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後悔で啓蒙する救世主────平和活動家だった私は、後悔を植え付ける力で神の国を作る  作者: 砂之寒天


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第八話 建国議会

 急ぎ、建国議会を開く。


「議長は私、芽詩アリアとして。ガルドン、他に役割は何がある?」

「そうだな。軍事、治安の担当は俺がやろう。内政と実務は、エイブラムに担当させよう。ジュリオスは見たところ、法学と参謀に向いているな。そこを担当させるのはどうだろうか」

「ありがとう。そのまま採用させてもらうね」


 やはりプロに聞くのが早い。


「アリア殿、何を発言するかについては話しておくか?」

「……そうだね。話しておこうか」


 そうして、軽く話し合いをしておいた。


 白い卓を囲み、上座に私が座る。


「これより、建国議会を始めます」


 全体を見つめて、そう告げた。


「まず、状況を説明しましょう。スーペルブス=アッロガンス=ヴァルメア王は、神が下した『罪の裁き』に耐えきれず、その命を天に返されました。

 私の放つ神の光は、あまりにも強く、罪深き魂には耐え難い衝撃となったのです。私の従者が王を手にかけたのは、暴走する罪の意識に突き動かされた、悲劇的な必然でした。

 私は、この流された血を無駄にはしません。その責任をすべて背負い、この地に、誰もが罪を贖い、真の平和を享受できる国『アリアージュ』を建国することを誓います」


 皆、頷く。

 力を使われていない者は、衝撃を受けたように、驚き、涙をこらえていた。


 ガルドンも、静かに頷いている。

 私はそれを視界に収め、順調だと認識した。


「まず、私から話したいことは、『過去の罪は、建国により一度精算される』ということ」


 レーザは、また皆は目を見開く。


「そして、この先私の許可無く殺人を犯すことは、神への背信として、罰を下します。命を葬ることは、救世主たる私の心を傷つけること。決して、その罪を犯さないように」


 この慈悲に、レーザは思わず涙した。


「次に、法典について話しましょう。まず、救世主直属の法執行機関、“聖律審問院”を設立します。長としては、参謀、法学の担当である、“聖律卿”として、ジュリオスを任命します」

「はっ。謹んで拝命いたします。アリア様の心を傷つける者は、俺が許さない」

「よし」


 頷く。


「アリアージュでは、最高刑罰である、殺人を、無期懲役とします。法典には、こう記します。『人の命を奪いし者は、その命を終えるまで、アリアージュの礎として尽くすべし。その汗の一滴は、かつて流した血の一滴を清めるものとする』」

「うおおぉ! 最高だぜ、主!!」


 レーザが興奮して立ち上がる。


「ふふ、静かに。座って」


 犬のようで可愛らしいが、今は議会中である。狂犬だし。


「そして、刑罰としては、“贖罪の農園”での作業と、インフラ整備、貧しい者の為の施設制作とします。罪人の積む石は、誰かの屋根になり、誰かの命を守るのです。法に従って罪を償えば、私は必ずそれを見届けます。……そして、更生、労働の現場監督である“業苦卿(ごうくきょう)”として、レーザを任命します」

「っ!!!」


 レーザが驚き、息を飲む。


「業苦卿として、贖罪を見つめ続けなさい。過去の行いも、忘れないように」

「あぁっ、あぁ!」


 レーザは頬を赤くし、大粒の涙を流した。思わず頭を撫でたくもなるが、会議中である。


「軍事・治安顧問である“守護卿”として、ガルドンを任命します」

「謹んでお受けしよう」

「そして内政・実務担当、輔弼卿(ほひつきょう)として、エイブラムを任命します」

「あぁ、謹んで受ける」

「よし。そして、私の親衛隊として、“白狼隊”を、暗躍舞台として“影狼隊(かげろうたい)”を設立します。白狼隊は、私を物理的に、象徴的に守る、純白の盾。隊長として、ガルドン、副隊長として、エイブラム。影狼隊は、帝国の動向や国内の不穏分子を察知する、見えざる牙。ジュリオスの聖律審問院と連携し、法で裁く前の情報収集を担う組織。隊長には、元陰影の監視局 局長の、カイウスを任命します」


 そして、最後に。


「皆、顔を上げなさい。今日、私たちは血の中から生まれた。だが明日からは、神と、救世主たる私の元、光の中を歩む。

 輔弼卿、エイブラム。民に告げなさい。今日より三日間、建国を祝う宴を開くと。

 聖律卿、ジュリオス。法典を書き上げなさい。誰一人として、救いから零れ落ちぬように。

 守護卿、ガルドン。盾を掲げなさい。私たちの平穏を脅かす影を、一歩も通さぬように。

 業苦卿……レーザ。私と一緒に、過ちを繰り返さない国を作っていきましょう」


 皆、感動のあまり、涙を流している。


 私は、軽く目を伏せる。

 これで、少しは罪は償えただろうか。王を殺めた罪悪感は強く残っているが、民を救う選択をしたことは、誇らしかった。


 そうして、神の国アリアージュは、始動した。

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