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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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クロイツとの再会

 無事にSランカーになる事が出来たリサは、即座にクロイツの元に向かう。


「師匠!お待たせしました!!」


「……立派になったな!!」


「お久しぶりです、リサ殿。弟弟子となりましたリージョです。よろしくお願いします」


 ダンジョン下層で感動の再開を果たしたリサは、弟弟子になっているリージョと改めて顔合わせをしている。


 その後食事を摘まみつつ、リサとリージョの紹介や今迄のリサの活動についての話で盛り上がる。


『どう見ても、兄妹だな。そっくりだもんな』


 会話の中で二人を見比べているクロイツは、やはりどう見てもリサとリージョに血のつながりがあると確信して、何時その事実を話そうかタイミングを見計らっている。


「……で、あのリベラ王国の受付のミューテルさんですが、相当な裏がありますよ。あの無能王子(ドレア)がどうとか言っていましたから、そちらとも繋がりがあるのでしょうか?」


「え?いや、俺が知る限り、ミューテルは王族の誰かと交流があるなんて知らねーけど……俺が出国した後に付き合いが始まったのか?」


「ですが師匠、兄弟子の話では商会長とやらが師匠の事を御し難いと言っていたと言うではないですか。そもそも商会長と言われている人物、師匠と面識がある言い草ですよ?」


「そうなんだよな。リサが聞き間違えるとは思えねーが、俺には心当たりがねーんだよ。何と言っても、身内は敵、使用人すら敵だったからな。誰が対象の人物かなんて、わからねーよ」


「では、ここはいっそのこと、そのミューテルとか言う受付を拉致しては如何ですか?」


「……おいおい、リージョ。まぁ、リサやロロの情報からはろくな人物じゃねーのはわかるが、相変わらず物騒だな。リサはどう思う?」


 すっかり兄妹の話をする事を忘れ去り、ミューテルと、ミューテルが話していた商会長の話に移行するこの場の三人。


「私が思うに、一度私達が長期休暇を取った時の情報がギルドから出回ったじゃないですか?あれって、ミューテルさんから出たとしたら……商会長って言うのは、闇の奴隷商の商会長の事を言っているのではないかと思うんです」


「その可能性が高いでしょうね。兄弟子、そのミューテルと言う者の会話を聞いていた男は追跡しなかったのですか?」


「うっ、ごめんなさいリージョさん。その……師匠に会う為に行動する事で頭がいっぱいで、追跡しませんでした」


 しょぼんとするリサを見て焦るリージョ。


「い、いえいえ、全く問題ありませんよ。私も師匠に鍛えて頂いて実力が上がっていると体感できているので、師匠を含めこの三人であれば情報収集も容易いですから」


 初めて見るリージョのおろおろしている姿を見てほほえましいと思いつつ、思い出したことを唐突に告げるクロイツ。


「おいおい、兄妹の仲が良いのは良い事だけど、あんまりオロオロするなよ、リージョ」


「……いえ、兄弟子に対して尊敬の念を持っていますから、見逃していただければ……」


 ポカンとしているリサとは異なり、リージョは兄妹弟子と言う事で言われたと思っているのでこう返し、その反応から、クロイツはリージョには正確な意図が伝わっていないと判断した。


「いや、リージョ。直接自分の顔とリサの顔を見比べられねーからわからないかもしれないが、二人はそっくりだぞ?それと、今まで二人から聞いた事情を勘案すると、二人は兄妹弟子だけではなく、本当の兄妹だ」


 その言葉の意味を飲み込むのに少々時間がかかったのだが、互いを見つめているリージョとリサ。


 師匠大好き病のリサと、師匠に尊敬の念を持っているリージョの二人は、クロイツの言葉を疑う余地はなかった。


「リ、リサが……妹だったのですか!私が楽しみにしていた母さんのお腹の中にいた新しい命……リサ!」


「リージョさ……お兄ちゃん!」


 どことなく同じような雰囲気を持っている二人は、どちらともなく近寄って互いに抱き合いながら涙を流している。


「お兄ちゃん……私には何の記憶もありません。なので、お父さんとお母さんの事、教えて頂けますか?」


「もちろんですよ、リサ!」


 二人で座って話し出している姿を見て、そっとこの場を後にしていつもの崖の上にポチを背にしてボーっとしているクロイツ。


『クロイツ様、良かったじゃないですか。僕、見ていて感動しちゃった!』


「あぁ、そうだな、ポチ」


 リサやリージョが経験してきた苦労は、異能によって強大な力を持っていたクロイツにはわからない。


 逆にリサとリージョは、強大な力を持ちながらも家族と言う絆を感じる事ができなかったクロイツの痛みはわからない。


 クロイツは二人の兄妹の深い絆を見て、暫くは二人で積もる話もあるだろうと邪魔をしないようにと言う理由もあったが、二人の絆が眩しすぎて……羨ましすぎて直視できなかった事もあり、あの場を去ったのだ。


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