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林檎
みずみずしいリンゴよ
お前はいったい誰に恋して
赤いほっぺをそんなにもみせているの?
りんごよりんごよ
そんなに赤くなってみせてあげたらもったいないよ
大事な人にだけ見せなさい
そこの森の小路を歩いているお嬢さん
バスケットになにを入れているの?
果物やお菓子をいれてどこにいくの?
童話のようにおばあさんのところにいくのかい?
それよりも恋しい人のところへ
走っていったらどうだい
そんなひとはいないの
かつて愛したひとはいなかったかい
あああなたは林檎のよう
もったいぶらずに真っ赤なほっぺをさらして
そんなに見せちゃいけないよ
甘くて齧ると押し返す
果肉のようなその素肌
赤い血潮が若さの象徴
その若さを同じく若い人に捧げなさい
あなた一人で生きないで
真っ赤なリンゴ
食べさせてあげよう




