法って、同時に教われないかしら?」
「え?レベル上げの方法ですか?」
「ええ、そうすれば、テツ様について指導を受けなくてもこちらで、レベル上げをいたしますわ。」
え?ということは、別にテツさん狙いって訳でもなさそうね。これは本当に小国の戦力が足りてないみたい。
「ええ、レベル上げの方法も教えると思うわ。」
「そう、ありがとう、真美子さん。では明日実施してくださるようにテツ様に願いしてくださらない?」
そうね、早く愛美達に急激なレベルアップの方法を教えて、テツさんから離れてもらいましょう。
そうよ。早めに愛美達との深い縁を切って浅い縁にしましょう。
「はい。わかりました。明日連絡します。」
でも、決めた後で気づいたんだけど、あのテツさんの回復魔法かけまくりレベル上げって、誰が真似できるのよ。
◇
昨日私が愛美に返事しちゃったんで、町を回るのはお預けになったの。
私とテツさんは事前に、愛美達のレベル上げの補助をするフォーメーションについて話し合ったわ。
そして午後、みんなで、”勇者試練のダンジョン”に入ったのよ。
今、”勇者試練のダンジョン”Aパートのの中層にいるわ。
フォーメーションは、愛美、アン、ミミが平行に並び、私がその後ろで危なくなった人の補助。テツさんは回復役よ。
3人はもともとレベルが高かったので、もう中層なの。
3人ともオールラウンドタイプなので、各個撃破の方針で戦闘をしているわ。
もちろん3人は剣に魔力を纏わせる技術も習得済みよ。
そして、次の階に降りた。
アイアンゴーレムが5体現れた。
「わたくしは右2体押さえます。アンは中央の2体を、ミミは左の1体を。」
「わかった。」「わかりましたにゃん。」
と戦闘が始まった。
愛美が2体にエアプレッシャーを放つ。
バンン!
ずし!
アイアンゴーレム2体の動きが止まった。
愛美は剣で1体に切りかかった。
ザン!
その攻撃で1体が倒され、続けて愛美は、残りの1体に剣で攻撃を仕掛けた。
アンは、初めから剣で攻撃をしている。
2刀流なので、連続で素早く2体を切っている。
ザシュ!シュン!ザン!ズン!
2体のアイアンゴーレムは数回の攻防で切り刻まれ倒れた
ミミは、アイアンゴーレムの足元にフリーズの魔法を掛け動きを止めた。
ザザザザザザザンンンンンン!
と剣を連続で撃ちだし、アイアンゴーレムを切り刻んで倒した。
愛美も残りの1体を倒し終わり戦闘が終了した。
まだみんな余裕のようだわ。
でも私だとこの階、5体のゴーレムを1人で倒さなくちゃいけないのよね。
なんかテツさんこれじゃ愛美達のレベル上げにならないじゃないの?
と思っていたら、
「それじゃ愛美さん達、次は現れたガーディアンを1人ですべて倒してみて。」
「え?1人でですか?テツさん。」
「真美子もやってるよ。」
と愛美は言われ、愛美は私をちらっと見てから言った。
「分かりましたわ。」
「真美子サポートもなしだ。俺がする。」
え?それ、あの回復魔法かけまくり方式?
「は、はい。テツさん。」
とそこから、愛美達の地獄が始まったの。
テツさんのスパルタレベル上げが始まったのよ。
3人交代だったので、ハイペースでダンジョンを降りて行ったわ。
3人ともぐったりしているの。
そして、愛美が何回挑んでも勝てなくなる階になったわ。
「愛美さんいったん後ろに。真美子、あのガーディアンをを頼む。」
「はい。」「わかったわ。」
と暇な私の出番が来たのよ。
目の前には、剣と盾をもったアイアンゴーレムが5体いるの。
でも私はもうこの階層はクリア済みでもっと先まで進んでいるわ。
ザシュ!シュン!ザン!シュン!ザク!
私は瞬歩で近づき、右から順に切って倒した。
「凄いわ。真美子さん。」「すげえ。」「すごいにゃ。」
と3人は目を見開いて呟いたわ。
だって、昨日のハイペースで、私LV531よ。剣技も考慮に入れたら出来て当たり前よ。
と、たぶん私はドヤ顔になっていた。
「それじゃ今日はここまで。みんな帰るよ。」
とテツさんは言った。
「待ってください。テツ様。」
「なんだい?愛美さん。もしかしてまだ足りないの?」
「いいえ、今後の予定を組みたいのですがよろしいでしょうか?」
「そうだな。愛美さん達は、週に3回レベル上げで、真美子も週に3回レベル上げだな。で、1日は俺のレベル上げだ。」
え、なんで私、週3回なの?
「はい。分かりました。テツ様。ところで、真美子さんの急激なレベルアップの原因は、あの回復魔法をかけまくってレベル上げをさせる方式なのでしょうか?」
「そうだけど、なにか?」
「いえ、わかりました。」
私は愛美の側に行って小声で話した。
「レベル上げの方法が分かったんだから、愛美さん週3回も要らないんじゃないの?」
「それは、真美子さん、わかってておっしゃているのですか?」
「え?何を?」
「あんな回復魔法を掛けられる人なんていませんわ。代わりにポーションを代用するとしても何個必要か分かりませんから無理です。」
まあ、そうよね。
「仕方ないわね。」
「でも、あの方法ほどじゃないにしても、何か近い方法を考案してみますわ。週3回じゃ足りないですから。」
「頑張ってね。」
「ええ。」
そして、ダンジョンを出た後、愛美達は転移ゲート魔法陣で帰って行った。
「真美子、動き足りなくないか?」
とテツさんはダンジョンの入り口で言ってきた。そう言えば私、ほとんど見ているだけだったわね。
「ええ、ちょっと足りないかも。」
「それじゃちょっと行こう。」
「行くって?」
「この”勇者試練のダンジョン”だよ。」
え、もう、いいんだけど。
でも、時間も中途半端だから付き合っちゃうかな。
「わかったわ。行くわ。」
「よし。」
とテツさんは私の手を引いてダンジョンに向かった。
もう、バトルジャンキーなんだから。
その後、ダンジョンから出てきた私の服がズタボロだったのは、言うまでもないのよ。
それと、テツさんは、自分は週1回だと言っておきながら、数日後には毎日のように、朝か晩の2時間くらいの間”勇者試練のダンジョン”に出かけるようになったわ。




