17 可愛いウィニー
少年が書いたウィニーについての本の原稿を読んだ師匠は、これなら小さな子供にも理解できるだろうとうなづきました。
「幼い子供には絵があった方が読みやすいだろう。
絵本にしたいから、絵を書いてきなさい」
魔法使いの弟子なのに、魔法を教えてもらうどころか、作文やお絵かきばかりだと少年はぶつぶつ文句をつけます。
「師匠、僕は絵は得意ではありません。
上手な友達に描いてもらってはいけませんか?」
師匠は絵を描くのはモノをきちんと見る修行になるので、少年に描きなさいと言いました。
一つの話に一枚絵を描くのです。
「卵は簡単だよ~」
だえん形の卵を青みががった灰色の絵の具でぬって、少年はこれで一枚はできたと喜びました。
「やはり、ウィニーが卵から孵った場面を描くべきかな?」
二話目の絵を描いた少年はがっかりしました。
卵が割れて中から出てきた雛竜を描いたつもりなのに、黒っぽいゴミの塊に見えたからです。
友達もこれではウィニーの可愛さが伝わらないと文句を言います。
「美術の先生に相談したら?」
少年もこの絵では子ども達がウィニーを可愛いと思うどころか、気持ち悪いと思ってしまうと、美術の先生に指導して貰いました。
美術の先生は少年から理由を聞いて、自分がキチンとした絵を描くより、愛情のこもったウィニーの絵の方が良いだろうと考えました。
苦労して絵を何枚も描きあげて、やっと絵本が完成しました。
師匠は印刷所で絵本をいっぱい作り、全国の学校へ配りました。
「あっ! 可愛いウィニーだ!」
絵本を読んだ子ども達はウィニーを怖がらなくなりました。
大人達も自分の子ども達がこわがらないので、平気になりました。
今日も、少年はウィニーに乗って国中を飛び回っています。
空を見上げて青みががった灰色の竜が飛んでいたら、それはウィニーかもしれませんね。




